◆肥満だと本当に長生きするか?
今回の研究は、アメリカで行われた研究に参加した心血管系疾患(脳卒中、心不全、冠動脈疾患など)の患者30,462人を対象としました。
正常体重(BMI18.5-24.9kg/m2)と過剰体重または肥満(BMI25.0kg/m2以上)を比較し、死亡率との関連を検証しました。
◆喫煙に着目すると、やっぱり肥満の人は死亡率が高い
以下の結果が得られました。
さらに、非喫煙者に限って解析すると、死亡リスクは過剰体重/肥満の群で有意に高くなった(ハザード比1.51、95%信頼区間1.07-2.15、p=0.021)。
全体では過剰体重または肥満と死亡率の関連が見られませんでしたが、喫煙者を除き、非喫煙者に限定して解析すると、肥満の人の方が正常体重の人よりも死亡率が1.5倍以上高いという結果でした。
肥満が心血管系疾患の原因になるという、よく知られた考えからは、肥満の人で死亡率が高くないとすれば不思議に思えるかもしれませんが、見方しだいではうまく説明できるのかもしれません。
このように、個々の研究や分析の方法によって結果が変わることがあります。一度出た結果が覆される研究も多いと言われているように、ひとつの研究からでは結論を導くことはできませんので、慎重に判断する能力も必要なのかもしれません。
執筆者
Smoking and reverse causation create an obesity paradox in cardiovascular disease.
Obesity (Silver Spring). 2015 Sep 30
[PMID: 26421898]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。