2015.10.23 | ニュース

若者のゴシックカルチャーとうつ・自傷行為に関係が?

15歳から18歳の3,694人の観察研究

from The lancet. Psychiatry

若者のゴシックカルチャーとうつ・自傷行為に関係が?の写真

特徴的なファッションなどで知られるゴシックカルチャーが、自傷行為の頻度と関連するとした過去の報告があります。新たにイギリスの15歳から18歳の人を対象に、うつ症状と自傷行為がゴシックカルチャーと関係するかを調べる研究が行われました。

◆自分はゴシックだと思うかどうかで、将来のうつ・自傷行為を比較

研究班は、イギリスの長期健康調査のデータを使って統計解析を行いました。

元となった調査では、15歳のときに自分がどの程度ゴシックに当てはまると思うかが聞き取られ、その後18歳時点でうつ症状または自傷行為があったかどうかが調べられました。

データが得られた3,694人について解析が行われました。

 

◆ゴシックの程度が強いほどうつ・自傷行為が多い

次の結果が得られました。

自分はゴシックではないと認識していた1,841人の青年のうち105人(6%)がうつ症状の基準を満たし、対して自分は非常にゴシックらしいと認識した154人のうちでは28人(18%)だった。自傷行為については1,841人中189人(10%)に対して154人中57人(37%)だった。自己認識されたゴシックの程度とうつ症状および自傷行為の間に用量反応関係が見られた。

対象者のうち、15歳で自分はゴシックではないと答えた人のうち、18歳でうつ症状があったのは6%でしたが、非常にゴシックらしいと答えた人のうちでは18%でした。自傷行為は、ゴシックではないと答えた人では10%、非常にゴシックらしいと答えた人では37%に見られ、どちらもゴシックの程度が強いほど多い傾向が見られました。

この統計的な関連について、研究班は「ゴシックのコミュニティにいる若い人に対して、うつや自傷行為のリスクが高い人を見つけ出し、支援を提供することが効果的かもしれない」と述べています。

 

若い人の心の健康を理解するためには、文化にも注意を払うことに意義があるのかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Risk of depression and self-harm in teenagers identifying with goth subculture: a longitudinal cohort study.

Lancet Psychiatry. 2015 Sep

[PMID: 26321233]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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