◆川崎病ショック症候群と毒素性ショック症候群の患者を比較
研究班は、川崎病の中でも特に、毒素性ショック症候群と共通する血圧低下などの症状をともなった、川崎病ショック症候群という状態の患者について調べました。
どちらかの診断を受けた患者の診療データを集めて比較しました。
◆月齢、ヘモグロビン、血小板、心臓の異常
次の結果が得られました。
17人の患者がKDSSの基準を満たし、16人でTSSの診断が確認された。KDSSのグループで、平均月齢(36.8±41.1か月)はTSSのグループ(113.3±55.6か月)よりも有意に低かった(P<0.001)。KDSSのグループでは、ヘモグロビン濃度と齢調整ヘモグロビン濃度が有意に低かった(齢調整ヘモグロビンz値が-1.88、範囲-3.9から3.9、TSSではz値0.89、範囲-6.4から10.8、P=0.006)。KDSSのグループでは血小板数の中央値(312×10^3/μl、範囲116-518)がTSSのグループ(184.5×10^3/μl、範囲31-629)の2倍近かった(P=0.021)。心エコー上の、弁膜症(僧帽弁逆流、三尖弁逆流)や冠動脈疾患などの異常は、KDSSのグループでより多かった(P=0.022)。
毒素性ショックのグループに比べて、川崎病ショック症候群のグループでは
- 月齢が低い
- ヘモグロビンが少ない
- 血小板が多い
- 心臓の異常が多い
という違いが見られました。
川崎病は、心臓の異常からまれに突然死につながることもあります。川崎病を特にはっきりと見分けられる検査はありませんが、発疹やイチゴ舌などの特徴的な症状を参考にしながら正確に診断したうえ、冠動脈瘤という異常を防ぐために、免疫グロブリン大量療法などの治療をすることが重要と考えられています。
この研究で報告されたように、ほかの病気と違った特徴がより確かにわかるようになれば、診断の役に立つかもしれません。
執筆者
Early Differentiation of Kawasaki Disease Shock Syndrome and Toxic Shock Syndrome in a Pediatric Intensive Care Unit.
Pediatr Infect Dis J. 2015 Jul 28 [Epub ahead of print]
[PMID: 26222065]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。