2015.06.16 | ニュース

難病「ゴーシェ病」に初の飲み薬が登場

エリグルスタットで酵素置換療法
from Lancet
難病「ゴーシェ病」に初の飲み薬が登場の写真
(C) hotoniko - Fotolia.com

非常にまれな遺伝子の異常によって、体内の化学反応を進める酵素が十分に働かなくなるゴーシェ病1型という病気には、イミグルシラーゼという点滴の薬で足りない酵素の働きを補う「酵素補充療法」が標準的な治療とされています。新しく開発されたエリグルスタットが、ゴーシェ病1型に対する初の飲み薬として臨床試験にかけられた結果、イミグルシラーゼに劣らない効果を挙げたことが報告されました。

◆以前に酵素補充療法を受けていた人が対象

研究班は、以前に3年以上の酵素補充療法を受けていた18歳以上のゴーシェ病患者を対象としました。対象者はエリグルスタットの治療を受けるグループと、イミグルシラーゼの治療を受けるグループにランダムに振り分けられました。

[...]以前に酵素補充療法を3年以上受けていた18歳以上のゴーシェ病患者を登録した。患者は39か所の施設で、12か月間経口エリグルスタットの治療を受けるか、イミグルシラーゼの点滴を受けるかで2:1に[...]ランダム化された。

 

◆85%で基準以上の効果あり

試験から次の結果が得られました。

per-protocolの人数分布において、エリグルスタット治療を完了した99人中84人(85%)の患者と、イミグルシラーゼ治療を完了した47人中44人(94%)の患者が複合一次エンドポイントの基準に達した(群間の差は-8.8%、95%信頼区間-17.6から4.2)。95%信頼区間の下限である-17.6%は、あらかじめ特定された非劣性の閾値の範囲内にあった。離脱は動悸(エリグルスタット群の1人)、心筋梗塞(エリグルスタット群の1人)、精神異常(イミグルシラーゼ群の1人)によって起こった。死亡はなかった。エリグルスタット群の106人中97人(92%)と、イミグルシラーゼ群の53人中42人(79%)に治療にともなう有害事象があり、多くは軽度から中等度だった。

血液検査値などから治療効果があったとする基準を満たしたのは、エリグルスタットを実際に使った人の85%、イミグルシラーゼを実際に使った人の94%で、エリグルスタットの治療効果がイミグルシラーゼよりも劣っていないと判断されました。エリグルスタットを使った人で、動悸の症状、また心筋梗塞によりエリグルスタットを中止した人がそれぞれ1人ずついました。イミグルシラーゼを使った人の1人は精神症状によりイミグルシラーゼを中止しました。どちらのグループにも治療中の死亡はありませんでした。

 

この研究などの報告を受けて、エリグルスタットは日本では2015年3月に承認されました。頻繁に点滴を受けなければならなかったゴーシェ病の治療に飲み薬が加われば、患者の生活はより自由になるかもしれません。ただし、長期的な効果と副作用が明らかになるのはこれからです。難病の治療が少しずつ進んでいくことが望まれます。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Eliglustat compared with imiglucerase in patients with Gaucher's disease type 1 stabilised on enzyme replacement therapy: a phase 3, randomised, open-label, non-inferiority trial.

Lancet. 2015 Jun 13

 

[PMID: 25819691]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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