ヘキサブリックス320注20mLの添付文書
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効果・効能
脳血管撮影、血管心臓撮影(冠状動脈撮影を含む)、胸部臓器血管撮影、腹部臓器血管撮影、四肢血管撮影、コンピューター断層撮影における造影、静脈性尿路撮影、ディジタルX線撮影法による静脈性血管撮影。
用法・用量
1回次記量を使用する。なお、年齢、体重、症状、目的により適宜増減する。
脳血管撮影:5~15mL。
血管心臓撮影:20~50mL(冠状動脈撮影:5~8mL)。
胸部臓器血管撮影:5~50mL。
腹部臓器血管撮影:5~60mL。
四肢血管撮影:10~50mL。
コンピューター断層撮影における造影:50~100mL(50mLを超えて投与するときは点滴とする)。
静脈性尿路撮影:20~100mL(50mLを超えて投与するときは点滴とする)。
ディジタルX線撮影法による静脈性血管撮影:30~40mL。
副作用
総症例18,621例中、副作用が報告されたのは1,328例(7.13%)で、主な副作用は発疹337件(1.81%)、嘔気279件(1.50%)、蕁麻疹260件(1.40%)、嘔吐238件(1.28%)、そう痒87件(0.47%)、潮紅76件(0.41%)、鼻炎58件(0.31%)、低血圧36件(0.19%)、咳28件(0.15%)、胸痛18件(0.10%)、高血圧17件(0.09%)、ほてり17件(0.09%)、湿疹16件(0.09%)等であった。
新生児、乳児、幼児及び小児604例中、副作用が報告されたのは33例(5.46%)で、主な副作用は蕁麻疹10件(1.66%)、発疹6件(0.99%)、嘔気5件(0.83%)、咳3件(0.50%)、ほてり3件(0.50%)等であった(再審査終了時)。
重大な副作用
- まれにショック(遅発性ショックを含む)を起こし、失神、意識消失、呼吸困難、呼吸停止、心停止等の症状が現れることがあるので、観察を十分に行い、必要に応じ適切な処置を行い、また、軽度の過敏症状も重篤な症状に進展する場合があるので、観察を十分に行う。
- まれに呼吸困難、チアノーゼ、全身潮紅、喉頭浮腫、顔面浮腫、眼瞼浮腫、気管支痙攣等のアナフィラキシー(遅発性アナフィラキシーを含む)が現れることがあるので、観察を十分に行い、必要に応じ適切な処置を行う。
- まれに急性腎不全が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、適切な処置を行う。
- まれに肺水腫が現れることがあるので、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行う。
- 間質性肺炎が現れることがあるので、発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常等が認められた場合には、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行う。
- まれに血小板減少が現れることがあるので、異常が認められた場合には適切な処置を行う。
- 麻痺、麻痺増強、健忘等の精神神経系症状が現れることがあるので、観察を十分に行い、必要に応じ適切な処置を行う。
- 心室細動、冠動脈攣縮が現れることがあるので、異常が認められた場合には、適切な処置を行う。
- AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、γ-GTP上昇等の肝機能障害、黄疸が現れることがあるので、異常が認められた場合には、適切な処置を行う。
- 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、適切な処置を行う。
- 痙攣発作が現れることがあるので、異常が認められた場合には、適切な処置を行う。
- 脳梗塞等の脳血管障害が現れることがあるので、観察を十分に行い、必要に応じ適切な処置を行う。
重大な副作用(類薬)
他の低浸透圧性造影剤において、ショックを伴わない意識障害、失神が報告されているので、検査終了後も意識レベル等の観察を十分に行い、必要に応じ適切な処置を行う。
その他の副作用:次記のような症状が現れることがあるので、観察を十分に行い、必要に応じ適切な処置を行う。
- 過敏症:(0.1~5%未満)発疹、蕁麻疹、そう痒、潮紅、(0.1%未満)湿疹、紅斑。
- 循環器:(0.1~5%未満)血圧低下、(0.1%未満)血圧上昇、頻脈、徐脈、動悸。
- 呼吸器:(0.1~5%未満)くしゃみ、咳、咽頭不快感・喉頭不快感、(0.1%未満)呼吸困難、喘息、鼻閉。
- 精神神経系:(0.1%未満)頭痛、眩暈、しびれ(しびれ感)、意識障害、あくび、(頻度不明)振戦。
- 感覚器:(0.1%未満)苦味、一過性盲、閃光感。
- 消化器:(0.1~5%未満)嘔気・嘔吐、(0.1%未満)腹痛、腹部不快感、口渇。
- 腎臓:(0.1%未満)腎機能異常。
- その他:(0.1~5%未満)ほてり、(0.1%未満)胸痛、胸内苦悶感、悪寒、発熱、気分不良、冷汗、眼球充血。
使用上の注意
(警告)
ショック等の重篤な副作用が現れることがある。
本剤を脳・脊髄腔内に投与すると重篤な副作用が発現する恐れがあるので、脳槽・脊髄造影には使用しない。
(禁忌)
ヨードに過敏症又はヨード造影剤に過敏症の既往歴のある患者。
重篤な甲状腺疾患のある患者[ヨード過剰に対する自己調節メカニズムが機能できず、症状が悪化する恐れがある]。
(原則禁忌)
一般状態の極度に悪い患者。
気管支喘息のある患者[正常者と比較し、副作用発現率が高いという報告がある]。
重篤な心障害のある患者[重篤な心障害患者においては、症状が悪化する恐れがある(冠状動脈撮影により徐脈、心室細動、心停止を起こす恐れがある)]。
重篤な肝障害のある患者[症状が悪化する恐れがある]。
重篤な腎障害(無尿等)のある患者[本剤の主たる排泄臓器は腎臓であり、腎機能低下患者では急性腎不全等の症状が悪化する恐れがある]。
マクログロブリン血症の患者[静脈性胆嚢造影剤で血液のゲル様変化、血液の沈殿を起こし死亡した例が報告されている]。
多発性骨髄腫の患者[特に多発性骨髄腫で脱水状態がある患者の場合、腎不全(無尿等)を起こす恐れがある]。
褐色細胞腫の患者及びその疑いのある患者[血圧上昇、頻脈、不整脈等の発作が起こる恐れがあるので造影検査は避け、やむを得ず検査を実施する場合には静脈確保の上、フェントラミンメシル酸塩等のα遮断薬及びプロプラノロール塩酸塩等のβ遮断薬の十分な量を用意するなど、これらの発作に対処できるよう十分な準備を行い、慎重に投与する]。
(慎重投与)
本人又は両親、兄弟に発疹、蕁麻疹等のアレルギーを起こしやすい体質を有する患者。
薬物過敏症の既往歴のある患者。
脱水症状のある患者[急性腎不全を起こす恐れがある]。
高血圧症の患者[心・循環器系に影響を及ぼすことがあり、また、高血圧の患者はアテローム性動脈硬化症を併発していることが多く、カテーテル操作によりアテロームが剥離し血管を塞栓させる恐れがある]。
動脈硬化のある患者[心・循環器系に影響を及ぼすことがあり、また、動脈硬化のある患者はアテローム性動脈硬化症を併発していることが多く、カテーテル操作によりアテロームが剥離し血管を塞栓させる恐れがある]。
糖尿病の患者[糖尿病患者は心・腎疾患を合併していることが多い]。
甲状腺疾患のある患者。
肝機能低下している患者[肝機能が悪化する恐れがある]。
腎機能低下している患者[腎機能が悪化する恐れがある]。
高齢者。
幼・小児。
(重要な基本的注意)
ショック等の発現に備え、十分な問診を行う。
投与量と投与方法の如何にかかわらず過敏反応を示すことがある(本剤によるショック等の重篤な副作用は、ヨード過敏反応によるものとは限らず、それを確実に予知できる方法はないので、投与に際しては必ず救急処置の準備を行う)。
投与にあたっては、開始時より患者の状態を観察しながら、過敏反応の発現に注意し、慎重に投与する(また、異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行う)。
重篤な遅発性副作用(遅発性ショックを含む)等が現れることがあるので、投与中及び投与後も、患者の状態を十分に観察する。
外来患者に使用する場合には、本剤投与開始より1時間~数日後にも遅発性副作用の発現の可能性があることを患者に説明した上で、発疹、蕁麻疹、そう痒、潮紅、低血圧、嘔気、嘔吐等の副作用と思われる症状が発現した場合には、速やかに主治医に連絡するように指示するなど適切な対応をとる。
(相互作用)
併用注意:ビグアナイド系糖尿病薬(メトホルミン塩酸塩、ブホルミン塩酸塩)[乳酸アシドーシスが現れることがあるので、本剤を使用する場合は、ビグアナイド系糖尿病薬の投与を一時的に中止するなど適切な処置を行う(ビグアナイド系糖尿病薬の腎排泄が減少し、血中濃度が上昇すると考えられる)]。
(高齢者への投与)
一般に高齢者では生理機能が低下しているので、使用量を必要最小限にするなど患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与する。特に、脱水状態の高齢者の患者への投与は行わない。
(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には診断上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない、また、本剤投与の際はX線照射を伴う]。
本剤投与後24時間以内は授乳を避けさせる[動物(ヤギ静脈内投与)で乳汁中への移行が報告されている]。
(小児等への投与)
新生児、乳児、幼児又は小児に投与する場合には、患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与する。
(臨床検査結果に及ぼす影響)
甲状腺機能検査等の放射性ヨードによる診断は本剤の投与前に実施し、また、本剤投与後1カ月間は放射性ヨードによる検査を実施しない(放射性ヨードによる検査値に影響を及ぼすことがある)。
(適用上の注意)
投与時:
- 静脈内投与の手技により血管痛、血栓性静脈炎を起こすことがある。
- 投与前に体温まで温める。
- 投与前に極端な水分制限をしない[造影検査時に脱水状態下にあると、腎障害、あるいは血管拡張とhypovolemiaにより引き起こされる血圧低下が発現しやすくなる]。また、投与後は水分補給を行い、造影剤の速やかな排泄を促す。
- 誤って血管外に造影剤を漏出させた場合には、発赤、腫脹、水疱、血管痛等が現れることがあるので、注入時に十分注意する。
- 開封後は速やかに使用する。
注入装置:注入装置の洗浄が不十分な場合には、注入器内部に付着する残存液に由来する銅イオン溶出等によって、生成物を生じる恐れがあるので、使い捨て以外の器具を用いる場合には内部の汚れに注意し、洗浄、滅菌を十分に行う。
血液凝固:本剤は、in vitroにおいて、非イオン性ヨード系造影剤よりも血液凝固を阻害する作用が強く、クロットの形成が起こりにくいと報告されているが、血管撮影にあたっては、カテーテル内をよくフラッシュする、また注入器やカテーテル内で造影剤と血液を長時間にわたって接触させることは避ける等、慎重に行う。
配合変化:血管拡張剤(特にパパベリン塩酸塩)、抗ヒスタミン剤、アモバルビタール等と混合すると沈殿等を生じる可能性があるので、薬剤を併用する場合には、別々に使用するか、又はカテーテル内を生理食塩液で洗浄するなど、直接混合しないよう注意する。また、食道静脈瘤硬化療法剤のモノエタノールアミンオレイン酸塩と混合すると、白濁したり粘度が低下しないことがあるので使用しない。
(その他の注意)
本剤投与後、腎機能に関係なく胆嚢が造影されることがある。
(保管上の注意)
遮光。