処方薬
デシコビ配合錠LT
先発

デシコビ配合錠LTの添付文書

添付文書PDFファイル

PDFファイルを開く

※添付文書のPDFファイルは随時更新しておりますが、常に最新であるとは限りません。予めご了承ください。

効果・効能

HIV-1感染症。

(効能又は効果に関連する注意)

本剤による治療にあたっては、患者の治療歴及び可能な場合には薬剤耐性検査(遺伝子型解析あるいは表現型解析)を参考にすること。

用法・用量

通常、成人及び12歳以上かつ体重35kg以上の小児には、次の用法・用量で経口投与する。投与に際しては、必ず他の抗HIV薬と併用すること。

〈リトナビル又はコビシスタットと併用する場合〉

デシコビ配合錠LT(エムトリシタビンとして200mg及びテノホビル アラフェナミドとして10mgを含有)を1日1回1錠経口投与する。

〈リトナビル又はコビシスタットと併用しない場合〉

デシコビ配合錠HT(エムトリシタビンとして200mg及びテノホビル アラフェナミドとして25mgを含有)を1日1回1錠経口投与する。

(用法及び用量に関連する注意)

    1. 本剤はエムトリシタビン及びテノホビル アラフェナミドフマル酸塩の2成分を含有した配合錠であるので、エムトリシタビンを含む製剤及びテノホビル アラフェナミドフマル酸塩を含む製剤と併用しないこと(また、テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を含む製剤についても併用しないこと)。
    1. エムトリシタビンと類似の薬剤耐性、ウイルス学的特性を有しているラミブジンを含む製剤と併用しないこと。また、ラミブジン及びテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を含む抗HIV療法においてウイルス学的効果が得られないで、HIV-1逆転写酵素遺伝子M184V/I変異が認められた場合、ラミブジン及びテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を本剤に変更することのみで効果の改善は期待できない。
    1. 本剤投与後、クレアチニンクリアランスが30mL/min未満に低下した場合は、投与の中止を考慮すること〔8.4、9.1.2、9.2.1、10.2、11.1.1、16.6.1参照〕。

副作用

次の副作用が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    1. 重大な副作用
  1. 1.1. 腎不全又は重度の腎機能障害(1%未満):腎機能不全、腎不全、急性腎障害、近位腎尿細管機能障害、ファンコニー症候群、急性腎尿細管壊死、腎性尿崩症又は腎炎等の重度腎機能障害が現れることがあるので、臨床検査値に異常が認められた場合には、投与を中止する等、適切な処置を行うこと(特に腎機能障害の既往がある患者や腎毒性のある薬剤投与中の患者では注意すること)〔7.3、8.4、9.1.2、9.2.1、10.2、16.6.1参照〕。

  2. 1.2. 乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度肝腫大(脂肪肝)(頻度不明):乳酸アシドーシス又は肝細胞毒性が疑われる臨床症状又は肝細胞毒性が疑われる検査値異常(アミノトランスフェラーゼの急激な上昇等)が認められた場合には、本剤の投与を一時中止すること(特に肝疾患の危険因子を有する患者においては注意すること)。エムトリシタビン又はテノホビルを含む核酸系逆転写酵素阻害薬の単独投与又はこれらの併用療法により、重篤な乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度肝腫大(脂肪肝)が、女性に多く報告されている。

    1. その他の副作用
    1. 代謝及び栄養障害:(2%未満)食欲減退、高コレステロール血症、(頻度不明)体脂肪再分布/体脂肪蓄積。
    2. 精神障害:(2%未満)異常な夢、不眠症。
    3. 神経系障害:(2%以上)頭痛、(2%未満)浮動性めまい、傾眠。
    4. 胃腸障害:(2%以上)悪心、下痢、放屁、(2%未満)嘔吐、腹部膨満、腹痛、上腹部痛、便秘、消化不良。
    5. 皮膚及び皮下組織障害:(2%未満)発疹、(頻度不明)血管性浮腫、蕁麻疹。
    6. 筋骨格系及び結合組織障害:(2%未満)骨減少症、骨粗鬆症。
    7. 腎及び尿路障害:(2%未満)蛋白尿。
    8. 一般・全身障害及び投与部位の状態:(2%以上)疲労。

使用上の注意

(警告)

B型慢性肝炎を合併している患者では、本剤の投与中止により、B型慢性肝炎が再燃するおそれがあるので、本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。特に非代償性B型慢性肝炎の場合、本剤の投与中止により、重症化するおそれがあるので注意すること〔9.1.1参照〕。

(禁忌)

    1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
    1. テラプレビル投与中の患者〔10.1参照〕。

(重要な基本的注意)

    1. 本剤による治療は、抗HIV療法に十分な経験を持つ医師のもとで開始すること。
    1. 本剤の使用に際しては、国内外のガイドライン等の最新の情報を参考に、患者又はそれに代わる適切な者に次の事項についてよく説明し同意を得た後、使用すること。
  1. 2.1. 本剤はHIV感染症の根治療法薬ではないことから、日和見感染症を含むHIV感染症の進展に伴う疾病を発症し続ける可能性があるので、本剤投与開始後の身体状況の変化についてはすべて担当医に報告すること。

  2. 2.2. 本剤の長期投与による影響については現在のところ不明であること。

  3. 2.3. 担当医の指示なしに用量を変更したり、服用を中止したりしないこと。

  4. 2.4. 本剤は併用薬剤と相互作用を起こすことがあるため、服用中のすべての薬剤を担当医に報告すること。また、本剤で治療中に新たに他の薬剤を服用する場合、事前に担当医に相談すること。

    1. 抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で、免疫再構築炎症反応症候群が報告されている(投与開始後、免疫機能が回復し、症候性のみならず無症候性日和見感染に対する炎症反応(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス、サイトメガロウイルス、ニューモシスチス等によるもの)等が発現することがあり、また、免疫機能の回復に伴い自己免疫疾患(甲状腺機能亢進症、多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、ブドウ膜炎等)が発現するとの報告があるので、これらの症状を評価し、必要時には適切な治療を考慮すること)。
    1. 本剤投与前にクレアチニンクリアランス、尿糖及び尿蛋白の検査を実施し、クレアチニンクリアランスが30mL/min以上であることを確認すること。また、本剤投与後も定期的な検査等により患者の状態を注意深く観察すること〔7.3、9.1.2、9.2.1、10.2、11.1.1、16.6.1参照〕。
    1. アジア系人種におけるエムトリシタビンの薬物動態は十分に検討されていないが、少数例の健康成人及びB型慢性肝炎のアジア系人種において、Cmax上昇を示唆する成績が得られているので、HBV感染症合併患者を含め、副作用の発現に注意すること。
    1. エムトリシタビン製剤の臨床試験において皮膚変色が発現し、その発現頻度は有色人種で高いことが示唆されている。その原因は現在のところ不明である。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

  1. 1.1. B型肝炎ウイルス感染を合併している患者:本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。B型慢性肝炎を合併している患者では、本剤の投与中止により、B型慢性肝炎が再燃するおそれがある。特に非代償性B型慢性肝炎の場合、本剤の投与中止により、重症化するおそれがある〔1.警告の項参照〕。

  2. 1.2. 腎機能障害のリスクを有する患者:血清リンの検査を実施すること〔7.3、8.4、9.2.1、10.2、11.1.1、16.6.1参照〕。

  3. 1.3. 病的骨折の既往のある患者又はその他の慢性骨疾患を有する患者:十分な観察を行い、異常が認められた場合には、投与を中止する等、適切な処置を行うこと(非臨床試験及び臨床試験において、骨密度低下と骨代謝生化学マーカー上昇が認められ、骨代謝亢進が示唆された。また、抗HIV薬による治療経験がないHIV-1感染症患者に対し、テノホビル アラフェナミドフマル酸塩を含有する製剤が投与された臨床試験において、骨密度が低下した症例が認められた)。

(腎機能障害患者)

  1. 2.1. 重度腎機能障害のある患者:エムトリシタビンの血中濃度が上昇する〔7.3、8.4、9.1.2、10.2、11.1.1、16.6.1参照〕。

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(動物試験(サル)においてテノホビルの胎仔への移行が報告されている)。

(授乳婦)

授乳を避けさせること(テノホビル及びエムトリシタビンのヒト乳汁への移行が報告されており、なお、テノホビル アラフェナミドのヒト乳汁への移行は不明であり、また、女性のHIV感染症患者は、乳児のHIV感染を避けるため、乳児に母乳を与えないことが望ましい)。

(小児等)

低出生体重児、新生児、乳児、幼児、12歳未満の小児又は体重35kg未満の小児を対象とした臨床試験は実施していない〔16.1.6参照〕。

(高齢者)

患者の肝、腎及び心機能の低下、合併症、併用薬等を十分に考慮すること。

(相互作用)

テノホビル及びエムトリシタビン:糸球体ろ過と能動的な尿細管分泌により腎排泄される。

テノホビル アラフェナミド:カテプシンA及びP-gpの基質である〔16.7.1参照〕。

    1. 併用禁忌

    テラプレビル(テラビック)〔2.2参照〕[テノホビル アラフェナミドの抗HIV-1活性が低下するため、本剤の効果が減弱する可能性がある(テラプレビルのカテプシンA活性阻害作用によるため)]。

    1. 併用注意
    1. カルバマゼピン、フェノバルビタール、フェニトイン、ホスフェニトイン、リファブチン、リファンピシン、セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品(St.John’s Wort)〔16.7.2参照〕[これらの薬剤と併用することにより、テノホビル アラフェナミドの血中濃度が低下する可能性がある(これら薬剤のP-gp誘導作用によるため)]。
    2. アシクロビル、バラシクロビル塩酸塩、ガンシクロビル、バルガンシクロビル塩酸塩[これら薬剤・テノホビル又はエムトリシタビンの血中濃度が上昇し、これら薬剤又は本剤による有害事象を増強する可能性がある(尿細管への能動輸送により排泄される薬剤と併用する場合、排泄経路の競合により排泄が遅延するため)]。
    3. 腎毒性を有する薬剤〔7.3、8.4、9.1.2、9.2.1、11.1.1、16.6.1参照〕[併用は避けることが望ましい(腎毒性を有する薬剤は腎機能障害の危険因子となる)]。

(過量投与)

    1. 処置

    過量投与時、エムトリシタビン及びテノホビルは血液透析により一部除去される。

(取扱い上の注意)

開栓後は、湿気を避けて保存すること。

(保管上の注意)

室温保存。