プリジスタナイーブ錠800mgの添付文書
添付文書PDFファイル
※添付文書のPDFファイルは随時更新しておりますが、常に最新であるとは限りません。予めご了承ください。
効果・効能
HIV感染症。
(効能又は効果に関連する注意)
- 本剤による治療にあたっては、患者の治療歴及び可能な場合には薬剤耐性検査(遺伝子型解析あるいは表現型解析)を参考にすること。
1.2. 本剤は抗HIV薬の治療経験がないHIV感染患者あるいはダルナビル耐性関連変異を持たない抗HIV薬既治療患者に使用すること〔7.1参照〕。
- 無症候性HIV感染症の治療開始時期はCD4陽性リンパ球数及び血漿中HIV RNA量が指標とされている。本剤の使用にあたっては、患者のCD4陽性リンパ球数及び血漿中HIV RNA量を確認するとともに、最新のガイドラインを確認すること。
- 小児HIV感染症に対しては、本剤投与による有効性及び安全性が確立していない〔9.7.2参照〕。
用法・用量
通常、成人にはダルナビルとして1回800mgとリトナビル1回100mgをそれぞれ1日1回食事中又は食直後に併用投与する。投与に際しては、必ず他の抗HIV薬と併用すること。
(用法及び用量に関連する注意)
- 本剤は次を参照し使用すること。
- 抗HIV薬による治療経験がないHIV感染患者:プリジスタナイーブ錠800mg1錠を1日1回投与。
- 抗HIV薬による治療経験があり、ダルナビル耐性関連変異を持たない患者:プリジスタナイーブ錠800mg1錠を1日1回投与。
抗HIV薬による治療経験があり、少なくとも1つのダルナビル耐性関連変異を持つ患者:プリジスタ錠600mg1錠を1日2回投与。
なお、抗HIV薬による治療経験のある患者には薬剤耐性遺伝子型検査の実施が推奨されるが、遺伝子型検査が行えない場合には、プリジスタ錠600mg1錠を1日2回投与が推奨される〔5.1.2参照〕。
- 本剤の使用に際しては、「6.用法及び用量」の記載に従い、必ず薬物動態学的増強因子(ブースター)としてリトナビルを併用すること。
- ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、感染初期から多種多様な変異株を生じ、薬剤耐性を発現しやすいことが知られているので、本剤は他の抗HIV薬と併用すること。
- 本剤と他の抗HIV薬との併用療法において、因果関係が特定できない重篤な副作用が発現し、治療の継続が困難であると判断された場合には、本剤若しくは併用している他の抗HIV薬の一部を減量又は休薬するのではなく、原則として本剤及び併用している他の抗HIV薬の投与をすべて一旦中止すること。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
1.1. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(頻度不明)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(0.1%未満)、多形紅斑(0.1%未満)、急性汎発性発疹性膿疱症(頻度不明):重度発疹があらわれた場合は、本剤の投与を直ちに中止し適切な処置を行うこと。
1.2. 肝機能障害、黄疸(頻度不明):AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある〔8.7参照〕。
1.3. 急性膵炎(0.5%)。
- その他の副作用
- 感染症及び寄生虫症:(1%未満)毛包炎。
- 免疫系障害:(1%以上)過敏症、(1%未満)免疫再構築症候群。
- 代謝及び栄養障害:(1%以上)高トリグリセリド血症(5.5%)、食欲不振、高コレステロール血症、高脂血症、糖尿病、高血糖、(1%未満)脂質異常症、LDL増加、食欲減退、肥満、低ナトリウム血症、多飲症。
- 精神障害:(1%未満)異常な夢、錯乱状態、失見当識、易刺激性、気分変動、悪夢、不安。
- 神経系障害:(1%以上)頭痛(13.8%)、(1%未満)末梢性ニューロパシー、感覚鈍麻、記憶障害、錯感覚、傾眠、一過性脳虚血発作。
- 耳及び迷路障害:(1%未満)回転性めまい。
- 心臓障害:(1%未満)心筋梗塞、頻脈。
- 血管障害:(1%未満)高血圧。
- 呼吸器、胸郭及び縦隔障害:(1%未満)呼吸困難、咳嗽、しゃっくり。
- 胃腸障害:(1%以上)下痢(23.7%)、悪心(14.9%)、腹痛(8.7%)、嘔吐(7.6%)、膵酵素増加、鼓腸、腹部膨満、消化不良、(1%未満)便秘、口内乾燥。
- 肝胆道系障害:(1%以上)肝酵素増加、(1%未満)急性肝炎。
- 皮膚及び皮下組織障害:(1%以上)発疹(10.3%)、皮膚そう痒症(5.6%)、体脂肪再分布/体脂肪蓄積、血管浮腫、(1%未満)寝汗、アレルギー性皮膚炎、湿疹、中毒性皮疹、脱毛症、薬剤性皮膚炎、多汗症、皮膚炎症、斑状丘疹状皮疹、蕁麻疹。
- 筋骨格系及び結合組織障害:(1%以上)筋肉痛、(1%未満)関節痛、四肢痛、骨減少症、骨粗鬆症、骨壊死。
- 腎及び尿路障害:(1%未満)急性腎障害、腎機能不全、腎結石症、多尿。
- 生殖系及び乳房障害:(1%未満)女性化乳房。
- 全身障害及び投与局所様態:(1%以上)疲労(8.6%)、無力症(5.5%)、(1%未満)発熱、悪寒、高熱、末梢性浮腫。
- 臨床検査:(1%以上)白血球数減少、好中球数減少、好中球絶対数減少、リンパ球数減少、部分トロンボプラスチン時間延長。
使用上の注意
(禁忌)
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
- トリアゾラム投与中、ミダゾラム投与中、ピモジド投与中、エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン投与中、ジヒドロエルゴタミン投与中、エルゴメトリン投与中、メチルエルゴメトリン投与中、バルデナフィル投与中、ブロナンセリン投与中、シルデナフィル(レバチオ)投与中、タダラフィル(アドシルカ)投与中、アゼルニジピン投与中、アゼルニジピン・オルメサルタン メドキソミル投与中、ルラシドン投与中、アスナプレビル投与中、ダクラタスビル塩酸塩・アスナプレビル・ベクラブビル塩酸塩投与中、グラゾプレビル投与中、リバーロキサバン投与中の患者〔10.1参照〕。
- 腎機能障害あるいは肝機能障害患者で、コルヒチンを投与中の患者〔9.2.1、9.3.1、10.2参照〕。
- 低出生体重児、新生児、乳児、3歳未満の幼児〔9.7.1、15.2.2参照〕。
(重要な基本的注意)
- 本剤の使用に際しては、国内外のガイドライン等の最新の情報を参考に、患者又は患者に代わる適切な者に、次の事項についてよく説明し同意を得た後、使用すること。
1.1. 本剤はHIV感染症の根治療法薬ではないことから、日和見感染を含むHIV感染症の進展に伴う疾病を発症し続ける可能性があるので、本剤投与開始後の身体状況の変化については、すべて担当医に報告すること。
1.2. 本剤の長期投与による影響については、現在のところ不明であること。
1.3. 抗HIV療法による効果的なウイルス抑制は、性的接触による他者へのHIV感染の危険性を低下させることが示されているが、その危険性を完全に排除することはできないこと。
1.4. 抗HIV療法が、血液等による他者へのHIV感染の危険性を低下させるかどうかは証明されていないこと。
1.5. 本剤投与開始後、担当医の指示なしに用量を変更したり、服用を中止したりしないこと。
1.6. 本剤は併用薬剤と相互作用を起こすことがあるため、服用中のすべての薬剤を担当医に報告すること。また、本剤で治療中に新たに他の薬剤を服用する場合、事前に担当医に相談すること。
- 本剤による治療は、抗HIV療法に十分な経験を持つ医師のもとで開始すること。
- HIVプロテアーゼ阻害剤による治療中の患者で、糖尿病の発症又は糖尿病増悪、高血糖が発現し、その中には糖尿病性ケトアシドーシスを合併した例が報告されている。
- 海外臨床試験において、発疹は因果関係の不明なものも含め10.3%の患者に認められ、本剤の投与中止を要する発疹は0.5%、発熱を伴う重度発疹及び肝酵素値上昇を伴う重度発疹は0.4%、皮膚粘膜眼症候群は0.1%未満に認められた。また、発疹の多くは軽度から中等度であり、投与開始4週以内に発現したが投与継続中に寛解した。なお、治療経験のある患者を対象とした海外臨床試験において、本剤及びラルテグラビルを含むレジメンを使用した場合、本剤又はラルテグラビルの一方を含むレジメンと比較して、薬剤との因果関係が明らかでない皮疹も含めた発疹の発現率が高かった。しかし、薬剤に関連した発疹の発現率には差がなく、発疹は軽度から中等度で治療制限及び投与中止はなかった。
- 本剤を含む抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で、免疫再構築症候群が報告されている(投与開始後、免疫機能が回復し、症候性のみならず無症候性日和見感染に対する炎症反応(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス、サイトメガロウイルス、ニューモシスチス等によるもの)等が発現することがあり、また、免疫機能の回復に伴い自己免疫疾患(甲状腺機能亢進症、多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、ブドウ膜炎等)が発現するとの報告があるので、これらの症状を評価し、必要時には適切な治療を考慮すること)。
- 本剤による治療中に浮動性めまいが報告されているので、自動車の運転等危険を伴う機械の操作には注意すること。
- 肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、定期的な肝機能検査を行うなど、観察を十分に行うこと〔11.1.2参照〕。
(特定の背景を有する患者に関する注意)
(合併症・既往歴等のある患者)
1.1. 血友病患者及び著しい出血傾向を有する患者:HIVプロテアーゼ阻害剤で治療中の血友病患者において、皮膚血腫及び出血性関節症等の出血事象増加が報告されている。
1.2. スルホンアミド系薬剤に過敏症の既往歴のある患者:交叉過敏症があらわれる可能性がある(ダルナビルはスルホンアミド基を有する)。
(腎機能障害患者)
- 2.1. 腎機能障害患者で、コルヒチンを投与中の患者:投与しないこと(コルヒチンの血中濃度を上昇させる可能性がある)〔2.3、10.2参照〕。
(肝機能障害患者)
3.1. 肝機能障害患者で、コルヒチンを投与中の患者:投与しないこと(コルヒチンの血中濃度を上昇させる可能性がある)〔2.3、10.2参照〕。
3.2. 肝機能障害患者(コルヒチンを投与中の患者を除く):定期的に肝機能検査を行うなど患者の状態を十分に観察し、肝機能悪化が認められた場合には休薬又は投与中止を考慮すること(本剤は主に肝臓で代謝され、肝障害患者では高い血中濃度が持続するおそれがある)〔16.6.1参照〕。
3.3. 慢性活動性B型及び/又はC型肝炎患者等投与前に肝機能異常が認められる患者(コルヒチンを投与中の患者を除く):定期的に肝機能検査を行うなど患者の状態を十分に観察し、肝機能悪化が認められた場合には休薬又は投与中止を考慮すること(本剤は主に肝臓で代謝され、肝障害患者では高い血中濃度が持続するおそれがあり、また、肝機能をさらに悪化させる可能性がある(海外第2b/3相試験において、B型及び/又はC型肝炎重複感染患者では、有害事象及び臨床検査値異常のうち、肝酵素の上昇の発現頻度が非重複感染患者より高かった))。
(妊婦)
5.1. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
5.2. 妊娠中期及び妊娠後期の妊婦に本剤/リトナビルを投与したとき、出産後と比較しダルナビルの血中濃度低下が認められている〔16.6.3参照〕。
(授乳婦)
授乳を避けさせること(ダルナビルは、動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されているが、ヒトにおける乳汁への移行は不明である)。
(小児等)
7.1. 低出生体重児、新生児、乳児、3歳未満の幼児には投与しないこと〔2.4、15.2.2参照〕。
7.2. 3歳以上の幼児、小児における臨床試験は実施していない〔5.3参照〕。
(高齢者)
副作用の発現に注意し慎重に投与すること(本剤は、主として肝臓で代謝されるが、高齢者では肝機能が低下していることが多く、高い血中濃度が持続するおそれがある)。
(相互作用)
本剤は代謝酵素チトクロームP450(CYP3A4)阻害作用を有することから、CYP3A4により代謝される薬剤と併用したとき、併用薬剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。また、本剤はCYP3A4によって代謝されることから、CYP3A4を誘導する薬剤と併用したとき本剤の血中濃度が低下し、本剤はCYP3A4によって代謝されることから、CYP3A4を阻害する薬剤と併用したとき本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
- 併用禁忌:
- トリアゾラム(ハルシオン)、ミダゾラム(ドルミカム、ミダフレッサ、ブコラム)〔2.2参照〕[これらの薬剤の血中濃度上昇により、過度の鎮静や呼吸抑制等の重篤な又は生命に危険を及ぼすような事象が起こる可能性がある(本剤及びリトナビルのCYP3A4に対する阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
- ピモジド(オーラップ)〔2.2参照〕[ピモジドの血中濃度上昇により、不整脈等の重篤な又は生命に危険を及ぼすような事象が起こる可能性がある(本剤及びリトナビルのCYP3A4に対する阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
- エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン(クリアミン)、ジヒドロエルゴタミン(ジヒデルゴット)、エルゴメトリン、メチルエルゴメトリン(パルタンM)〔2.2参照〕[これらの薬剤の血中濃度上昇により、末梢血管痙縮・虚血等の重篤な又は生命に危険を及ぼすような事象が起こる可能性がある(本剤及びリトナビルのCYP3A4に対する阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
- バルデナフィル(レビトラ)〔2.2参照〕[バルデナフィルの血中濃度が上昇し半減期が延長するおそれがある(本剤及びリトナビルのCYP3A4に対する阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
- ブロナンセリン(ロナセン)〔2.2参照〕[ブロナンセリンの血中濃度が上昇し作用が増強するおそれがある(本剤及びリトナビルのCYP3A4に対する阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
- シルデナフィル(レバチオ)〔2.2参照〕[これらの薬剤の血中濃度を上昇させるおそれがある(シルデナフィルとリトナビルとの併用により、シルデナフィルのCmax及びAUCがそれぞれ3.9倍及び10.5倍に増加したとの報告がある)(本剤及びリトナビルのCYP3A4に対する阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
- タダラフィル(アドシルカ)〔2.2参照〕[これらの薬剤の血中濃度を上昇させるおそれがある(本剤及びリトナビルのCYP3A4に対する阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
- アゼルニジピン(カルブロック)、アゼルニジピン・オルメサルタン メドキソミル(レザルタス配合錠)〔2.2参照〕[アゼルニジピンの血中濃度が上昇し作用が増強するおそれがある(本剤及びリトナビルのCYP3A4に対する阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
- ルラシドン(ラツーダ)〔2.2参照〕[ルラシドンの血中濃度が上昇し作用が増強するおそれがある(本剤及びリトナビルのCYP3A4に対する阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
- アスナプレビル(スンベプラ)、ダクラタスビル塩酸塩・アスナプレビル・ベクラブビル塩酸塩(ジメンシー配合錠)〔2.2参照〕[アスナプレビルの血中濃度が上昇し肝臓に関連した有害事象が発現しまた重症化する可能性がある(本剤及びリトナビルのCYP3A4に対する阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
- グラゾプレビル(グラジナ)〔2.2参照〕[グラゾプレビルの血中濃度が上昇する可能性がある(本剤のCYP3A4及びOATP1Bに対する阻害作用により、グラゾプレビルの代謝が阻害される)]。
- リバーロキサバン(イグザレルト)〔2.2参照〕[リバーロキサバンの血中濃度が上昇し抗凝固作用が増強されることにより出血の危険性が増大するおそれがある(本剤及びリトナビルのCYP3A4に対する阻害作用又はP糖蛋白阻害作用により、リバーロキサバンの血中濃度が上昇することがある)]。
- 併用注意:
- リファンピシン、セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品(St.John’s Wort)、フェノバルビタール、フェニトイン[本剤の血中濃度が低下し本剤の効果が減弱するおそれがあるため、併用はなるべく避けること(これらの薬剤の薬物代謝酵素誘導作用により、本剤の代謝が促進される)]。
- デキサメタゾン(全身投与)[本剤の血中濃度が低下し本剤の効果が減弱するおそれがあるので、併用する場合には注意して投与すること(これらの薬剤の薬物代謝酵素誘導作用により、本剤の代謝が促進される)]。
- リファブチン[本剤/リトナビル600/100mg1日2回とリファブチン150mg2日1回を併用したとき、リファブチンの活性代謝物のAUCが9.8倍に増加したので、併用する場合には必要に応じてリファブチンの投与量を減量するなど注意して投与すること(本剤及びリトナビルのCYP3A4に対する阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
- シンバスタチン、アトルバスタチン[これらの薬剤の血中濃度上昇により横紋筋融解症が起こる可能性があるので、併用する場合には必要に応じて併用薬剤の投与量を減量するなど注意して投与すること(本剤及びリトナビルのCYP3A4に対する阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
- サルメテロール[サルメテロールの血中濃度上昇でQT延長・動悸・洞性頻脈などの心血管系事象の発現リスク増大する可能性があるので、併用する場合には必要に応じてサルメテロールの投与量を減量するなど注意して投与すること(本剤及びリトナビルのCYP3A4に対する阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
- クラリスロマイシン[本剤/リトナビル400/100mg1日2回とクラリスロマイシン500mg1日2回を併用したとき、クラリスロマイシンのAUCが57%増加したので、併用する場合には必要に応じてクラリスロマイシンの投与量を減量するなど注意して投与すること(本剤及びリトナビルのCYP3A4に対する阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
- カルバマゼピン[本剤/リトナビル600/100mg1日2回とカルバマゼピン200mg1日2回を併用したとき、カルバマゼピンのAUCが45%増加したので、併用する場合には必要に応じてカルバマゼピンの投与量を減量するなど注意して投与すること(本剤及びリトナビルのCYP3A4に対する阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
- シルデナフィル(バイアグラ)、タダラフィル(シアリス・ザルティア)、アミオダロン、ベプリジル、リドカイン(全身投与)、キニジン、シクロスポリン、タクロリムス、Ca拮抗剤(アゼルニジピンは併用禁忌)(フェロジピン、ニフェジピン、ニカルジピン等)、フルチカゾン、ダサチニブ、エベロリムス、ボセンタン、アピキサバン[これらの薬剤の血中濃度を上昇させる可能性があるので、併用する場合には必要に応じて併用薬剤の投与量を減量するなど注意して投与すること(本剤及びリトナビルのCYP3A4に対する阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
- ロスバスタチン、プラバスタチン[これらの薬剤の血中濃度上昇により横紋筋融解症が起こる可能性があるので、併用する場合には必要に応じて併用薬剤の投与量を減量するなど注意して投与すること(機序不明)]。
- ジゴキシン[本剤/リトナビル600/100mg1日2回とジゴキシン0.4mg1日1回を併用したとき、ジゴキシンのAUCが77%増加したので、併用する場合には必要に応じてジゴキシンの投与量を減量するなど注意して投与すること(本剤及びリトナビルのP糖蛋白質阻害作用により、ジゴキシンの血中濃度が上昇することがある)]。
- コルヒチン〔2.3、9.2.1、9.3.1参照〕[コルヒチンの血中濃度を上昇させる可能性がある(コルヒチンとリトナビルとの併用により、コルヒチンのAUCが196%増加したとの報告がある)ので、併用する場合には必要に応じてコルヒチンの投与量を減量するなど注意して投与すること(本剤及びリトナビルのCYP3A4に対する阻害作用又はP糖蛋白阻害作用により、コルヒチンの血中濃度が上昇することがある)]。
- グレカプレビル・ピブレンタスビル[グレカプレビルの血中濃度を上昇させる可能性があるので、併用する場合には必要に応じてグレカプレビル・ピブレンタスビルの投与量を減量するなど注意して投与すること(本剤及びリトナビルのP糖蛋白、BCRP又はOATP1B阻害作用により、グレカプレビルの血中濃度が上昇することがある)]。
- 経口避妊剤(エチニルエストラジオール、ノルエチステロン等)[本剤/リトナビル600/100mg1日2回とエチニルエストラジオール/ノルエチステロン35μg/1mg1日1回を併用したとき、それぞれエチニルエストラジオールのAUCは44%減少及びノルエチステロンのAUCは14%減少したので、本剤を投与する場合は、別の避妊方法を行うことが望ましい(リトナビルの薬物代謝酵素誘導作用により、これらの薬剤の代謝が促進される)]。
- セルトラリン[本剤/リトナビル400/100mg1日2回と併用したとき、セルトラリン(50mg1日1回)のAUCが49%減少したので、併用する場合には注意して投与すること(機序不明)]。
- パロキセチン[本剤/リトナビル400/100mg1日2回と併用したとき、パロキセチン(20mg1日1回)のAUCが39%減少したので、併用する場合には注意して投与すること(機序不明)]。
- メサドン[本剤/リトナビル600/100mg1日2回とメサドンを併用したとき、それぞれR-メサドンのAUCが16%減少及びS+メサドンのAUCが36%減少したので、併用する場合には注意して投与すること(機序不明)]。
- イトラコナゾール、ケトコナゾール(国内では外用剤のみ発売)、ボリコナゾール[本剤又はこれらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性があるので、併用する場合には必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど注意して投与すること(本剤及びリトナビルとこれらの薬剤のCYP3A4に対する阻害作用により、相互に代謝が阻害される)]。
- ワルファリン[ワルファリンの血中濃度に影響を与えることがあるので、併用する場合には必要に応じて本剤又はワルファリンの投与量を調節するなど注意して投与すること(本剤及びリトナビルの薬物代謝酵素に対する阻害作用により、血中濃度に変化がおこることがある)]。
ヌクレオシド/ヌクレオチド系逆転写酵素阻害剤(NRTI/NtRTI):
①. ジダノシン[ジダノシン400mg1日1回(空腹時投与)と本剤/リトナビル600/100mg1日2回(食直後投与)を併用したとき、本剤及びジダノシンの薬物動態に有意な影響はみられなかった(本剤/リトナビルと併用する場合には、用量を調節する必要はないが、なお、ジダノシンは空腹時に服用することが望ましいため、本剤服用の1時間前又は2時間後にジダノシンを服用するなど本剤と同時に投与しないこと)]。
②. テノホビル[テノホビル(フマル酸テノホビルジソプロキシル300mg1日1回)と本剤/リトナビル300/100mg1日2回を併用したとき、テノホビルのAUCが22%増加したが、本剤/リトナビルと併用する場合には、用量を調節する必要はない(機序不明)]。
③. ジドブジン、ザルシタビン、エムトリシタビン、サニルブジン、ラミブジン、アバカビル[これらの薬剤との相互作用を示さないと推察される(これらの薬剤は主に腎排泄型であり、本剤と排泄経路が異なる)]。
非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI):
①. エトラビリン[本剤/リトナビル600/100mg1日2回とエトラビリン100mg1日2回を併用したとき、エトラビリンのAUCが37%減少したが、本剤/リトナビルと併用する場合には、用量を調節する必要はない(機序不明)]。
②. エファビレンツ[本剤/リトナビル300/100mg1日2回とエファビレンツ600mg1日1回を併用したとき、本剤のAUCが13%減少し、エファビレンツのAUCが21%増加したが、本剤/リトナビルと併用する場合には、用量を調節する必要はない(エファビレンツの薬物代謝酵素誘導作用により本剤の代謝が促進される)]。
③. ネビラピン[本剤/リトナビル400/100mg1日2回とネビラピン200mg1日2回を併用したとき、ネビラピンのAUCが27%増加したが、本剤/リトナビルと併用する場合には、用量を調節する必要はない(本剤及びリトナビルのCYP3A4に対する阻害作用により、ネビラピンの代謝が阻害される)]。
④. リルピビリン[本剤/リトナビル800/100mg1日1回とリルピビリン150mg1日1回を併用したとき、リルピビリンのAUCが130%増加したが、本剤/リトナビルとリルピビリンを併用する場合には、用量を調節する必要はない(本剤及びリトナビルのCYP3A4に対する阻害作用により、リルピビリンの代謝が阻害される)]。
HIVプロテアーゼ阻害剤(PI):
①. リトナビル[本剤600mgとリトナビル100mgをそれぞれ1日2回併用したとき、リトナビルにより本剤のAUCは14倍に増加したが、本剤はリトナビル100mgを併用投与することが推奨される(リトナビルのCYP3A4に対する阻害作用により、本剤の代謝が阻害される)]。
②. ロピナビル・リトナビル[本剤/リトナビル1200/100mg1日2回とロピナビル・リトナビル400・100mg1日2回又は本剤1200mg1日2回とロピナビル・リトナビル533・133.3mg1日2回を併用したとき、本剤のAUCは40%減少し、本剤/リトナビルと併用したときのロピナビル・リトナビルの推奨用量は確立していないため、本剤及びリトナビルとの併用は推奨されない(本剤及びリトナビルとこれらの薬剤のCYP3A4に対する阻害作用により、血中濃度に変化がおこることがある)]。
③. サキナビル[本剤400mg、サキナビル1000mg及びリトナビル100mgを1日2回で併用したとき、本剤のAUCは26%減少し、サキナビルのAUCは影響を受けなかった、本剤及びリトナビルとの併用は推奨されない(本剤及びリトナビルとこれらの薬剤のCYP3A4に対する阻害作用により、血中濃度に変化がおこることがある)]。
④. インジナビル[本剤/リトナビル400/100mg1日2回とインジナビル800mg1日2回を併用したとき、本剤のAUCは24%増加し、インジナビルのAUCは23%増加したので、本剤/リトナビルと併用する場合には、インジナビルの減量を考慮すること、本剤/リトナビルと併用したときのインジナビルの推奨用量は確立していない(本剤及びリトナビルとインジナビルのCYP3A4に対する阻害作用により、相互に代謝が阻害される)]。
⑤. アタザナビル[本剤/リトナビル400/100mg1日2回とアタザナビル300mg1日1回を併用したとき、本剤及びアタザナビルの薬物動態に有意な影響はみられなかったため、アタザナビルを本剤/リトナビルと併用する場合には、用量を調節する必要はない]。
⑥. 他のHIVプロテアーゼ阻害剤(リトナビル・インジナビル・アタザナビル以外)[前記以外のプロテアーゼ阻害剤は、本剤/リトナビルとの併用は推奨されない]。
インテグラーゼ阻害剤:
①. ラルテグラビル[本剤/リトナビルとラルテグラビルを併用したとき、本剤の血漿中濃度が減少する可能性があるが、本剤/リトナビルとラルテグラビルを併用する場合には、用量を調節する必要はない(機序不明)]。
②. ドルテグラビル[本剤/リトナビル600/100mg1日2回とドルテグラビル30mg1日1回を併用したとき、ドルテグラビルのAUCが22%減少したが、本剤/リトナビルとドルテグラビルを併用する場合には、用量を調節する必要はない(機序不明)]。
その他のHIV薬:マラビロク[本剤/リトナビル600/100mg1日2回とマラビロク150mg1日2回を併用したとき、マラビロクのAUCが305%増加した(リトナビルのCYP3A4に対する阻害作用により、マラビロクの代謝が阻害される)]。
(過量投与)
- 処置
過量投与時、本剤は透析により除去されない。
(その他の注意)
- 非臨床試験に基づく情報
2.1. 動物実験(ラット)では、造血系に影響、血液凝固系に影響、肝に影響、腎に影響、膵臓に影響及び甲状腺に影響が認められた。活性化部分トロンボプラスチン時間延長とともに、わずかな赤血球パラメータ減少がみられた。
2.2. 生後23から26日(ヒトの3歳未満に相当)まで、幼若ラットにダルナビルを20mg/kgから1000mg/kgの用量で投与した結果、死亡例が認められた〔2.4、9.7.1参照〕。
2.3. マウス及びラットを用いたがん原性試験の結果、雌雄に用量依存的な肝細胞腺腫及び肝細胞癌の発現率の増加、雄ラットに甲状腺濾胞細胞腺腫が認められた。
2.4. 遺伝毒性試験(in vitro及びin vivo)においてダルナビルは陰性であった。
(保管上の注意)
室温保存。