メロペン点滴用キット0.5gの添付文書
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効果・効能
1. **一般感染症**:
敗血症、深在性皮膚感染症、リンパ管炎・リンパ節炎、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、肛門周囲膿瘍、骨髄炎、関節炎、扁桃炎(扁桃周囲膿瘍を含む)、肺炎、肺膿瘍、膿胸、慢性呼吸器病変の二次感染、複雑性膀胱炎、腎盂腎炎、腹膜炎、胆嚢炎、胆管炎、肝膿瘍、子宮内感染、子宮付属器炎、子宮旁結合織炎、化膿性髄膜炎、眼内炎(全眼球炎を含む)、中耳炎、副鼻腔炎、顎骨周辺の蜂巣炎、顎炎。
1. 発熱性好中球減少症。
(効能又は効果に関連する注意)
- 〈効能共通〉本剤投与前に感受性の確認が行えなかった場合、本剤投与開始後3日を目安として本剤に対する感受性を確認し、本剤投与が適正であるか判断すること。なお、本剤に感受性が認められない場合、速やかに他の薬剤に変更すること〔8.3参照〕。
- 〈扁桃炎(扁桃周囲膿瘍を含む)、中耳炎、副鼻腔炎〉「抗微生物薬適正使用の手引き」を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与すること。
- 〈発熱性好中球減少症〉本剤は、次の2条件を満たす症例に投与すること:1回の検温で38℃以上の発熱、又は1時間以上持続する37.5℃以上の発熱で、好中球数が500/mm3未満の場合、又は1000/mm3未満で500/mm3未満に減少することが予測される場合に投与。
- 〈発熱性好中球減少症〉国内外のガイドライン等を参照し、本疾患の治療に十分な経験を持つ医師のもとで、本剤の使用が適切と判断される症例についてのみ実施すること。
- 〈発熱性好中球減少症〉本剤投与前に血液培養等の検査を実施すること(起炎菌が判明した際には、本剤投与継続の必要性を検討すること)。
- 〈発熱性好中球減少症〉本剤投与の開始時期の指標である好中球数が緊急時等で確認できない場合には、白血球数の半数を好中球数として推定すること。
- 〈発熱性好中球減少症〉発熱性好中球減少症で、好中球数、発熱の回復が認められた場合には、本剤の投与中止を考慮すること。
- 〈発熱性好中球減少症〉腫瘍熱・薬剤熱等の非感染性の発熱であることが確認された場合には、速やかに本剤の投与を中止すること。
用法・用量
〈効能共通〉
本剤の使用に際しては、投与開始後3日を目安としてさらに継続投与が必要か判定し、投与中止又はより適切な他剤に切り替えるべきか検討を行うこと。
〈一般感染症〉
化膿性髄膜炎以外の一般感染症
通常、成人にはメロペネムとして、1日0.5~1g(力価)を2~3回に分割し、30分以上かけて点滴静注する。なお、年齢・症状に応じて適宜増減するが、重症・難治性感染症には、1回1g(力価)を上限として、1日3g(力価)まで増量することができる。
通常、小児にはメロペネムとして、1日30~60mg(力価)/kgを3回に分割し、30分以上かけて点滴静注する。なお、年齢・症状に応じて適宜増減するが、重症・難治性感染症には、1日120mg(力価)/kgまで増量することができる。ただし、成人における1日最大用量3g(力価)を超えないこととする。
化膿性髄膜炎
通常、成人にはメロペネムとして、1日6g(力価)を3回に分割し、30分以上かけて点滴静注する。なお、年齢・症状に応じて適宜減量する。
通常、小児にはメロペネムとして、1日120mg(力価)/kgを3回に分割し、30分以上かけて点滴静注する。なお、年齢・症状に応じて適宜減量する。ただし、成人における1日用量6g(力価)を超えないこととする。
〈発熱性好中球減少症〉
通常、成人にはメロペネムとして、1日3g(力価)を3回に分割し、30分以上かけて点滴静注する。
通常、小児にはメロペネムとして、1日120mg(力価)/kgを3回に分割し、30分以上かけて点滴静注する。ただし、成人における1日用量3g(力価)を超えないこととする。
(用法及び用量に関連する注意)
- 腎機能障害のある患者では、次を目安に本剤の投与量及び投与間隔を調節するなど、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること〔9.2腎機能障害患者の項、16.6.1参照〕[Ccr(クレアチニンクリアランス)が50mL/min以下の腎機能障害患者(成人)の投与量、投与間隔の目安;1)Ccr26~50mL/min:1回あたりの投与量を減量せず12時間ごとに投与、2)Ccr10~25mL/min:1回あたりの投与量を1/2に減量し12時間ごとに投与、3)Ccr(10mL/min:1回あたりの投与量を1/2に減量し24時間ごとに投与]。
- 血液透析日には、透析終了後に投与すること〔13.1参照〕。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
1.1. ショック、アナフィラキシー(いずれも0.1%未満):呼吸困難、不快感、口内異常感、喘鳴、眩暈、便意、耳鳴、発汗、全身潮紅、血管浮腫、じん麻疹等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと〔8.1参照〕。
1.2. 急性腎障害等の重篤な腎機能障害(0.1%未満)〔8.7参照〕。
1.3. 劇症肝炎(頻度不明)、肝機能障害(0.1~5%未満)、黄疸(0.1%未満)〔8.7、9.3.1参照〕。
1.4. 偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎(0.1%未満):腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には直ちに投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
1.5. 間質性肺炎、PIE症候群(いずれも0.1%未満):発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
1.6. 痙攣、意識障害等の中枢神経症状(0.1%未満)〔9.1.4、9.2腎機能障害患者の項参照〕。
1.7. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(0.1%未満)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)〔8.2参照〕。
1.8. 汎血球減少、無顆粒球症、溶血性貧血(いずれも頻度不明)、白血球減少、血小板減少(いずれも0.1%未満)〔8.7参照〕。
1.9. 血栓性静脈炎(頻度不明)。
- その他の副作用
- 過敏症:(0.1~5%未満)発疹、発熱、(0.1%未満)じん麻疹、紅斑、そう痒、発赤、(頻度不明)熱感。
- 血液:(0.1~5%未満)顆粒球減少、好酸球増多、血小板減少又は血小板増多、赤血球減少、ヘモグロビン減少、(0.1%未満)好塩基球増多、リンパ球増多、好中球増多、単球増多、ヘマトクリット減少、異型リンパ球出現。
- 肝臓:(0.1~5%未満)AST上昇、ALT上昇、LDH上昇、ALP上昇、LAP上昇、γ-GTP上昇、ビリルビン上昇、尿ウロビリノーゲン上昇、(0.1%未満)黄疸、コリンエステラーゼ低下。
- 腎臓:(0.1~5%未満)BUN上昇、クレアチニン上昇、(0.1%未満)尿中β2-マイクログロブリン上昇、尿蛋白陽性。
- 消化器:(0.1~5%未満)下痢、(0.1%未満)嘔気、嘔吐、腹痛、(頻度不明)食欲不振。
- 菌交代症:(0.1%未満)口内炎、カンジダ症。
- ビタミン欠乏症:(0.1%未満)ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾向等)、ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等)。
その他:(0.1~5%未満)血清カリウム上昇、(0.1%未満)頭痛、倦怠感、不穏、血清ナトリウム低下、血清カリウム低下、CK上昇、トリグリセリド増加、胸部不快感、血中尿酸減少又は血中尿酸増加、注射部位反応(注射部位炎症、注射部位疼痛、注射部位硬結等)、(頻度不明)ミオクローヌス、せん妄。
発現頻度は承認時までの臨床試験及び市販後の調査の結果に基づく。
使用上の注意
(禁忌)
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者〔9.1.1参照〕。
- バルプロ酸ナトリウム投与中の患者〔10.1参照〕。
(重要な基本的注意)
- 本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること〔11.1.1参照〕。
・ 事前に既往歴等について十分な問診を行う(なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認する)〔9.1.1参照〕。
・ 投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。
・ 投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行う(特に、投与開始直後は注意深く観察する)。
- 投与後3~5日目までは発疹等の副作用の発現には特に注意し、症状が発現したときには、他剤に切り替えるなど適切な処置を講じること。なお、継続使用にあたっても、引き続き副作用症状に注意すること〔11.1.7参照〕。
- 本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること〔5.1参照〕。
- 患者の状態から判断して、やむを得ず原因菌不明のまま本剤を使用した場合、数日間以内に改善の徴候が認められないときには、他剤に切り替えるなど適切な処置を講じること。なお、継続使用にあたっても、引き続き症状の改善等から判断し、漫然と長期の投与を行わないこと。
- 患者の状態等から判断して、7日以上にわたって本剤を投与する場合には、その理由を常時明確にし、発疹の出現や肝機能異常等の副作用に留意し、漫然とした継続投与は行わないこと。
- AST上昇、ALT上昇があらわれることがあるので、1週間以上の使用に際しては、必ず肝機能検査を実施すること。
- 急性腎障害等の重篤な腎機能障害、劇症肝炎、肝機能障害、黄疸、汎血球減少、無顆粒球症、溶血性貧血、白血球減少、血小板減少があらわれることがあるので、定期的に臨床検査(腎機能検査、肝機能検査、血液検査等)を行うこと〔11.1.2、11.1.3、11.1.8参照〕。
(特定の背景を有する患者に関する注意)
(合併症・既往歴等のある患者)
1.1. カルバペネム系、ペニシリン系又はセフェム系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者(ただし、本剤に対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないこと)〔2.1、8.1参照〕。
1.2. 本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、じん麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質を有する患者。
1.3. 経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者:ビタミンK欠乏症状があらわれることがある。
1.4. てんかんの既往歴あるいは中枢神経障害を有する患者:痙攣、意識障害等の中枢神経症状が起こりやすい〔11.1.6参照〕。
1.5. 心臓機能障害、循環器系機能障害のある患者:(生理食塩液に関する注意)循環血液量を増すことから心臓に負担をかけ、症状が悪化するおそれがある。
(腎機能障害患者)
腎機能障害患者:痙攣、意識障害等の中枢神経症状が起こりやすい〔7.1、11.1.6、16.6.1参照〕。
腎機能障害患者:(生理食塩液に関する注意)水分、塩化ナトリウムの過剰投与に陥りやすく、症状が悪化するおそれがある〔7.1、16.6.1参照〕。
(肝機能障害患者)
- 3.1. 高度肝機能障害のある患者:肝機能障害が悪化するおそれがある〔11.1.3参照〕。
(妊婦)
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
(授乳婦)
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒト母乳中へ移行することが報告されている)。
(小児等)
低出生体重児、新生児を対象とした臨床試験は実施していない。国内の小児臨床試験では、軽度のAST上昇、ALT上昇が多く報告されている。
(高齢者)
次の点に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
・ 生理機能が低下していることが多く副作用が発現しやすい。
・ ビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがある。
(相互作用)
- 併用禁忌:
バルプロ酸ナトリウム(デパケン、バレリン、ハイセレニン等)〔2.2参照〕[本剤との併用により、バルプロ酸の血中濃度が低下してんかんの発作が再発することがある(機序は解明されていない)]。
(臨床検査結果に及ぼす影響)
- テステープ反応を除くベネディクト試薬、フェーリング試薬による尿糖検査では偽陽性を呈することがあるので注意すること。
- 直接クームス試験陽性を呈することがあるので注意すること。
- ウロビリノーゲン検査では偽陽性を呈することがあるので注意すること。
(過量投与)
- 処置
過量投与時、本剤は血液透析又は血液ろ過により除去される〔7.2参照〕。
(適用上の注意)
- 薬剤調製時の注意
1.1. 本剤溶解時、溶液は無色から微黄色澄明を呈するが、色の濃淡は本剤の効力には影響しない。
1.2. 溶解後は速やかに使用すること(なお、やむを得ず保存を必要とする場合でも、日局生理食塩液に溶解した場合、室温保存では6時間以内に、5℃保存では24時間以内に使用すること)。
1.5. 添付の生理食塩液100mLにて用時溶解する。
- 薬剤投与時の注意
2.1. 容器の液目盛りはおよその目安として使用すること。
(その他の注意)
- 臨床使用に基づく情報
1.1. 化膿性髄膜炎の患者では、疾患の自然経過によるもののほか、薬物が中枢に移行しやすくなることから、痙攣等の中枢神経症状が起きやすいことが知られている。
- 非臨床試験に基づく情報
2.1. 動物の腎毒性試験において、ラットの14日間静脈内投与試験では、500mg/kg及び1000mg/kgともに腎毒性を示唆する所見は認められなかった。カニクイザルの7日間静脈内投与試験では、180mg/kg及び500mg/kgで投与初期に一過性尿中酵素活性値増加(一過性ALP増加、一過性γ-GTP増加、一過性NAG増加)が認められ、また500mg/kgでは尿細管障害像が認められた。
2.2. ラットの3ヵ月静脈内亜急性毒性試験において、AST活性上昇が雌の120mg/kg以上の投与で認められた。また、6ヵ月慢性毒性試験ではAST上昇及びALT上昇が雌の240mg/kg以上の投与で認められた。
(取扱い上の注意)
- 製品の品質を保持するため、本品を包んでいる外袋は使用時まで開封しないこと。
- 次の場合には使用しないこと。
・ 外袋が破損しているときや溶解液が漏出しているときには使用しないこと。
・ 隔壁の開通前に抗生物質が溶解しているときには使用しないこと。
・ 抗生物質が変色しているときや、薬剤溶解前に溶解液が着色しているときには使用しないこと。
(保管上の注意)
室温保存。