注射用シナシッドの添付文書
添付文書PDFファイル
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効果・効能
各種感染症。
用法・用量
キヌプリスチン・ダルホプリスチンとして、1回7.5mg/kg、1日3回、60分かけて点滴静注する。本剤の溶解には5%ブドウ糖液又は注射用水を用い、希釈には5%ブドウ糖液を用いる。糖尿病患者に対しては10%マルトース液を用いてもよい。なお、生理食塩液やヘパリン含有液は用いない。
(用法・用量に関連する使用上の注意)
本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現を防ぐため、次のことに注意する。
- 感染症の治療に十分な知識と経験を持つ医師又はその指導のもとで行う。
- 原則として他の抗菌薬及び本剤に対する感受性(耐性)を確認する。
- 投与期間は、感染部位、重症度、患者の症状等を考慮し、適切な時期に、本剤の継続投与が必要か判定し、疾病の治療上必要な最低限の期間の投与にとどめる。
末梢静脈投与による注射部位の炎症、疼痛、浮腫等を軽減するため、本剤投与直後に5%ブドウ糖液で静脈をフラッシュし、血管刺激を最小限に抑える(なお、糖尿病患者に対しては10%マルトース液を使用してもよい)。
本剤は生理食塩液やヘパリンと混和すると沈殿を生ずるので、投与直後に生理食塩液あるいはヘパリンによるフラッシュは行わない。
末梢静脈からの投与により注射部位に局所性静脈性副作用を生じた場合は、中心静脈カテーテルによる投与を考慮する。
副作用
外国で実施された第3相臨床試験において、比較試験の1,099例を含む総症例2,298例中、1,062例(46.2%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。静脈投与による注射部位反応(炎症426件、疼痛421件、浮腫174件、腫脹24件等)は768例(33.4%)に認められ、その他の副作用として主なものは関節痛101件(4.4%)、悪心96件(4.2%)、筋痛75件(3.3%)、嘔吐50件(2.2%)、発疹46件(2.0%)、下痢37件(1.6%)、疼痛30件(1.3%)、そう痒23件(1.0%)、頭痛20件(0.9%)等であった。
国内においては、第2相臨床試験6例、治験外提供2例(いずれも最終的にはVREF感染症ではなかった)に対して本剤が投与されている。本剤を1回7.5mg/kg、1日2回(本剤の承認された用量は1回7.5mg/kg、1日3回である)又は3回点滴静注した7例に副作用32件が認められた。その内訳は、AST(GOT)上昇、倦怠感、背痛、γ-GTP上昇が各2件認められ、また、その他に急性膵炎・膵炎による麻痺性イレウス、黄疸、BUN上昇、紅斑、心房細動、潮紅等が各1件認められた(承認時:2002年1月)。
使用成績調査において、安全性評価対象症例10例中、1例(10.0%)に副作用2件が認められた。その内訳は、肝障害、血中クレアチンホスホキナーゼ増加が各1件であった(再審査終了時)。
重大な副作用
- ショック(頻度不明)、アナフィラキシー(0.1%未満):ショック、アナフィラキシーを起こすことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
- 汎血球減少症(0.1%未満)、貧血(0.22%)、血小板減少症(頻度不明):汎血球減少症、溶血性貧血、低形成性貧血等の貧血、血小板減少症が現れることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
- 肝炎、肝機能障害(各0.1%未満)、黄疸(頻度不明):肝炎、AST上昇(GOT上昇)・ALT上昇(GPT上昇)等の肝機能障害、黄疸が現れることがあるので、このような場合は投与を中止するなど適切な処置を行う。
- 心室細動(頻度不明)、心室性期外収縮、心停止(各0.1%未満):心室細動、心室性期外収縮等の重篤な不整脈、心停止が現れることがあるので、このような場合は投与を中止するなど適切な処置を行う。
- 偽膜性大腸炎(0.1%未満):偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎が現れることがあるので、腹痛、頻回の下痢が現れた場合には直ちに投与を中止するなど適切な処置を行う。
- 肺炎(0.26%)、尿路感染症(頻度不明)、敗血症(0.1%未満):肺炎、尿路感染症、敗血症等の感染症が現れることがあるので、このような場合は投与を中止するなど適切な処置を行う。
- 呼吸不全、無呼吸、低換気、低酸素症(いずれも頻度不明):呼吸不全、無呼吸、低換気、低酸素症が現れることがあるので、このような場合は投与を中止するなど適切な処置を行う。
- 出血傾向(脳出血、消化管出血(各0.1%未満))、血尿(0.1%未満):脳出血、消化管出血等の出血、血尿が現れることがあるので、このような場合は投与を中止するなど適切な処置を行う。
- 痙攣(0.1%未満):下肢痙攣、痙攣大発作等の痙攣が現れることがあるので、異常が認められた場合は投与を中止するなど適切な処置を行う。
血栓性静脈炎、腸間膜動脈閉塞症(いずれも頻度不明):血栓性静脈炎、腸間膜動脈閉塞症が現れることがあるので、異常が認められた場合は投与を中止するなど適切な処置を行う。
(注)本項に記載した副作用の中には、原疾患又は合併症に関わると考えられる事象であるが、本剤との因果関係が否定できない有害事象を含む。また、頻度不明は、自発報告のため頻度が算出できないことを示す。
その他の副作用
- 過敏症:(0.1~5%未満)発疹、皮疹、そう痒、蕁麻疹、発熱[異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う]。
- 循環器:(0.1~5%未満)胸痛、静脈炎、低血圧、頻脈、血管拡張、(0.1%未満)不整脈、徐脈、心悸亢進、上室性頻拍、心膜滲出液、心膜炎。
- 消化器:(0.1~5%未満)腹痛、食欲不振、便秘、下痢、消化不良、悪心、嘔吐、(0.1%未満)膵炎。
- 肝臓:(0.1~5%未満)AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、LDH上昇、(0.1%未満)Al-P上昇、γ-GTP上昇、BUN上昇、ビリルビン上昇[異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う]。
- 血液:(0.1%未満)好酸球増多、凝固障害、血液量減少。
- 筋・骨格系:(0.1~5%未満)関節痛、筋痛、疼痛、筋無力症、無力症、(0.1%未満)背痛、骨痛、頚部痛・頚部硬直[異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う]。
- 精神神経系:(0.1~5%未満)頭痛、錯乱、眩暈、緊張亢進、不眠、感覚異常、(0.1%未満)倦怠感、不安、ニューロパシー、自律神経異常症、対麻痺、脳症、失神、振戦。
- 菌交代症:(0.1~5%未満)カンジダ症、口内炎。
- 投与部位:(5%以上)注射部疼痛・注射部浮腫・注射部炎症、注射部反応、(0.1~5%未満)注射部出血・注射部腫脹、(0.1%未満)注射部萎縮、蜂巣炎。
- その他:(0.1~5%未満)低ナトリウム血症、浮腫、膣炎、発汗、(0.1%未満)アシドーシス、痛風、高血糖、低血糖、高カリウム血症、低カリウム血症、皮膚潰瘍、咽頭炎、胸水、血中クレアチンホスホキナーゼ増加。
使用上の注意
(警告)
本剤の耐性菌の発現を防ぐため、「用法・用量に関連する使用上の注意」の項を熟読の上、適正使用に努める。
(禁忌)
本剤の成分又は他のストレプトグラミン系抗生物質(ミカマイシン等)に対し過敏症の既往歴のある患者。
スパルフロキサシン投与中、ピモジド投与中、キニジン投与中又はシサプリド投与中の患者。
(原則禁忌)
重篤な肝障害のある患者[血漿中濃度が上昇し、肝障害が悪化する恐れがあるが、但し、やむを得ず投与する場合は、頻回に肝機能検査を行い、必要に応じ投与回数を1日3回から2回に減ずる等適宜減量して投与する]。
(慎重投与)
肝障害のある患者[高ビリルビン血症やトランスアミナーゼ値の上昇等の肝機能の悪化を認めることがあり、また、代謝能の低下により、血漿中濃度が持続する恐れがある]。
腎障害のある患者[海外の慢性腎不全患者を対象とした臨床薬理試験でAUCが高くなったとの報告がある]。
(重要な基本的注意)
本剤はバンコマイシン耐性エンテロコッカス・フェシウム(VREF)感染症に対してのみ有用性が認められているためVREF感染症のみに使用する。
本剤の使用にあたっては、副作用発現等を防ぐため、必ず60分かけて点滴静注し、急速なワンショット静注では使用しない。また、短時間の点滴静注は行わない。
本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとる。
- 事前に既往歴等について十分な問診を行う(なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認する)。
- 投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておく。
- 投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行い、特に、投与開始直後は注意深く観察する。
本剤投与中に、関節痛及び筋痛が現れることがあるので、重度疼痛を認めた場合には、投与中止等の適切な処置を行う。
(相互作用)
本剤は肝チトクロームP450・3A4(CYP3A4)を阻害するため、主にCYP3A4で代謝される薬剤の代謝を阻害し、血中濃度を上昇させる可能性がある。他の薬剤との相互作用はすべての薬剤との組み合わせについて検討されているわけではないので、他剤による治療中に新たに本剤を併用したり、本剤による治療中に新たに他の薬剤を併用する場合には、患者の状態を十分観察し、慎重に投与する。
併用禁忌:
- ピモジド(オーラップ)、キニジン(硫酸キニジン)、シサプリド(国内承認整理済)[これらの薬剤の血中濃度を上昇させQT延長・心室性不整脈・血液障害・痙攣等の副作用を起こすことがある(本剤はこれらの薬剤の主たる代謝酵素(CYP3A4)を阻害する)]。
- スパルフロキサシン(スパラ)[QT延長、心室性不整脈を起こすことがある(併用によりQT延長作用が相加的に増強する)]。
併用注意:
- シクロスポリン、タクロリムス[これらの薬剤の血中濃度を上昇させることがあるので、併用する場合には血中濃度モニタリング(TDM)を行い、必要に応じてこれらの薬剤の投与量を減量するなど用量に注意する(本剤のCYP3A4に対する阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
- ジヒドロピリジン系Ca拮抗剤(ニフェジピン、ニルバジピン、ニソルジピン等)、ネビラピン、インジナビル、サキナビル、リトナビル、ビンカアルカロイド系抗悪性腫瘍剤(ビンブラスチン等)、ブロチゾラム、アルプラゾラム、ドセタキセル、パクリタキセル、麦角アルカロイド、ベラパミル、ジルチアゼム、ベンゾジアゼピン系薬剤(ジアゼパム、ミダゾラム、トリアゾラム等)、クラリスロマイシン、カルバマゼピン、リドカイン、ジソピラミド、シルデナフィル、シンバスタチン、セレギリン、メチルプレドニゾロン[これらの薬剤の血中濃度を上昇させることがあるので、併用する場合には必要に応じてこれらの薬剤の投与量を減量するなど用量に注意する(本剤のCYP3A4に対する阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
- ジゴキシン(経口)[これらの薬剤の血中濃度を上昇させることがあるので、併用する場合には必要に応じてこれらの薬剤の投与量を減量するなど用量に注意する(腸内細菌叢への影響により、ジゴキシンの代謝が抑制されると考えられている)]。
(高齢者への投与)
高齢者では一般に生理機能が低下しているので慎重に投与する(必要に応じ投与回数を1日3回から2回に減ずる等適宜減量して投与する)。
(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)
妊婦等:妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない]。
授乳婦:授乳中の婦人には投与しないことが望ましいが、やむを得ず投与する場合には授乳を避けさせる[動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが認められている]。
(小児等への投与)
小児等に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。
(過量投与)
本剤は、腹膜透析や血液透析では除去されないので、過量投与した患者に対しては注意深く観察し対症療法を行う。
(適用上の注意)
調製方法:
- 本剤1バイアルに、5%ブドウ糖液又は注射用水5mLを徐々に加える。
- 液がなるべく泡立たないように穏やかにバイアルを回転させ、内容物を完全に溶解させる。
- 生じた泡が完全に消え、澄明になるまで数分間放置する。
- 得られた溶解液は、1mLあたり100mgの有効成分を含有するので、患者の体重に応じた量(7.5mg/kg)を30分以内に5%ブドウ糖液200~250mLに加える(なお、5%ブドウ糖液の代わりに10%マルトース液を使用してもよい)。
調製時:
- 本剤は生理食塩液で希釈しない。
- 本剤は注射用水(溶解時)・5%ブドウ糖液又は10%マルトース液以外の注射液と混注又は希釈して使用しない。
調製後:
- 調製した注射液は速やかに使用する(本剤は注射液中で分解しやすいため、25℃で5時間、2~8℃で54時間以上保存しない)。
- 本剤のバイアルの残液は廃棄する。
投与方法:
- 注射液は必ず60分かけて点滴静注する。
- 中心静脈カテーテルによる投与にあたっては配合変化を避けるため高カロリー輸液等の食塩を含む輸液の投与に用いられている主流は一時止め、本剤の溶解に用いた液で輸液チューブをフラッシュした後側流から本剤を投与する。また、中心静脈カテーテルによる投与にあたっては、配合変化を避けるため、本剤の投与終了後にも本剤の溶解に用いた液で輸液チューブをフラッシュしてから、高カロリー輸液等の投与を再開する。
(その他の注意)
モルモットを用いて能動全身性アナフィラキシー反応及び受け身皮膚アナフィラキシー反応を実施した結果、本剤とアジュバントとの併用感作時においてのみ抗原性陽性反応が認められたが、本剤の単独感作ではいずれも陰性であった。マウス-ラットを用いた試験においてIgE抗体の産生はみられなかった。
ラット、イヌ、サルを用いて実施した一般薬理試験において、ヒスタミン遊離によると考えられる血圧低下・徐脈が認められた。
生殖に及ぼす影響の検討において、ラット、マウスでは胎仔に異常は認められなかったが、ウサギを用いた胎仔器官形成期投与試験において、腸内細菌叢への影響から生じた母動物摂餌量減少、母動物体重低下等によると推察され、流産、胎仔体重低値、胎仔化骨遅延が認められた(なお、これらの流産及び胎仔の異常は、一般に良く知られているウサギを用いた抗生物質の器官形成期投与試験においてみられる、母動物の腸内細菌叢に対する作用によると推察される)。
(保管上の注意)
2~8℃。