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リツキサン注10mg/mL
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効果・効能

  1. CD20陽性B細胞性非ホジキンリンパ腫。

  2. CD20陽性慢性リンパ性白血病。

  3. 免疫抑制状態下のCD20陽性B細胞性リンパ増殖性疾患。

  4. 多発血管炎性肉芽腫症、顕微鏡的多発血管炎。

  5. 難治性ネフローゼ症候群(頻回再発型)あるいは難治性ネフローゼ症候群(ステロイド依存性を示す場合)。

  6. 慢性特発性血小板減少性紫斑病。

  7. 次記のABO血液型不適合移植における抗体関連型拒絶反応の抑制:腎移植、肝移植。

  8. インジウム(111In)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)注射液及びイットリウム(90Y)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)注射液投与の前投与。

    *CD:cluster of differentiation。

(効能・効果に関連する使用上の注意)

  1. 本剤投与の適応となる造血器腫瘍の診断は、病理診断に十分な経験を持つ医師又は施設により行う。

  2. CD20陽性B細胞性非ホジキンリンパ腫、CD20陽性慢性リンパ性白血病、免疫抑制状態下のCD20陽性B細胞性リンパ増殖性疾患に用いる場合は、免疫組織染色法又はフローサイトメトリー法等によりCD20抗原の検査を行い、陽性であることが確認されている患者のみに投与する。

  3. 多発血管炎性肉芽腫症、顕微鏡的多発血管炎については、初発例を含む疾患活動性が高い患者、既存治療で十分な効果が得られない患者等に対して本剤の投与を考慮する。

  4. 難治性ネフローゼ症候群に用いる場合は、小児期に特発性ネフローゼ症候群を発症しステロイド感受性を示す患者で、既存治療(ステロイド、免疫抑制剤等)では緩解が維持できない患者に限り、また、診療ガイドライン等の最新の情報を参考に、本剤の投与が適切と判断される患者に使用する。なお、成人期に発症したネフローゼ症候群の患者に対する有効性及び安全性は確立していない。

  5. 慢性特発性血小板減少性紫斑病に用いる場合は、他の治療にて十分な効果が得られない場合、又は忍容性に問題があると考えられる場合にのみ使用を考慮し、血小板数、臨床症状からみて出血リスクが高いと考えられる患者に使用し、また、診療ガイドライン等の最新の情報を参考に、本剤の投与が適切と判断される患者に使用する。

用法・用量

  1. (CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫に用いる場合):リツキシマブ(遺伝子組換え)として1回量375mg/㎡を1週間間隔で点滴静注する。最大投与回数は8回とする。他の抗悪性腫瘍剤と併用する場合は、併用する抗悪性腫瘍剤の投与間隔に合わせて、1サイクルあたり1回投与する。維持療法に用いる場合は、リツキシマブ(遺伝子組換え)として1回量375mg/㎡を点滴静注する。投与間隔は8週間を目安とし、最大投与回数は12回とする。

    (CD20陽性の慢性リンパ性白血病に用いる場合):他の抗悪性腫瘍剤との併用において、リツキシマブ(遺伝子組換え)として初回に1回量375mg/㎡、2回目以降は1回量500mg/㎡を、併用する抗悪性腫瘍剤の投与サイクルに合わせて、1サイクルあたり1回点滴静注する。最大投与回数は6回とする。

    (免疫抑制状態下のCD20陽性のB細胞性リンパ増殖性疾患に用いる場合):リツキシマブ(遺伝子組換え)として1回量375mg/㎡を1週間間隔で点滴静注する。最大投与回数は8回とする。

    (多発血管炎性肉芽腫症、顕微鏡的多発血管炎及び慢性特発性血小板減少性紫斑病に用いる場合):リツキシマブ(遺伝子組換え)として1回量375mg/㎡を1週間間隔で4回点滴静注する。

    (難治性のネフローゼ症候群(頻回再発型あるいはステロイド依存性を示す場合)に用いる場合):リツキシマブ(遺伝子組換え)として1回量375mg/㎡を1週間間隔で4回点滴静注する。但し、1回あたりの最大投与量は500mgまでとする。

    (ABO血液型不適合腎移植・肝移植における抗体関連型拒絶反応の抑制に用いる場合):リツキシマブ(遺伝子組換え)として1回量375mg/㎡を点滴静注する。但し、患者の状態により適宜減量する。

    (インジウム(111In)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)注射液及びイットリウム(90Y)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)注射液投与の前投与に用いる場合):リツキシマブ(遺伝子組換え)として250mg/㎡を1回、点滴静注する。

  2. 本剤は用時生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液にて10倍に希釈調製し使用する。

(用法・用量に関連する使用上の注意)

  1. 本剤投与時に頻発して現れるinfusion reaction(発熱、悪寒、頭痛等)を軽減させるために、本剤投与の30分前に抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛剤等の前投与を行い、また、副腎皮質ホルモン剤と併用しない場合は、本剤の投与に際して、副腎皮質ホルモン剤の前投与を考慮する。

  2. 初回投与時は、最初の30分は50mg/時の速度で点滴静注を開始し、患者の状態を十分観察しながら、その後注入速度を30分毎に50mg/時ずつ上げて、最大400mg/時まで速度を上げることができる。また、2回目以降の注入開始速度は、初回投与時に発現した副作用が軽微であった場合、100mg/時まで上げて開始し、その後30分毎に100mg/時ずつ上げて、最大400mg/時まで上げることができる。なお、患者の状態により、注入開始速度は適宜減速する。

  3. ネフローゼ症候群の小児に用いる場合及びABO血液型不適合腎移植・肝移植に用いる場合、初回投与時の注入速度は、最初の1時間は25mg/時とし、患者の状態を十分に観察しながら、次の1時間は100mg/時、その後は最大200mg/時までを目安とし、また、2回目以降の注入開始速度は、初回投与時に発現した副作用が軽微であった場合、100mg/時まで上げて開始できるが、患者の状態により適宜減速する(ネフローゼ症候群において小児に用いる場合は添付文書の【臨床成績】の項参照)。

  4. 注入速度に関連して血圧下降、気管支痙攣、血管浮腫等の症状が発現するので本剤の注入速度を守り、注入速度を上げる際は特に注意し、症状が発現した場合は注入速度を緩めるかもしくは中止し、重篤な症状の場合は直ちに投与を中止し、適切な処置を行う(また、投与を再開する場合は症状が完全に消失した後、中止時点の半分以下の注入速度で投与を開始する)。

  5. CD20陽性B細胞性非ホジキンリンパ腫に対する維持療法に用いる場合は、臨床試験に組み入れられた患者の組織型等について、添付文書の【臨床成績】の項の内容を熟知し、国内外の最新のガイドライン等を参考に本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行う。

  6. 中悪性度リンパ腫・高悪性度リンパ腫に対する本剤の維持療法の有効性及び安全性は確立していない。

  7. 他の抗悪性腫瘍剤と併用する場合は、臨床試験において検討された本剤の投与間隔、投与時期等について、添付文書の【臨床成績】の項の内容を熟知し、国内外の最新のガイドライン等を参考にする。

  8. ABO血液型不適合腎移植・肝移植に用いる場合、本剤の投与量及び投与回数は、患者の状態に応じ、適宜調節する。投与時期については、次記を目安とする。

    1. ABO血液型不適合腎移植の場合は、原則、移植術2週間前及び1日前に2回点滴静注する。
    2. ABO血液型不適合肝移植の場合は、原則、移植術2週間以上前に1回点滴静注し、1回投与で抗体価の減少が不十分又はB細胞数の減少が不十分な場合には、更に1回追加投与する。
  9. 本剤の再投与に関しては、実施の可否を慎重に検討する。

副作用

  1. 副作用の概要

    1. 国内臨床試験成績(CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫承認時):安全性評価症例157例中、副作用は93.6%に認められ、主な副作用は発熱(64.3%)、悪寒(34.4%)、そう痒(21.7%)、頭痛(21.0%)、ほてり(20.4%)、血圧上昇(17.8%)、頻脈(17.2%)、多汗(15.9%)、発疹(14.0%)等であった。臨床検査値異常は白血球減少(47.8%、2000/μL未満の白血球減少12.1%)、好中球減少(45.9%、1000/μL未満の好中球減少18.5%)、血小板減少(10.2%、5万/μL未満の血小板減少1.9%)、AST(GOT)上昇(10.8%)等であった。
    2. 国内臨床試験成績(CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用、維持療法承認時):R-CHOPレジメン(本剤、シクロホスファミド水和物、ドキソルビシン塩酸塩、ビンクリスチン硫酸塩及びプレドニゾロンの併用)による緩解導入療法の安全性評価症例62例中、副作用は98.4%に認められ、主な副作用は、鼻咽頭炎等の感染症(48.4%)、悪心(46.8%)、倦怠感(43.5%)、食欲減退(40.3%)、口内炎(37.1%)、味覚異常(35.5%)、発熱(32.3%)、口腔咽頭不快感(27.4%)、嘔吐(25.8%)であった。臨床検査値異常は、白血球減少(100%、2000/μL未満の白血球減少82.3%)、好中球減少(95.2%、1000/μL未満の好中球減少90.3%)等であった。維持療法が実施された58例中、副作用は86.2%に認められ、主な副作用は、鼻咽頭炎等の感染症(69.0%)、倦怠感(17.2%)、口内炎(15.5%)、低体温(10.3%)、感覚鈍麻(10.3%)であった。臨床検査値異常は、白血球減少(63.8%、2000/μL未満の白血球減少5.2%)、好中球減少(58.6%、1000/μL未満の好中球減少17.2%)等であった。
    3. 国外臨床試験成績(CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫承認時):安全性評価症例356例中、主な有害事象(本剤との因果関係の有無にかかわらず発現した事象)は発熱(53%)、悪寒(33%)、感染症(31%)、虚脱/倦怠感(26%)、悪心(23%)、頭痛(19%)、発疹(15%)、寝汗(15%)等であり、臨床検査値異常は白血球減少(14%、2000/μL未満の白血球減少4%)、好中球減少(14%、1000/μL未満の好中球減少6%)、血小板減少(12%、5万/μL未満の血小板減少2%)等であった。
    4. 国外臨床試験成績(CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用、維持療法承認時、PRIMA試験):R-CHOPレジメン(本剤、シクロホスファミド水和物、ドキソルビシン塩酸塩、ビンクリスチン硫酸塩及びプレドニゾン(国内未承認)の併用)、R-CVPレジメン(本剤、シクロホスファミド水和物、ビンクリスチン硫酸塩及びプレドニゾン(国内未承認)の併用)又はR-FCMレジメン(本剤、フルダラビンリン酸エステル、シクロホスファミド水和物及びミトキサントロン塩酸塩の併用)による緩解導入療法時の安全性評価症例1,193例において、重篤な副作用は、R-CHOPレジメン(881例)で16.7%、R-CVPレジメン(268例)で14.9%、R-FCMレジメン(44例)で29.5%に認められ、主に発熱性好中球減少症(2.1%)、薬物過敏症(1.2%)、肺炎(1.2%)、発熱(0.9%)、好中球減少症(0.8%)、注入に伴う反応(0.6%)及び便秘(0.6%)であった。維持療法群の安全性評価症例501例において、重篤な副作用、Grade3以上の副作用及び本剤との因果関係が否定できないGrade2以上の感染症は29.3%に認められ、主に気管支炎(5.2%)、好中球減少症(3.4%)、上気道感染(3.4%)、副鼻腔炎(2.2%)、白血球減少症(1.6%)、口腔ヘルペス(1.4%)、尿路感染(1.4%)、感染(1.2%)及び肺炎(1.2%)であった。
    5. 国外臨床試験成績(CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用、維持療法承認時、EORTC20981試験):R-CHOPレジメンによる緩解導入療法時の安全性評価症例234例において、副作用は97.9%に認められた。CHOPレジメン(シクロホスファミド水和物、ドキソルビシン塩酸塩、ビンクリスチン硫酸塩及びプレドニゾン(国内未承認)の併用)と比較してR-CHOPレジメンで発現率が5%以上高かった副作用は、脱毛症(45.3%)、便秘(26.9%)、過敏症(17.5%)及び悪寒(7.7%)であった。維持療法又は無治療観察時の安全性評価症例332例において、副作用は維持療法群(166例)の73.5%で認められた。無治療観察群と比較し維持療法群で発現率が5%以上高かった副作用は、無力症(25.3%)、関節痛(9.0%)、咳嗽(7.8%)、口内炎(7.8%)及び上気道感染(6.0%)であった。
    6. 国内臨床試験成績(CD20陽性の慢性リンパ性白血病承認時):安全性評価症例7例において、副作用は全例に認められ、主な副作用は悪心(28.6%)、発熱(28.6%)、鼻咽頭炎(28.6%)、低血圧(28.6%)、低酸素症(28.6%)、斑状丘疹状皮疹(28.6%)であった。臨床検査値異常は白血球数減少(85.7%、2000/μL未満の白血球減少85.7%)、好中球数減少(85.7%、1000/μL未満の好中球減少85.7%)、血小板数減少(85.7%)、ヘモグロビン減少(71.4%)、赤血球数減少(42.9%)等であった。
    7. 国外臨床試験成績(CD20陽性の慢性リンパ性白血病承認時、CLL8試験):安全性評価症例800例において、Grade3又は4の副作用はFCRレジメン(本剤、フルダラビンリン酸エステル、シクロホスファミド水和物の併用)群(402例)の70.9%に認められた。FCレジメン(フルダラビンリン酸エステル、シクロホスファミド水和物の併用)群(398例)と比較してFCRレジメン群で発現率が2%以上高かったGrade3又は4の副作用は、好中球減少症(30.3%)、白血球減少症(23.1%)、発熱性好中球減少症(9.0%)であった。
    8. 国外臨床試験成績(CD20陽性の慢性リンパ性白血病承認時、REACH試験):安全性評価症例546例において、副作用はFCRレジメン群(274例)の95.6%に認められた。FCレジメン群(272例)と比較してFCRレジメン群で発現率が3%以上高かった副作用は、悪心(38.7%)、発熱(20.1%)、悪寒(15.0%)、下痢(9.9%)、便秘(9.9%)、低血圧(7.3%)、食欲減退(7.3%)、そう痒症(5.8%)、蕁麻疹(4.4%)であった。
    9. 国内臨床試験成績(難治性のネフローゼ症候群(頻回再発型あるいはステロイド依存性を示す場合)承認時):安全性評価症例54例中、副作用は全例に認められ、主な副作用は上気道感染等の感染症(90.7%)、結膜炎(22.2%)、血圧上昇(22.2%)、湿疹(18.5%)、発熱(16.7%)、呼吸困難(14.8%)、尿酸値上昇(14.8%)、皮脂欠乏性湿疹(11.1%)、頭痛(11.1%)、そう痒(11.1%)、口腔咽頭不快感(11.1%)等であり、臨床検査値異常は、CRP上昇(40.7%)、ALT(GPT)上昇(25.9%)、好酸球増多(20.4%)、好中球減少(16.7%、1000/μL未満の好中球減少11.1%)、白血球減少(16.7%、2000/μL未満の白血球減少0%)であった。
    10. 国内臨床試験成績(ABO血液型不適合腎移植における抗体関連型拒絶反応の抑制承認時):安全性評価症例20例中、副作用は90.0%に認められた。主な副作用は、発熱(40.0%)、サイトメガロウイルス感染(25.0%)、サイトメガロウイルス血症(15.0%)、尿路感染(15.0%)、悪寒(15.0%)、血圧上昇(15.0%)等であった。臨床検査値異常は、免疫グロブリンM減少(85.0%)、免疫グロブリンG減少(85.0%)、白血球減少(60.0%、2000/μL未満の白血球減少15.0%)、免疫グロブリンA減少(55.0%)、好中球減少(40.0%、1000/μL未満の好中球減少25.0%)等であった。
    11. 国内臨床試験成績(ABO血液型不適合肝移植における抗体関連型拒絶反応の抑制承認時):承認時までにABO血液型不適合肝移植での臨床試験成績は得られていない。
  2. 重大な副作用

    1. アナフィラキシー様症状、肺障害、心障害(頻度不明):低血圧、血管浮腫、低酸素血症、気管支痙攣、肺炎(間質性肺炎、アレルギー性肺炎等を含む)、閉塞性細気管支炎、肺浸潤、急性呼吸促迫症候群、心筋梗塞、心室細動、心原性ショック等がinfusion reactionの症状として現れることがあるので、バイタルサイン(血圧、脈拍、呼吸数等)のモニタリングや自他覚症状の観察など、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合は直ちに投与を中止し、適切な処置(酸素吸入、昇圧剤、気管支拡張剤、副腎皮質ホルモン剤の投与等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察する。
    2. 腫瘍崩壊症候群(頻度不明):腫瘍崩壊症候群が現れることがあるので、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合は直ちに投与を中止し、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤等の投与、透析等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察する。
    3. B型肝炎ウイルスによる劇症肝炎、肝炎の増悪(頻度不明):B型肝炎ウイルスによる劇症肝炎又はB型肝炎ウイルスによる肝炎増悪による肝不全が現れることがあるので、肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、直ちに抗ウイルス剤を投与するなど適切な処置を行う。
    4. 肝機能障害、黄疸(0.1~5%未満):AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、Al-P上昇、総ビリルビン上昇等の肝機能検査値上昇を伴う肝機能障害や黄疸が現れることがあるので、肝機能検査を行うなど患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合は投与を中止し、適切な処置を行う。
    5. 皮膚粘膜症状(頻度不明):皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、天疱瘡様症状、苔癬状皮膚炎、小水疱性皮膚炎等が現れ、死亡に至った例が報告されているので、これらの症状が現れた場合は直ちに投与を中止し、適切な処置を行う。
    6. 汎血球減少(頻度不明)、白血球減少(5~10%未満)、好中球減少(10%以上)、無顆粒球症(頻度不明)、血小板減少(5%未満):重篤な血球減少が現れることがあり、好中球減少については、本剤の最終投与から4週間以上経過して発現する例が報告されているので、本剤の治療期間中及び治療終了後は定期的に血液検査を行うなど、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合は休薬等の適切な処置を行う。
    7. 感染症(頻度不明):細菌、真菌、あるいはウイルスによる重篤な感染症(敗血症、肺炎等)が現れることがあるので、本剤の治療期間中及び治療終了後は患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合は投与を中止し、適切な処置を行う。
    8. 進行性多巣性白質脳症(PML)(頻度不明):進行性多巣性白質脳症(PML)が現れることがあるので、本剤の治療期間中及び治療終了後は患者の状態を十分に観察し、意識障害、認知障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、言語障害等の症状が現れた場合は、MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行う。
    9. 間質性肺炎(頻度不明):間質性肺炎が現れることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合は直ちに投与を中止し、適切な処置を行う。
    10. 心障害(頻度不明):心室性不整脈あるいは心房性不整脈、狭心症、心筋梗塞が報告されているので、これらの症状が現れた場合は直ちに投与を中止し、適切な処置を行う。
    11. 腎障害(頻度不明):透析を必要とする腎障害が報告されていることから、患者の状態を十分に観察し、尿量減少、血清クレアチニン上昇やBUN上昇が認められた場合は投与を中止し、適切な処置を行う。
    12. 消化管穿孔・閉塞(頻度不明):消化管穿孔・消化管閉塞が現れることがあるので、初期症状としての腹痛、腹部膨満感、下血、吐血、貧血等の観察を十分に行い、異常が認められた場合は、直ちにX線、CT検査等を実施して出血部位、穿孔・閉塞所見の有無を確認し、適切な処置を行う。
    13. 血圧下降(頻度不明):一過性血圧下降が発現することがあるので、このような症状が現れた場合は投与を中止し、適切な処置を行う。
    14. 可逆性後白質脳症症候群等の脳神経症状(頻度不明):可逆性後白質脳症症候群(症状:痙攣発作、頭痛、精神症状、視覚障害、高血圧等)が現れることがある。また、本剤の治療終了後6カ月までの間に、失明、難聴等の視聴覚障害、感覚障害、顔面神経麻痺等の脳神経障害が報告されているので、患者の状態を十分に観察し、このような症状が現れた場合は投与を中止し、適切な処置を行う。
  3. その他の副作用:次の副作用が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う。

    1. 呼吸器:(5%以上)咽喉頭炎(28.7%)、鼻炎(24.7%)、口腔咽頭不快感(15.3%)、咳、呼吸障害、(5%未満)喘鳴、鼻出血。
    2. 循環器:(5%以上)血圧上昇(17.3%)、頻脈(11.3%)、潮紅、(5%未満)動悸、血管拡張、末梢性虚血、徐脈。
    3. 消化器:(5%以上)悪心・嘔吐(23.0%)、腹痛(11.7%)、口内炎(11.7%)、食欲不振、下痢、(5%未満)口内乾燥、便秘、しぶり腹。
    4. 過敏症:(5%以上)発熱(47.3%)、悪寒(21.7%)、発疹(20.3%)、そう痒(19.3%)、ほてり(15.3%)、関節痛、蕁麻疹、(頻度不明)血清病、(5%未満)筋肉痛、インフルエンザ様症候群。
    5. 全身状態:(5%以上)疼痛(39.3%)、倦怠感(23.7%)、虚脱感(22.7%)、頭痛(20.7%)、多汗(11.0%)、浮腫、(5%未満)胸痛、体重増加、無力症。
    6. 精神神経系:(5%以上)異常感覚、しびれ感、(5%未満)眩暈、不眠症。
    7. 血液・凝固:(5%以上)貧血(27.7%)、(頻度不明)フィブリン分解産物増加[FDP増加、Dダイマー増加]、血小板増加、(5%未満)好酸球増多。
    8. 腎臓:(5%以上)電解質異常、(5%未満)BUN上昇、クレアチニン上昇。
    9. 肝臓:(5%以上)ALT上昇(GPT上昇)(13.3%)、AST上昇(GOT上昇)(13.0%)、Al-P上昇、(5%未満)総ビリルビン上昇。
    10. その他:(5%以上)CRP上昇(23.6%)、LDH上昇(15.0%)、総蛋白減少、尿酸値上昇、結膜炎、帯状疱疹、(頻度不明)筋攣縮、(5%未満)皮脂欠乏性湿疹、投与部位反応(投与部位疼痛、投与部位腫脹等)、アルブミン減少、しゃっくり。

使用上の注意

(警告)

  1. 本剤の投与は、緊急時に十分に対応できる医療施設において、造血器腫瘍、自己免疫疾患、ネフローゼ症候群及び慢性特発性血小板減少性紫斑病の治療、並びに腎移植あるいは肝移植に対して、十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の使用が適切と判断される症例のみに行う。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始する。

  2. 本剤の投与開始後30分~2時間より現れるinfusion reactionのうちアナフィラキシー様症状、肺障害、心障害等の重篤な副作用(低酸素血症、肺浸潤、急性呼吸促迫症候群、心筋梗塞、心室細動、心原性ショック等)により、死亡に至った例が報告されている。これらの死亡例の多くは初回投与後24時間以内にみられている。また、本剤を再投与した時の初回投与後にも、これらの副作用が現れる恐れがある。本剤投与中はバイタルサイン(血圧、脈拍、呼吸数等)のモニタリングや自他覚症状の観察を行うとともに、投与後も患者の状態を十分観察する。特に次の患者については発現頻度が高く、かつ重篤化しやすいので注意する、1)血液中に大量の腫瘍細胞(25000/μL以上)があるなど腫瘍量の多い患者、2)脾腫を伴う患者、3)心機能障害、肺機能障害を有する患者。

  3. 腫瘍量の急激な減少に伴い、腎不全、高カリウム血症、低カルシウム血症、高尿酸血症、高Al-P血症等の腫瘍崩壊症候群(tumor lysis syndrome)が現れ、本症候群に起因した急性腎障害による死亡例及び透析が必要となった患者が報告されている(血液中に大量の腫瘍細胞がある患者において、初回投与後12~24時間以内に高頻度に認められることから、急激に腫瘍量が減少した患者では、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分観察する)。また、本剤を再投与した時の初回投与後にも、これらの副作用が現れる恐れがある。

  4. B型肝炎ウイルスキャリアの患者で、本剤の治療期間中又は治療終了後に、劇症肝炎又は肝炎増悪、肝不全による死亡例が報告されている。

  5. 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)等の皮膚粘膜症状が現れ、死亡に至った例が報告されている。

  6. ゼヴァリン イットリウム(90Y)静注用セットの前投薬及びゼヴァリン インジウム(111In)静注用セットの前投薬として本剤を用いる場合には、ゼヴァリン イットリウム(90Y)静注用セット及びゼヴァリン インジウム(111In)静注用セットの添付文書についても熟読する。

(禁忌)

本剤の成分に対する重篤な過敏症又はマウス蛋白質由来製品に対する重篤な過敏症又は本剤の成分に対するアナフィラキシー反応又はマウス蛋白質由来製品に対するアナフィラキシー反応の既往歴のある患者。

(慎重投与)

  1. 感染症(敗血症、肺炎、ウイルス感染等)を合併している患者[免疫抑制作用により病態を悪化させる恐れがあり、HBs抗体陽性患者に本剤を投与した後、HBs抗体が陰性の急性B型肝炎を発症した例が報告されている]。

  2. 心機能障害のある患者又はその既往歴のある患者[投与中又は投与後に不整脈悪化又は不整脈再発、狭心症悪化又は狭心症再発等させる恐れがある]。

  3. 肺浸潤、肺機能障害のある患者又はその既往歴のある患者[投与中又は投与直後に気管支痙攣や低酸素症を伴う急性呼吸器障害が現れ、肺機能悪化させる恐れがある]。

  4. 重篤な骨髄機能低下のある患者あるいは腫瘍細胞の骨髄浸潤がある患者[好中球減少増悪及び血小板減少増悪させ重篤化させる恐れがある]。

  5. 降圧剤による治療中の患者[本剤投与中に一過性の血圧下降が現れることがある]。

  6. 薬物過敏症の既往歴のある患者。

  7. アレルギー素因のある患者。

(重要な基本的注意)

  1. 本剤の初回投与中又は投与開始後24時間以内に多く現れるinfusion reaction(症状:発熱、悪寒、悪心、頭痛、疼痛、そう痒、発疹、咳、虚脱感、血管浮腫等)が約90%の患者において報告されており、これらの症状は、通常軽微~中等度で、主に本剤の初回投与時に現れているので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合は適切な処置(解熱鎮痛剤、抗ヒスタミン剤等の投与)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察する。

  2. 抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛剤、副腎皮質ホルモン剤等の前投与を行った患者においても、重篤なinfusion reactionが発現したとの報告があるので、患者の状態を十分に観察する。

  3. 不整脈や狭心症等の心機能障害を合併する患者又はその既往歴のある患者に投与する場合は、投与中又は投与直後に心電図、心エコー等によるモニタリングを行うなど、患者の状態を十分に観察する。

  4. B型肝炎ウイルスキャリアの患者又はB型肝炎既往感染者(HBs抗原陰性かつHBc抗体陽性又はHBs抗原陰性かつHBs抗体陽性)で、本剤の投与により、B型肝炎ウイルスによる劇症肝炎又はB型肝炎ウイルスによる肝炎が現れることがあり、死亡に至った症例が報告されているので、本剤投与に先立ってB型肝炎ウイルス感染の有無を確認し、本剤投与前に適切な処置を行う(また、本剤の治療期間中及び治療終了後は継続して肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルス再活性化の徴候や症状の発現に注意する)。

  5. 本剤の治療中より末梢血リンパ球減少が現れ、治療終了後も持続すること、また免疫グロブリンが減少した例が報告されていることなど、免疫抑制作用により細菌やウイルスによる感染症が生じる又は感染症悪化する可能性があり、本剤によりニューモシスチス肺炎発現の恐れがあるので、適切な予防措置を考慮する。

  6. 咽頭扁桃部位に病巣、口蓋扁桃部位に病巣のある患者で、本剤投与後、炎症反応に起因する病巣の一過性の腫脹がみられ、病巣腫脹により呼吸困難を来したという報告があるので、このような症状が発現した場合は、副腎皮質ホルモン剤を投与するなど、適切な処置を行う。

  7. 現在までに、本剤の投与により伝達性海綿状脳症(TSE)をヒトに伝播したとの報告はない。本剤は、マスターセルバンク構築時にカナダ、米国又はニュージーランド産ウシの血清由来成分を使用しているが、理論的なリスク評価を行い一定の安全性を確保する目安に達していることを確認している。しかしながら、TSEの潜在的伝播の危険性を完全に排除することはできないことから、疾病の治療上の必要性を十分検討の上、本剤を投与する。なお、投与に先立ち、患者への有用性と安全性の説明も考慮する。

  8. 免疫抑制状態下のCD20陽性B細胞性リンパ増殖性疾患に本剤を使用する際には、関連文献(「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書:リツキシマブ(遺伝子組換え)(免疫抑制状態下のCD20陽性のB細胞性リンパ増殖性疾患(成人))」等)を熟読する。

  9. 慢性特発性血小板減少性紫斑病に用いる場合、本剤により血小板数過剰増加が現れたとの報告があるため、血小板数を定期的に測定し、異常が認められた場合は本剤の投与を中止するなど適切な処置を行う。

(相互作用)

併用注意:

  1. 生ワクチン又は弱毒生ワクチン[接種した生ワクチンの原病に基づく症状が発現した場合には適切な処置を行う(本剤のBリンパ球傷害作用により発病する恐れがある)]。

  2. 不活化ワクチン[ワクチンの効果を減弱させる恐れがある(Bリンパ球傷害作用によりワクチンに対する免疫が得られない恐れがある)]。

  3. 免疫抑制作用を有する薬剤(免疫抑制剤、副腎皮質ホルモン剤等)[発熱などの感染症(細菌及びウイルス等)に基づく症状が発現した場合は、適切な処置を行う(過度の免疫抑制作用による感染症誘発の危険性がある)]。

(高齢者への投与)

一般に高齢者では生理機能が低下しているので、患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与する。

(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)

  1. 本剤の妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことを原則とするが、やむを得ず投与する場合には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する[ヒトIgGは胎盤関門を通過することが知られており、妊娠中に本剤を投与した患者の出生児において、末梢血リンパ球減少が報告されている]。

  2. 授乳中の投与に関する安全性は確立していないので、授乳婦に投与する場合には授乳を中止させる[ヒトIgGは母乳中に移行することが知られている]。

(小児等への投与)

  1. CD20陽性B細胞性非ホジキンリンパ腫、CD20陽性慢性リンパ性白血病、多発血管炎性肉芽腫症、顕微鏡的多発血管炎、慢性特発性血小板減少性紫斑病、インジウム(111In)イブリツモマブ チウキセタン注射液投与の前投与(遺伝子組換え)及びイットリウム(90Y)イブリツモマブ チウキセタン注射液投与の前投与(遺伝子組換え):低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない[使用経験がない]。

  2. 免疫抑制状態下のCD20陽性B細胞性リンパ増殖性疾患:低出生体重児、新生児、乳児に対する安全性は確立していない[使用経験が少ない]。

  3. 難治性ネフローゼ症候群(頻回再発型あるいはステロイド依存性を示す場合):低出生体重児、新生児、乳児及び3歳未満の幼児に対する安全性は確立していない[使用経験がない]。

  4. ABO血液型不適合腎移植・肝移植:低出生体重児、新生児、乳児に対する安全性は確立していない[使用経験が少ない]。

(適用上の注意)

  1. 調製時

    1. 希釈液として生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液以外は使用しない。
    2. 抗体が凝集する恐れがあるので、希釈時及び希釈後に泡立つような激しい振動を加えない。
    3. 希釈後の液は速やかに使用し、また、使用後の残液は、細菌汚染の恐れがあるので使用しない。
  2. 投与時

    1. 本剤の投与は点滴静注のみとし、急速静注、静脈内大量投与はしない。
    2. 他剤(生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液を除く)との混注はしない。
    3. 蛋白質溶液であるために、わずかに半透明の微粒子がみられることがあるが、これにより本剤の薬効は影響を受けない(なお、これ以外の外観上の異常を認めた場合には使用しない)。

(その他の注意)

  1. 本剤が投与された患者ではヒト抗キメラ抗体を生じることがあり、ヒト抗キメラ抗体を生じた患者に再投与された場合は、アレルギー、過敏反応等が発現する恐れがある。

  2. 海外において、慢性特発性血小板減少性紫斑病の患者に投与した場合、血小板数増加し、血栓塞栓症が認められたとの報告がある。

(保管上の注意)

凍結を避け冷所(2~8℃)に保存。