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スローケー錠600mg
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効果・効能

低カリウム血症の改善。

用法・用量

1回塩化カリウムとして1200mgを1日2回、食後経口投与する。年齢、症状により適宜増減する。

副作用

総症例1,869例中47例(2.5%)に副作用が認められ、そのうち約87%が胃部不快感、軽度の腹痛などの消化器症状であった(承認時まで及び市販後1978年までの集計)。

  1. 重大な副作用(頻度不明)

    1. 消化管閉塞、消化管潰瘍又は消化管穿孔:観察を十分に行い、嚥下時疼痛、激しい嘔吐・激しい腹痛・激しい腹部膨満、消化管出血等が現れた場合には、直ちに投与を中止する。
    2. 心臓伝導障害:一時に大量投与した場合に現れやすい。
  2. その他の副作用

    1. 消化器:(0.1%~5%未満)悪心・嘔吐、腹部不快感、下痢。
    2. 過敏症:(頻度不明)蕁麻疹、発疹、そう痒感。

使用上の注意

(禁忌)

  1. 乏尿・無尿(前日の尿量が500mL以下あるいは投与直前の排尿が1時間当り20mL以下)又は高窒素血症がみられる高度腎機能障害のある患者[高カリウム血症悪化する]。

  2. 未治療のアジソン病患者[高カリウム血症悪化する]。

  3. 高カリウム血症の患者[不整脈や心停止を引き起こす恐れがある]。

  4. 消化管通過障害のある患者[塩化カリウムの局所的な粘膜刺激作用により消化管潰瘍、消化管狭窄、消化管穿孔を来すことがある]。

    1. 食道狭窄のある患者(心肥大、食道癌、胸部大動脈瘤、逆流性食道炎、心臓手術等による食道圧迫)。
    2. 消化管狭窄又は消化管運動機能不全のある患者。
  5. 高カリウム血性周期性四肢麻痺の患者[発作を誘発する恐れがある]。

  6. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

  7. エプレレノン投与中(高血圧症)の患者。

(慎重投与)

  1. 腎機能低下あるいは腎機能障害のある患者[高カリウム血症が現れやすい]。

  2. 急性脱水症、広範囲組織損傷(広範囲熱傷、広範囲外傷等)のある患者[高カリウム血症が現れることがある]。

  3. エプレレノン投与中(慢性心不全)の患者。

  4. 高カリウム血症が現れやすい疾患(低レニン性低アルドステロン症等)を有する患者。

  5. 心疾患のある患者[過剰に投与した場合、症状を悪化させることがある]。

  6. 消化性潰瘍の既往歴のある患者[塩化カリウムの刺激により再発させる恐れがある]。

  7. 抗コリン作動薬投与中の患者。

(重要な基本的注意)

本剤の投与に際しては、患者の血清電解質及び心電図の変化に注意する。特に、長期投与する場合には、血清カリウム値又は尿中カリウム値、腎機能、心電図等を定期的に検査することが望ましい。また、高カリウム血症が現れた場合には投与を中止する。なお、血清カリウムの測定に際しては溶血等によるカリウム値の人為的上昇に注意する。

(相互作用)

  1. 併用禁忌:エプレレノン(高血圧症)(セララ)[高カリウム血症が現れることがある(エプレレノンは血中のカリウムを上昇させる可能性があり、併用により高カリウム血症が現れやすくなると考えられる(危険因子)腎障害患者)]。

  2. 併用注意

    1. エプレレノン(慢性心不全)[血清カリウム値が上昇する可能性があるので、血清カリウム値を定期的に観察するなど十分に注意する(カリウム貯留作用が増強する恐れがある)]。
    2. 抗アルドステロン剤(スピロノラクトン等)、カリウム保持性利尿剤(トリアムテレン等)、直接的レニン阻害剤(アリスキレン)、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ベナゼプリル、カプトプリル等)、アンジオテンシン2受容体拮抗剤(バルサルタン、ロサルタンカリウム、カンデサルタンシレキセチル、テルミサルタン等)、β-遮断剤、非ステロイド性消炎鎮痛剤(インドメタシン等)、シクロスポリン、ヘパリン、ジゴキシン、ドロスピレノン・エチニルエストラジオール[高カリウム血症が現れることがある(これらの薬剤は血中のカリウムを上昇させる可能性があり、併用により高カリウム血症が現れやすくなると考えられる(危険因子)腎障害患者)]。
    3. 抗コリン作動薬[本剤の消化管粘膜刺激が現れやすいので、症状が現れた場合には、本剤の減量又はカリウムの液剤の使用を考慮する(抗コリン剤の消化管運動の抑制による)]。
    4. 筋弛緩剤(ベクロニウム等)[筋弛緩剤の作用が減弱することがある(カリウムイオンは骨格筋の収縮に関与している)]。

(高齢者への投与)

一般に高齢者では生理機能が低下しているので減量するなど注意する。

(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)

  1. 妊婦には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する[消化管運動が低下していることが多く、塩化カリウムの消化管粘膜刺激作用が現れやすい]。

  2. 授乳中の婦人には投与しないことが望ましいが、やむを得ず投与する場合には授乳を避けさせる[授乳中の投与に関する安全性は確立していない]。

(小児等への投与)

小児に対する有用性は確立していない。

(過量投与)

  1. 徴候、症状:通常経口投与では重篤な高カリウム血症が現れることは少ないが、過量投与時、排泄機能異常等がある場合には起こることがある。過量投与時、一般に高カリウム血症は初期には無症状のことが多いので、血清カリウム値及び特有な心電図変化(T波の尖鋭化、QRS幅の延長、ST部の短縮、P波の平坦化ないしはP波の消失)に十分注意する。なお、過量投与時、筋肉症状及び中枢神経系症状として、錯感覚、痙攣、反射消失が現れ、横紋筋弛緩性麻痺は、呼吸麻痺に至る恐れがある。また、大幅な過量投与で本剤が胃石を形成した事例が報告されている(本剤による胃石は薬剤摂取から数時間に渡り、継続的な塩化カリウム放出の原因となる)。

  2. 処置:高カリウム血症が認められた場合には血清カリウム値、臨床症状に応じて次を参考に適切な処置を行う。

    1. 過量投与時高カリウム血症が認められた場合は、カリウムを含む食物や薬剤の制限又は排除、カリウム保持性利尿剤の投与が行われている場合にはその投与中止。
    2. 過量投与時高カリウム血症が認められた場合は、インスリンをブドウ糖3~4gに対し1単位(もし糖尿病があれば2gに対し1単位)加えた20~50%高張ブドウ糖液200~300mLを30分くらいで静脈内投与。
    3. 過量投与時高カリウム血症が認められ、アシドーシスのある場合には、乳酸ナトリウムあるいは炭酸水素ナトリウムを5%ブドウ糖液200mL程度に溶解し静脈内投与。
    4. 過量投与時高カリウム血症が認められた場合は、グルコン酸カルシウムの静脈内投与。
    5. 過量投与時高カリウム血症が認められた場合は、陽イオン交換樹脂(ポリスチレンスルホン酸ナトリウム等)の経口投与又は注腸。
    6. 過量投与時高カリウム血症が認められた場合は、血液透析又は腹膜透析。

      過量投与時、本剤による胃石が認められた場合には胃洗浄等の適切な処置を行い、胃石の大きさ及び摂取錠剤の数に応じて内視鏡的又は外科的処置も考慮に入れる。

(適用上の注意)

  1. 服用時:本剤は噛み砕かずに、多めの水で服用する。

  2. 薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導する(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。

(その他の注意)

  1. 代謝性アシドーシスの場合、低カリウム血症の治療は塩基性塩によって行われることが望ましい。

  2. 服用後、錠剤がX線で造影されることがある。

  3. 各種の消化管吻合術後の患者では吸収されないまま消化管を通過することがあるので吸収率が著しく低下する恐れがある(このような患者に対しては、内用液剤、顆粒剤等を投与することが望ましい)。

  4. 本剤のゴーストタブレット(有効成分放出後の殻錠)が糞中に排泄されることがある。

(取扱い上の注意)

  1. 吸湿性が極めて高いので、アルミピロー開封後は湿気を避けて保存。

  2. PTPシートから取り出して調剤しない。

  3. 粉砕して調剤しない。

  4. 使用期限内であっても、開封後はなるべく速やかに使用する。

(保管上の注意)

防湿。