ミニリンメルトOD錠25μgの添付文書
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効果・効能
男性における夜間多尿による夜間頻尿。
(効能又は効果に関連する注意)
本剤は、次の精査及び治療等を行った上でも、夜間多尿指数が33%以上、且つ夜間排尿回数が2回以上の場合にのみ投与を考慮すること。
・ 夜間頻尿の原因には、夜間多尿の他に、前立腺肥大症、過活動膀胱等の膀胱蓄尿障害等があることから、夜間頻尿の原因が夜間多尿のみによることを確認すること。前立腺肥大症で夜間頻尿及び過活動膀胱で夜間頻尿の症状を呈する場合には当該疾患の治療を行い、その上で、夜間頻尿の症状が改善しない場合には、夜間多尿の精査及び治療を行った上で、本剤の投与の可否を考慮できる。
・ 夜間多尿の原因となる疾患(高血圧症、糖尿病、心不全、腎不全、肝胆道疾患、睡眠時無呼吸症候群など)があることに留意し、本剤投与前に血圧測定、心電図、血液・尿検査等の臨床検査や問診等を実施すること(これらの疾患が認められた場合は、当該疾患の治療を行うこと)〔2.3、2.6参照〕。
・ 飲水制限などの生活指導及び行動療法を行うこと〔2.2参照〕。
夜間多尿指数:24時間の尿排出量に対する夜間の尿排出量の割合。
用法・用量
成人男性には、通常、1日1回就寝前にデスモプレシンとして50μgを経口投与する。
(用法及び用量に関連する注意)
- 年齢、体重、血清ナトリウム値、心機能等の状態から低ナトリウム血症を発現しやすいと考えられる場合には、デスモプレシンとして25μgから投与を開始することを考慮すること〔9.8高齢者の項、11.1.1、17.3参照〕。
- 夜間多尿による夜間頻尿の治療における飲水制限などの生活指導及び行動療法の必要性、並びに本剤投与中の低ナトリウム血症の発現予防における水分管理の必要性を考慮し、本剤は水なしで飲む(なお、本剤は口の中(舌下)に入れると速やかに溶ける)。
- 投与開始後8週から12週を目安に、症状の改善が認められない場合は、本剤の投与中止を考慮すること。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
1.1. 低ナトリウム血症(0.8%):低ナトリウム血症による脳浮腫、昏睡、痙攣等の重篤な水中毒症状があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止して、水分摂取を制限し、必要な場合は対症療法を行うなど、患者の状況に応じて処置すること(低ナトリウム血症が認められた患者では、投与を再開しないこと)〔1.警告、2.1-2.5、7.1、8.1、8.2、9.1.2、9.8高齢者の項、10.1、10.2参照〕。
1.2. うっ血性心不全(頻度不明):うっ血性心不全の初期症状(下腿浮腫、急激な体重増加、労作時息切れ、起座呼吸など)の発現に注意し、これらの症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと(うっ血性心不全が認められた患者では、投与を再開しないこと)〔2.3参照〕。
- その他の副作用
- 代謝および栄養障害:(0.5~5%未満)血中ナトリウム減少、BNP増加。
- 神経系障害:(0.5%未満)頭痛、浮動性めまい、傾眠、(頻度不明)情動障害、攻撃性、悪夢、異常行動。
- 胃腸障害:(0.5%未満)便秘、口内乾燥、下痢、(頻度不明)悪心、腹部不快感、口腔浮腫、口唇浮腫。
- 一般・全身障害および投与部位の状態:(0.5%未満)末梢性浮腫、顔面浮腫、浮腫、(頻度不明)疲労。
- 血管障害:(0.5%未満)血圧上昇。
- 腎および尿路障害:(頻度不明)血中尿素増加。
- 肝胆道系障害:(0.5~5%未満)肝機能異常。
- 皮膚および皮下組織障害:(頻度不明)発疹、じん麻疹、全身性そう痒感、湿疹。
使用上の注意
(警告)
本剤の抗利尿作用により過剰な水分貯留に伴う低ナトリウム血症を引き起こす可能性があり、また、デスモプレシン酢酸塩水和物を使用した患者で重篤な低ナトリウム血症による痙攣が報告されていることから、患者及びその家族に対して、水中毒(低ナトリウム血症)が発現する場合があること、水分摂取管理の重要性について十分説明・指導すること〔8.1、8.2、11.1.1参照〕。
(禁忌)
- 低ナトリウム血症の患者又はその既往歴のある患者[低ナトリウム血症が増悪又は発現するおそれがある]〔11.1.1参照〕。
- 習慣性多飲症又は心因性多飲症の患者(尿生成量が40mL/kg/24時間を超える)[低ナトリウム血症が発現しやすい]〔5.効能又は効果に関連する注意の項、11.1.1参照〕。
- 心不全又はその既往歴あるいはその疑いがある患者[低ナトリウム血症が発現しやすい、また、心不全が増悪又は発現するおそれがある]〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.3、11.1.1、11.1.2参照〕。
- 利尿薬による治療を要する体液貯留又はその既往歴のある患者[低ナトリウム血症が発現しやすい]〔8.3、11.1.1参照〕。
- 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群の患者[低ナトリウム血症が発現しやすい]〔11.1.1参照〕。
- 中等度以上の腎機能障害のある患者(クレアチニンクリアランスが50mL/分未満)〔5.効能又は効果に関連する注意の項、9.2.1参照〕。
- 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者。
- チアジド系利尿剤投与中、チアジド系類似剤投与中、ループ利尿剤投与中の患者〔10.1参照〕。
- 副腎皮質ステロイド剤(注射剤・経口剤・吸入剤・注腸剤・坐剤)投与中の患者〔10.1参照〕。
(重要な基本的注意)
- 本剤投与中に低ナトリウム血症による水中毒症状を来すことがあるので、次の点に注意すること〔1.警告の項、11.1.1参照〕。
・ 飲水制限を行い、点滴・輸液による水分摂取量も考慮すること。
・ 本剤投与開始前に血清ナトリウム値の測定を行い、投与の適否を判断すること。
・ 本剤投与中は投与開始又は増量から1週以内(3~7日)、1ヵ月後、及びその後は定期的に血清ナトリウム値の測定を行い、血清ナトリウム値が急激な低下を認めた場合や目安として血清ナトリウム値135mEq/L未満を認めた場合には、投与を中止すること。
・ 本剤投与中は定期的に患者の状態を観察し、水中毒を示唆する症状(倦怠感、頭痛、悪心・嘔吐等)が認められた場合には、直ちに投与を中断し、血清ナトリウム値を測定すること。
- 低ナトリウム血症による水中毒症状の発現及び水中毒重篤化を避けるために患者及びその家族に次の点について十分説明・指導すること〔1.警告の項、11.1.1参照〕。
・ 本剤の投与初期には頻回の血液検査(血清ナトリウム値測定)が必要であり、医師の指示に従い検査を受けること。
・ 食事を含め、投与の2~3時間前より起床時迄の水分の摂取は最小限とすること。過度に水分を摂取してしまった場合は本剤の投与を行わないこと。
・ 水分や電解質のバランスが崩れ、水分補給が必要となる急性疾患(全身性感染症、発熱、胃腸炎等)を合併している場合は本剤の投与を中断すること。
・ 低ナトリウム血症による水中毒を示唆する症状(倦怠感、頭痛、悪心・嘔吐等)があらわれた場合には直ちに投与を中断し、速やかに医師に連絡すること。
・ 他院や他科を受診する際には、本剤投与中である旨を担当医師に報告すること。
- 本剤投与開始前に臨床検査及び問診を実施し、本剤投与により低ナトリウム血症が発現するおそれがある基礎疾患(心不全や体液貯留を伴う疾患等)が認められた場合には、本剤の投与を行わないこと〔2.3、2.4参照〕。
(特定の背景を有する患者に関する注意)
(合併症・既往歴等のある患者)
1.1. 高血圧を伴う循環器疾患、高度動脈硬化症、冠動脈血栓症、狭心症の患者:血圧上昇により症状を悪化させるおそれがある。
1.2. 下垂体前葉不全を有する患者:低ナトリウム血症が発現しやすい〔11.1.1参照〕。
(腎機能障害患者)
2.1. 中等度以上の腎機能障害のある患者(クレアチニンクリアランスが50mL/分未満):投与しないこと(血中半減期の延長、血中濃度の増加が認められ重篤な副作用が発現することがある)〔2.6、16.6.1参照〕。
2.2. 軽度腎機能障害のある患者(クレアチニンクリアランスが50~80mL/分):血中半減期の延長、血中濃度の増加が認められ重篤な副作用が発現することがある〔16.6.1参照〕。
(高齢者)
患者の状態を勘案してデスモプレシンとして25μgから投与を開始することも十分に検討し、また、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(低ナトリウム血症が発現しやすい傾向がある)〔7.1、11.1.1、17.3参照〕。
(相互作用)
- 併用禁忌:
- チアジド系利尿剤(トリクロルメチアジド含有製剤(フルイトラン、イルトラ)、ヒドロクロロチアジド含有製剤(ヒドロクロロチアジド、エカード、ミカトリオ、ミコンビ、コディオ、プレミネント)、ベンチルヒドロクロロチアジド含有製剤(ベハイド))、チアジド系類似剤(インダパミド(ナトリックス)、トリパミド(ノルモナール)、メフルシド(バイカロン))、ループ利尿剤(フロセミド(ラシックス)、トラセミド(ルプラック)、アゾセミド(ダイアート))〔2.8、11.1.1参照〕[低ナトリウム血症が発現するおそれがある(いずれも低ナトリウム血症が発現するおそれがある)]。
- 副腎皮質ステロイド剤(注射剤・経口剤・吸入剤・注腸剤・坐剤)(プレドニゾロン(注射・経口・吸入・注腸・坐剤)(プレドニン)、プレドニゾロンリン酸エステルNa(注射・経口・吸入・注腸・坐剤)(プレドネマ)、プレドニゾロンコハク酸エステルNa(注射・経口・吸入・注腸・坐剤)(水溶性プレドニン)、ベタメタゾン(注射・経口・吸入・注腸・坐剤)含有製剤(リンデロン、セレスタミン)、ベタメタゾンリン酸エステルNa(注射・経口・吸入・注腸・坐剤)(リンデロン)、デキサメタゾン(注射・経口・吸入・注腸・坐剤)(デカドロン)、デキサメタゾンリン酸エステルNa(注射・経口・吸入・注腸・坐剤)(デカドロン)、デキサメタゾンパルミチン酸エステル(注射・経口・吸入・注腸・坐剤)(リメタゾン)、ヒドロコルチゾン(注射・経口・吸入・注腸・坐剤)(コートリル)、ヒドロコルチゾンリン酸エステルNa(注射・経口・吸入・注腸・坐剤)(ハイドロコートン)、ヒドロコルチゾンコハク酸エステルNa(注射・経口・吸入・注腸・坐剤)(ソル・コーテフ)、トリアムシノロン(注射・経口・吸入・注腸・坐剤)(レダコート)、トリアムシノロンアセトニド(注射・経口・吸入・注腸・坐剤)(ケナコルト-A)、ブデソニド(注射・経口・吸入・注腸・坐剤)含有製剤(パルミコート、シムビコート、ビレーズトリエアロスフィア)、ベクロメタゾンプロピオン酸エステル(注射・経口・吸入・注腸・坐剤)(キュバール)、メチルプレドニゾロン(注射・経口・吸入・注腸・坐剤)(メドロール)、メチルプレドニゾロンコハク酸エステルNa(注射・経口・吸入・注腸・坐剤)(ソル・メドロール)、メチルプレドニゾロン酢酸エステル(注射・経口・吸入・注腸・坐剤)(デポ・メドロール)、モメタゾンフランカルボン酸エステル(注射・経口・吸入・注腸・坐剤)含有製剤(アズマネックス、エナジア、アテキュラ)、フルチカゾンプロピオン酸エステル(注射・経口・吸入・注腸・坐剤)含有製剤(フルタイド、アドエア、フルティフォーム)、フルチカゾンフランカルボン酸エステル(注射・経口・吸入・注腸・坐剤)含有製剤(アニュイティ、レルベア、テリルジー)、シクレソニド(注射・経口・吸入・注腸・坐剤)(オルベスコ)、コルチゾン酢酸エステル(注射・経口・吸入・注腸・坐剤)(コートン)、フルドロコルチゾン酢酸エステル(注射・経口・吸入・注腸・坐剤)(フロリネフ))〔2.9、11.1.1参照〕[低ナトリウム血症が発現するおそれがある(機序不明)]。
- 併用注意:
- 三環系抗うつ剤(イミプラミン塩酸塩等)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(フルボキサミンマレイン酸塩等)、その他の抗利尿ホルモン不適合分泌症候群を惹起する薬剤(クロルプロマジン、カルバマゼピン、クロルプロパミド等)〔11.1.1参照〕[低ナトリウム血症による痙攣発作の報告があるので、血清ナトリウム値等をモニターすること(抗利尿ホルモンを分泌し、体液貯留のリスクを増すことがある)]。
- 非ステロイド性消炎鎮痛剤(インドメタシン等)〔11.1.1参照〕[低ナトリウム血症による水中毒症状が発現するおそれがあるため、倦怠感、頭痛、悪心・嘔吐等の発現に注意すること(体液貯留のリスクを増すことがある)]。
- ロペラミド塩酸塩〔11.1.1、16.7参照〕[本剤の血中濃度が増加し薬効が延長するおそれがある(抗利尿作用が持続することで、体液貯留/低ナトリウム血症のリスクを増すおそれがある)]。
- 低ナトリウム血症を起こすおそれがある薬剤(スピロノラクトン、オメプラゾール等)〔11.1.1参照〕[低ナトリウム血症が発現するおそれがある(いずれも低ナトリウム血症が発現するおそれがある)]。
(過量投与)
- 症状
過量投与(用法及び用量を超える量)による過剰な水分貯留に伴い低ナトリウム血症のリスクが高まり、倦怠感、頭痛、悪心・嘔吐、痙攣、意識喪失等があらわれることがある。
- 処置
過量投与時には、投与を中止して、水分摂取を制限し、必要な場合は対症療法を行うなど、患者の状況に応じて処置し、また、症状の改善がみられない場合には専門的な知識を有する医師による治療を考慮すること。
(適用上の注意)
- 薬剤交付時の注意
1.1. 本剤はブリスターシートから取り出して服用すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
1.2. 本剤は開封したとき水分と光に不安定なため、乾いた手で使用直前にブリスターシートから取り出すこと。
1.3. ブリスターシートから取り出す際、裏面のシートを剥がした後ゆっくりと指の腹で押し出し、欠けや割れが生じた場合は全量服用する(錠剤に比べてやわらかい為シートを剥がさずに押し出そうとすると割れることがある)。
(保管上の注意)
室温保存。