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効果・効能

  1. 骨端線閉鎖を伴わない成長ホルモン分泌不全性低身長症。

  2. 骨端線閉鎖を伴わないターナー症候群における低身長。

  3. 成人成長ホルモン分泌不全症(重症に限る)。

  4. 骨端線閉鎖を伴わないSGA性低身長症(SGA:small-for-gestational age)。

(効能・効果に関連する使用上の注意)

  1. 成長ホルモン分泌不全性低身長症:本剤の適用は、成長ホルモン分泌不全性低身長症と診断された患者に限定する。診断にあたっては、最新の「厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業 間脳下垂体機能障害に関する調査研究班 成長ホルモン分泌不全性低身長症の診断の手引き」を参照する。

  2. ターナー症候群における低身長

    1. ターナー症候群における低身長への適用基準:染色体検査によりターナー症候群と確定診断された者で、身長が標準身長の-2.0SD以下又は年間の成長速度が2年以上にわたって標準値の-1.5SD以下である場合。
    2. ターナー症候群における低身長の治療継続基準:1年ごとに次の基準を満たしているかどうかを判定し、いずれかを満たしたときに治療の継続をする。

      1. 成長速度≧4cm/年。
      2. 治療中1年間の成長速度と、投与前1年間の成長速度の差が、1.0cm/年以上の場合。
      3. 治療2年目以降で、治療中1年間の成長速度が次記の場合:2年目≧2cm/年、3年目以降≧1cm/年。

        但し、前のいずれも満たさないとき、又は骨年齢が15歳以上に達したときは投与を中止する。

  3. 成人成長ホルモン分泌不全症:本剤の適用は、成人成長ホルモン分泌不全症と診断された患者のうち、次のいずれかの患者に限定する。なお、重症の基準は、最新の「厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業 間脳下垂体機能障害に関する調査研究班 成人成長ホルモン分泌不全症の診断と治療の手引き」の病型分類を参照する。

    1. 小児期発症型成長ホルモン分泌不全症(小児期に成長ホルモン分泌不全症と確定診断されている患者)では、次のいずれかを満たすもの(但し、診断にあたっては、本治療開始前に再度成長ホルモン分泌刺激試験を行う):(1)2種類以上の成長ホルモン分泌刺激試験における血清(血漿)成長ホルモン濃度の頂値が重症の基準を満たすもの、(2)頭蓋内器質性疾患の合併ないし既往歴、治療歴又は周産期異常の既往があり、成長ホルモンを含む複数の下垂体ホルモンの分泌低下がある患者では、1種類の成長ホルモン分泌刺激試験における血清(血漿)成長ホルモン濃度の頂値が重症の基準を満たすもの。
    2. 成人期発症型成長ホルモン分泌不全症では、頭蓋内器質性疾患の合併ないし既往歴、治療歴又は周産期異常の既往がある患者のうち、次のいずれかを満たすもの:(1)頭蓋内器質性疾患の合併ないし既往歴、治療歴又は周産期異常の既往があり成長ホルモンを含む複数の下垂体ホルモンの分泌低下がある患者で、1種類の成長ホルモン分泌刺激試験における血清(血漿)成長ホルモン濃度の頂値が重症の基準を満たすもの、(2)頭蓋内器質性疾患の合併ないし既往歴、治療歴又は周産期異常の既往があり成長ホルモン単独の分泌低下がある患者で、2種類の成長ホルモン分泌刺激試験における血清(血漿)成長ホルモン濃度の頂値が重症の基準を満たすもの。

      [成長ホルモン分泌刺激試験の種類と成人成長ホルモン分泌不全症で重症と診断される血清(血漿)成長ホルモン濃度の頂値]

      成長ホルモン分泌刺激試験の種類:インスリン、アルギニン、グルカゴン;重症と診断される血清(血漿)成長ホルモン濃度の頂値:1.8ng/mL以下。

      成長ホルモン分泌刺激試験の種類:GHRP-2;重症と診断される血清(血漿)成長ホルモン濃度の頂値:9ng/mL以下。

  4. 骨端線閉鎖を伴わないSGA性低身長症

    1. SGA性低身長症への適用基準:次のいずれの基準も満たすこと。

      1. 出生時:出生時の体重及び身長がともに在胎週数相当の10パーセンタイル未満で、かつ出生時の体重又は身長のどちらかが、在胎週数相当の-2SD未満である。なお、重症の新生児出生時に身長が測定できないことがあるので、測定されていない場合は、出生体重のみで判定する。
      2. 治療の開始条件

        ①.3歳以上の患者である。

        ②.身長が標準身長の-2.5SD未満である。

        ③.治療開始前1年間の成長速度が標準成長速度の0SD未満である。

      3. 出生後の成長障害が子宮内発育遅延以外の疾患等に起因する患者でない。また、成長障害をもたらすと考えられる治療を受けている患者でない。

    2. SGA性低身長症の治療継続基準:1年ごとに次の基準を満たしているかどうかを判定し、いずれかを満たしたときに治療の継続をする。

      1. 成長速度≧4cm/年。
      2. 治療中1年間の成長速度と、投与前1年間の成長速度の差が1.0cm/年以上の場合。
      3. 治療2年目以降、増量後の治療中1年間の成長速度が次記の場合:2年目≧2.0cm/年、3年目以降≧1.0cm/年。

        但し、二次性徴発来後、年間成長速度が2cm未満になった場合は、投与を中止する。

        前記治療継続基準(1)~(3)のいずれも満たさないとき、又は骨年齢が男17歳、女15歳以上に達したときは投与を中止する。

用法・用量

  1. 骨端線閉鎖を伴わない成長ホルモン分泌不全性低身長症:1週間に体重kg当たり、ソマトロピン(遺伝子組換え)として0.175mgを2~4回に分けて筋肉内に注射するか、あるいは6~7回に分けて皮下に注射する。

  2. 骨端線閉鎖を伴わないターナー症候群における低身長:1週間に体重kg当たり、ソマトロピン(遺伝子組換え)として0.35mgを2~4回に分けて筋肉内に注射するか、あるいは6~7回に分けて皮下に注射する。

  3. 成人成長ホルモン分泌不全症(重症に限る):開始用量として、1週間に体重kg当たり、ソマトロピン(遺伝子組換え)として0.021mgを6~7回に分けて皮下に注射する。患者の臨床症状に応じて1週間に体重kg当たり0.084mgを上限として漸増し、1週間に6~7回に分けて皮下に注射する。なお、投与量は臨床症状及び血清インスリン様成長因子-1(IGF-1)濃度等の検査所見に応じて適宜増減する。但し、1日量として1mgを超えない。

  4. 骨端線閉鎖を伴わないSGA(small-for-gestational age)性低身長症:1週間に体重kg当たり、ソマトロピン(遺伝子組換え)として0.23mgを6~7回に分けて皮下に注射する。なお、効果不十分な場合は1週間に体重kg当たり0.47mgまで増量し、6~7回に分けて皮下に注射する。

(用法・用量に関連する使用上の注意)

  1. ターナー症候群における低身長:ターナー症候群における低身長患者に投与する場合には、経口ブドウ糖負荷試験等の定期的な検査により、耐糖能の観察を十分に行う。

  2. 成人成長ホルモン分泌不全症

    1. 成人成長ホルモン分泌不全症の場合、本剤の投与量は、血清IGF-1濃度を参照して調整し、血清IGF-1濃度は投与開始後24週目までは4週間に1回、それ以降は12週から24週に1回の測定を目安とし、また、副作用の発現等の際は、適宜、血清IGF-1濃度を測定し、本剤の減量、投与中止等適切な処置をとる。
    2. 加齢に伴い生理的な成長ホルモンの分泌量や血清IGF-1濃度が低下することが知られているので、成人成長ホルモン分泌不全症の場合、本剤投与による症状の改善が認められなくなり、かつ本剤を投与しなくても血清IGF-1濃度が基準範囲内にある場合は、投与中止を考慮する。
  3. SGA性低身長症:用量の増量にあたっては、Δ身長SDスコア、低身長の程度等を考慮して総合的に判断する(日本小児内分泌学会/日本未熟児新生児学会、「SGA性低身長症におけるGH治療の実施上の注意」を参照のこと)。

副作用

  1. 成長ホルモン分泌不全性低身長症:承認時までの調査(グロウジェクト注射用1.33mg及びグロウジェクト注射用8mg)及び市販後の使用成績調査(グロウジェクト注射用1.33mg)における総症例571例中49例(8.6%)に副作用(臨床検査値の異常を含む)が111件報告された。その主なものは、血清無機リン上昇10例(1.75%)、血清遊離脂肪酸上昇10例(1.75%)、血清ALT(GPT)上昇9例(1.58%)、血清AST(GOT)上昇8例(1.40%)、好酸球増多7例(1.23%)等であった(再審査終了時)。

  2. ターナー症候群における低身長:承認時までの調査(グロウジェクト注射用1.33mg)、市販後の使用成績調査(グロウジェクト注射用1.33mg、グロウジェクト注射用8mg及びグロウジェクトBC注射用8mg(再審査終了時))及び特別調査(グロウジェクト注射用1.33mg、グロウジェクト注射用8mg及びグロウジェクトBC注射用8mg)における総症例475例中114例(24.0%)に副作用(臨床検査値の異常を含む)が226件報告された。その主なものは、尿中血陽性43例(9.05%)、尿中蛋白陽性15例(3.16%)、血中甲状腺刺激ホルモン増加12例(2.53%)、血清AST(GOT)上昇11例(2.32%)、肝機能異常11例(2.32%)等であった。

  3. 成人成長ホルモン分泌不全症:臨床試験(グロウジェクトBC注射用8mg)及び使用成績調査(グロウジェクト注射用1.33mg、グロウジェクト注射用8mg及びグロウジェクトBC注射用8mg)における安全性評価対象例205例中77例(37.6%)に副作用(臨床検査値の異常を含む)が361件報告された。その主なものは、関節痛14例(6.8%)、血清ALT(GPT)上昇13例(6.3%)、血清AST(GOT)上昇11例(5.4%)、浮腫11例(5.4%)、四肢痛7例(3.4%)、血圧上昇7例(3.4%)、眩暈7例(3.4%)等であった(再審査終了時)。

  4. SGA性低身長症:臨床試験(グロウジェクトBC注射用8mg)及び特定使用成績調査(グロウジェクト注射用1.33mg、グロウジェクト注射用8mg及びグロウジェクトBC注射用8mg)における安全性評価対象例139例中75例(54.0%)に副作用(臨床検査値の異常を含む)が173件報告された。その主なものは、ブドウ糖負荷試験異常26例(18.7%)、四肢痛8例(5.8%)、血清ALT(GPT)上昇8例(5.8%)、CK(CPK)上昇8例(5.8%)、血清AST(GOT)上昇7例(5.0%)、頭痛7例(5.0%)、好酸球増多7例(5.0%)、扁桃肥大7例(5.0%)等であった(再審査終了時)。

  5. 重大な副作用

    1. 痙攣(頻度不明):痙攣が現れることがあるので、このような症状が現れた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行う。
    2. 甲状腺機能亢進症(頻度不明):甲状腺機能亢進症が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行う。
    3. ネフローゼ症候群(頻度不明):ネフローゼ症候群(浮腫、尿蛋白、低蛋白血症)が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行う。
    4. 糖尿病(頻度不明):耐糖能低下が現れ、糖尿病を発症することがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行う。
  6. その他の副作用:次のような副作用が認められた場合には、必要に応じ、減量、投与中止等の適切な処置を行う。

    1. 骨端線閉鎖を伴わない成長ホルモン分泌不全性低身長症、骨端線閉鎖を伴わないターナー症候群における低身長、骨端線閉鎖を伴わないSGA性低身長症
      1. 過敏症[骨端線閉鎖を伴わない成長ホルモン分泌不全性低身長症、骨端線閉鎖を伴わないターナー症候群における低身長、骨端線閉鎖を伴わないSGA性低身長症の場合]:(0.2%未満)全身そう痒、発疹(蕁麻疹、紅斑等)[発現した場合には投与を中止する]。
      2. 内分泌[骨端線閉鎖を伴わない成長ホルモン分泌不全性低身長症、骨端線閉鎖を伴わないターナー症候群における低身長、骨端線閉鎖を伴わないSGA性低身長症の場合]:(0.2%以上)甲状腺機能低下症[甲状腺機能を定期的に検査し、甲状腺機能低下症が現れあるいは甲状腺機能低下症が悪化した場合には適切な治療を行うことが望ましい]、[骨端線閉鎖を伴わない成長ホルモン分泌不全性低身長症、骨端線閉鎖を伴わないターナー症候群における低身長、骨端線閉鎖を伴わないSGA性低身長症の場合]耐糖能低下、血中甲状腺刺激ホルモン増加、(0.2%未満)思春期早発症。
      3. 筋・骨格系[骨端線閉鎖を伴わない成長ホルモン分泌不全性低身長症、骨端線閉鎖を伴わないターナー症候群における低身長、骨端線閉鎖を伴わないSGA性低身長症の場合]:(0.2%以上)関節痛・下肢痛等の成長痛、関節痛、四肢痛、側弯症進行等の脊柱変形進行、(0.2%未満)有痛性外脛骨、外骨腫、大腿骨骨頭すべり症、大腿骨骨頭壊死、踵骨骨端炎、周期性四肢麻痺、ミオグロビン上昇、筋肉痛、関節炎。
      4. 代謝[骨端線閉鎖を伴わない成長ホルモン分泌不全性低身長症、骨端線閉鎖を伴わないターナー症候群における低身長、骨端線閉鎖を伴わないSGA性低身長症の場合]:(0.2%以上)遊離脂肪酸上昇、トリグリセリド上昇、血清P上昇、血清LDH上昇、総コレステロール上昇、Al-P上昇、CK上昇(CPK上昇)、(0.2%未満)血清K上昇。
      5. 泌尿器[骨端線閉鎖を伴わない成長ホルモン分泌不全性低身長症、骨端線閉鎖を伴わないターナー症候群における低身長、骨端線閉鎖を伴わないSGA性低身長症の場合]:(0.2%以上)尿潜血・顕微鏡的血尿、蛋白尿。
      6. 肝・胆道系[骨端線閉鎖を伴わない成長ホルモン分泌不全性低身長症、骨端線閉鎖を伴わないターナー症候群における低身長、骨端線閉鎖を伴わないSGA性低身長症の場合]:(0.2%以上)血清ALT上昇(血清GPT上昇)、血清AST上昇(血清GOT上昇)、γ-GTP上昇。
      7. 消化器[骨端線閉鎖を伴わない成長ホルモン分泌不全性低身長症、骨端線閉鎖を伴わないターナー症候群における低身長、骨端線閉鎖を伴わないSGA性低身長症の場合]:(0.2%以上)嘔吐、(0.2%未満)嘔気、腹痛。
      8. 精神・神経系[骨端線閉鎖を伴わない成長ホルモン分泌不全性低身長症、骨端線閉鎖を伴わないターナー症候群における低身長、骨端線閉鎖を伴わないSGA性低身長症の場合]:(0.2%以上)頭痛、(0.2%未満)てんかん悪化、下肢しびれ。
      9. 血液[骨端線閉鎖を伴わない成長ホルモン分泌不全性低身長症、骨端線閉鎖を伴わないターナー症候群における低身長、骨端線閉鎖を伴わないSGA性低身長症の場合]:(0.2%以上)白血球数上昇、好酸球増多、異型リンパ球、(0.2%未満)血小板数減少。
      10. 投与部位[骨端線閉鎖を伴わない成長ホルモン分泌不全性低身長症、骨端線閉鎖を伴わないターナー症候群における低身長、骨端線閉鎖を伴わないSGA性低身長症の場合]:(0.2%未満)注射部位熱感、注射部位疼痛、注射部位硬結、注射部位発赤、皮下脂肪消失、注射部位内出血、注射部位発疹。
      11. 全身症状[骨端線閉鎖を伴わない成長ホルモン分泌不全性低身長症、骨端線閉鎖を伴わないターナー症候群における低身長、骨端線閉鎖を伴わないSGA性低身長症の場合]:(0.2%以上)発熱、(0.2%未満)浮腫。
      12. その他[骨端線閉鎖を伴わない成長ホルモン分泌不全性低身長症、骨端線閉鎖を伴わないターナー症候群における低身長、骨端線閉鎖を伴わないSGA性低身長症の場合]:(0.2%以上)扁桃肥大、アデノイド肥大、(0.2%未満)頭蓋内圧亢進に伴う乳頭浮腫・視覚異常・頭痛・悪心・嘔吐[発現した場合には、本剤の投与を中止するか、減量する]、複視、霧視、眼部腫脹、胸痛、リンパ管腫、肥厚性鼻炎、睡眠時無呼吸症候群、胸腺腫大、爪変形。
    2. 成人成長ホルモン分泌不全症
      1. 過敏症[成人成長ホルモン分泌不全症の場合]:(2%未満)湿疹、発疹、接触皮膚炎、アレルギー性鼻炎。
      2. 皮膚[成人成長ホルモン分泌不全症の場合]:(2%未満)凍瘡、ざ瘡、皮膚疼痛、紫斑、皮膚変色、母斑、発赤、皮膚そう痒、アトピー性皮膚炎。
      3. 内分泌[成人成長ホルモン分泌不全症の場合]:(2%未満)遊離サイロキシン減少、遊離サイロキシン増加、遊離トリヨードチロニン増加、甲状腺刺激ホルモン低下、血中エストラジオール上昇、抗甲状腺抗体陽性、甲状腺腫。
      4. 筋・骨格系[成人成長ホルモン分泌不全症の場合]:(2%以上)関節痛、四肢痛、背部痛、(2%未満)下肢不快感、関節腫脹、頚部痛、坐骨神経痛、こわばり感、筋肉痛、外骨腫、骨腫脹、関節炎。
      5. 代謝[成人成長ホルモン分泌不全症の場合]:(2%以上)トリグリセリド上昇、総コレステロール上昇、(2%未満)CK上昇(CPK上昇)、HDLコレステロール低下、LDLコレステロール上昇、Al-P上昇。
      6. 泌尿器[成人成長ホルモン分泌不全症の場合]:(2%以上)尿潜血・顕微鏡的血尿、蛋白尿。
      7. 生殖器[成人成長ホルモン分泌不全症の場合]:(2%未満)性器出血。
      8. 肝・胆道系[成人成長ホルモン分泌不全症の場合]:(2%以上)血清ALT上昇(血清GPT上昇)、血清AST上昇(血清GOT上昇)、(2%未満)γ-GTP上昇。
      9. 消化器[成人成長ホルモン分泌不全症の場合]:(2%未満)口内炎、胃腸炎、食欲減退、上腹部痛、下痢、血便、結腸ポリープ。
      10. 精神・神経系[成人成長ホルモン分泌不全症の場合]:(2%以上)眩暈、頭痛、(2%未満)睡眠障害、傾眠、横断脊髄炎、四肢しびれ、偏頭痛、うつ病、不眠症、てんかん悪化。
      11. 血液[成人成長ホルモン分泌不全症の場合]:(2%以上)好酸球増多、(2%未満)リンパ球増多、好中球減少、白血球数上昇、後骨髄球数増加、異型リンパ球、リンパ球減少、好塩基球増多、好中球増多、骨髄球数増加。
      12. 循環器[成人成長ホルモン分泌不全症の場合]:(2%以上)血圧上昇、(2%未満)胸部圧迫感、期外収縮、動悸。
      13. 呼吸器[成人成長ホルモン分泌不全症の場合]:(2%未満)咳嗽。
      14. 投与部位[成人成長ホルモン分泌不全症の場合]:(2%未満)注射部位出血、注射部位硬結、注射部位疼痛、注射部位不快感、注射部位発赤、注射部位そう痒感、注射部位萎縮。
      15. 全身症状[成人成長ホルモン分泌不全症の場合]:(2%以上)浮腫、(2%未満)倦怠感、発熱。
      16. その他[成人成長ホルモン分泌不全症の場合]:(2%未満)CRP上昇、唾液腺混合腫瘍、嚢胞、痛風悪化、耳鳴、高尿酸血症、胆嚢ポリープ、緑内障。

使用上の注意

(禁忌)

  1. 糖尿病の患者[成長ホルモンが抗インスリン様作用を有するため]。

  2. 悪性腫瘍のある患者[成長ホルモンが細胞増殖作用を有するため]。

  3. 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人。

(慎重投与)

  1. 脳腫瘍(頭蓋咽頭腫、松果体腫、下垂体腺腫等)による成長ホルモン分泌不全性低身長症及び成人成長ホルモン分泌不全症の患者[成長ホルモンが細胞増殖作用を有するため、基礎疾患の進行や再発の観察を十分に行い慎重に投与する]。

  2. 心疾患、腎疾患のある患者[ときに一過性浮腫が現れることがあるので、特に心疾患、腎疾患のある患者に投与する場合には、観察を十分に行い慎重に投与する]。

(重要な基本的注意)

  1. 成人成長ホルモン分泌不全症

    1. 成人成長ホルモン分泌不全症患者では脳腫瘍の既往のある患者が多く含まれており、国内臨床試験において本剤の治療中に脳腫瘍再発したとの報告があるため、成人成長ホルモン分泌不全症で脳腫瘍の既往のある患者に本剤を投与する場合は定期的に画像診断を実施し、脳腫瘍の発現や再発の有無を注意深く観察する。
    2. 成人成長ホルモン分泌不全症の場合、本剤の投与中は、血清IGF-1濃度が基準範囲上限を超えないよう、定期的に検査を実施する。検査頻度については、「用法・用量に関連する使用上の注意」の項を参照する。
    3. 成人成長ホルモン分泌不全症の場合、本剤の投与により血糖値上昇、HbA1c上昇が現れることがあるため、定期的に血糖値、HbA1cあるいは尿糖等を測定し、異常が認められた場合には投与量の減量あるいは投与中止を考慮する。
    4. 成人成長ホルモン分泌不全症の場合、本剤の投与により浮腫、関節痛等が現れることがあるため、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与量の減量あるいは投与中止を考慮する。
    5. 成人成長ホルモン分泌不全症の場合、本剤の治療は、内分泌専門医もしくはその指導の下で治療を行う。
  2. SGA性低身長症

    1. SGA性低身長症の場合、治療前及び治療中には、IGF-1を3カ月~6カ月に1回、HbA1c、空腹時又は随時血糖、TSH、fT4、骨年齢を6カ月~1年に1回測定し、異常が認められた場合には投与中止を考慮する。
    2. SGA性低身長症における本剤の治療は、小児内分泌専門医等の本疾患に関する専門家もしくはその指導の下で行う。

(相互作用)

併用注意:

  1. 糖質コルチコイド[成長ホルモンの成長促進作用が抑制されることがある(糖質コルチコイドが成長抑制効果を有するため)]。

  2. インスリン[インスリンの血糖降下作用が減弱することがある(成長ホルモンが抗インスリン様作用を有するため)]。

(高齢者への投与)

一般に高齢者では、生理機能が低下しており、また、外国において、成人成長ホルモン分泌不全症患者における成長ホルモン維持用量は加齢に伴い減少することが報告されているため、高齢者に使用する場合は、投与量の減量あるいは投与中止も考慮に入れて、慎重に投与する。

(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)

妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しない。また、本剤投与中は、授乳を避けさせる[母乳中への移行については不明である]。

(小児等への投与)

低出生体重児、新生児に使用する場合には十分注意する[外国において、ベンジルアルコールの静脈内大量投与(99~234mg/kg)により、中毒症状(あえぎ呼吸、アシドーシス、痙攣等)が低出生体重児に発現したとの報告がある(本剤は添加剤としてベンジルアルコールを含有している)]。

(過量投与)

過量投与により最初は血糖低下が、次いで血糖上昇が認められることがある。長期の過量投与により先端巨大症の症状が認められることがある。

(適用上の注意)

  1. 調製方法

    1. プランジャーロッドを添付溶解液の針付き注射器型容器にねじ込み取り付ける。
    2. 針付き注射器型容器のニードルシールド(針カバー)をはずし、バイアルに溶解液をゆっくり加えた後、静かに円を描くように回して溶解する(激しく振盪しない)。
    3. 添付溶解液は、残さず全量をバイアルに注入する。
    4. 添付溶解液の針付き注射器型容器の針先には十分注意し、注射には使用しない。
    5. 完全に溶けなかった場合、又は浮遊物が見られた場合は使用しない。
  2. 溶解後の保存方法:溶解後は2~8℃で遮光保存し、42日以内に使用する(溶解後凍結した場合は使用しない)。

  3. 筋肉内注射時:筋肉内注射する場合には、組織・神経等への影響を避けるため、次記の点に注意する。

    1. 筋肉内注射時同一部位への反復注射は行わない。
    2. 筋肉内注射時神経走行部位を避ける。
    3. 注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり血液の逆流をみた場合は直ちに針を抜き、部位をかえて注射する。
    4. 筋肉内注射時、注射部位に疼痛、硬結をみることがある。
  4. 皮下注射時:皮下注射する場合には、注射部位を上腕、大腿、腹部、臀部等広範に求め、順序よく移動し、同一部位に短期間内に繰り返し注射しない。

(その他の注意)

  1. ヒト成長ホルモンと白血病の因果関係は明らかではないが、ヒト成長ホルモンの投与を受けた患者に白血病が現れたとの報告があるので、定期的に血液検査を行うなど、患者の状態を十分に観察し、白血病を発生しやすい先天異常、悪性腫瘍を発生しやすい先天異常、免疫不全症候群等の基礎疾患のある患者、脳腫瘍などによる放射線治療歴のある患者、抗がん薬投与歴や免疫抑制薬投与歴のある患者、治療開始時の血液像に異常がある患者に投与する場合には、特に患者の状態を観察する。

  2. ヒト成長ホルモンの投与を受けた患者に脳腫瘍再発したとの報告がある。

  3. 小児がんの既往を有する患者にヒト成長ホルモンを投与した場合、二次性腫瘍の発現リスクが上昇するとの報告がある。

  4. 成人成長ホルモン分泌不全症患者に本剤と本剤以外のホルモン剤を併用する場合には、併用するホルモン剤が血清IGF-1濃度に影響を及ぼすことがあるため、慎重に血清IGF-1濃度をモニタリングする。

  5. 連続投与した場合、ヒト成長ホルモンに対する抗体が生じることがあるので、抗体の産生により効果の減弱がみられる場合には、投与を中止し、適宜他の治療法を考慮する。

  6. 動物実験で妊娠前・妊娠初期投与試験において、高投与量群で交尾率低下及び妊娠率低下が報告されている。

(保管上の注意)

冷暗所保存(2~8℃)。