処方薬
シメチジン注射液200mg「サワイ」
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シメチジン注射液200mg「サワイ」の添付文書

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効果・効能

上部消化管出血(消化性潰瘍、急性ストレス潰瘍、出血性胃炎による)、侵襲ストレス(手術後に集中管理を必要とする大手術、集中治療を必要とする脳血管障害・頭部外傷・多臓器不全・重症熱傷等)による上部消化管出血の抑制、麻酔前投薬。

用法・用量

  1. 上部消化管出血(消化性潰瘍、急性ストレス潰瘍、出血性胃炎による)、侵襲ストレス(手術後に集中管理を必要とする大手術、集中治療を必要とする脳血管障害・頭部外傷・多臓器不全・重症熱傷等)による上部消化管出血の抑制:シメチジンとして1回200mgを日局生理食塩液又は日局ブドウ糖注射液にて20mLに希釈し、1日4回(6時間間隔)緩徐に静脈内注射する。又は輸液に混合して点滴静注する。なお、年齢、症状により適宜増減する。上部消化管出血では1週間以内に効果の発現をみるが、内服可能となった後は経口投与に切り替える。侵襲ストレス(手術後に集中管理を必要とする大手術、集中治療を必要とする脳血管障害・頭部外傷・多臓器不全・重症熱傷等)による上部消化管出血の抑制では、術後集中管理又は集中治療を必要とする期間(手術侵襲ストレスは3日間程度、その他の侵襲ストレスは7日間程度)の投与とする。

  2. 麻酔前投薬:シメチジンとして1回200mgを麻酔導入1時間前に筋肉内注射する。

(用法・用量に関連する使用上の注意)

  1. 腎障害のある患者では、血中濃度が持続するので、投与量を減ずるか投与間隔をあけて使用する。

  2. シメチジンは血液透析により除去されるため、血液透析を受けている患者に投与する場合は、透析後に投与する(なお、腹膜透析においては、シメチジンの除去率はわずか(投与量の約5%以下)である)。

副作用

本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。

  1. 重大な副作用(頻度不明)

    1. ショック、アナフィラキシー様症状:ショック、アナフィラキシー様症状(全身発赤、呼吸困難等)が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
    2. 再生不良性貧血、汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少:再生不良性貧血、汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少が現れることがあるので、初期症状として全身倦怠、脱力、皮下出血・粘膜下出血、発熱等がみられたら、その時点で血液検査を実施し、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行う。
    3. 間質性腎炎、急性腎不全:間質性腎炎、急性腎不全が現れることがあるので、初期症状として発熱、腎機能検査値異常(BUN上昇、クレアチニン上昇等)等が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行う。
    4. 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群):皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)が現れることがあるので、観察を十分に行い、このような症状が現れた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行う。
    5. 肝障害:黄疸、また、AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)等が現れることがあるので、定期的に肝機能検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止する。
    6. 房室ブロック等の心ブロック:房室ブロック等の心ブロックが現れることがあるので、このような場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
    7. 意識障害、痙攣:意識障害、痙攣が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行い、特に腎機能障害を有する患者において現れやすいので、注意する。
  2. その他の副作用:次のような副作用が認められた場合には、必要に応じ、減量、投与中止等の適切な処置を行う。

    1. 腎臓:(頻度不明)BUN上昇、一過性クレアチニン上昇。
    2. 過敏症:(頻度不明)発疹、*末梢神経障害(*:過敏性血管炎に基づく末梢神経障害が報告されている)[これらの症状が現れた場合には投与を中止し、適切な処置を行う]。
    3. 内分泌:(頻度不明)女性化乳房、乳汁分泌、帯下増加、勃起障害[これらの症状が現れた場合には投与を中止し、適切な処置を行う]。
    4. 精神神経系:(頻度不明)可逆性の錯乱状態、痙攣、頭痛、眩暈、四肢のしびれ・四肢こわばり感、眠気、ヒポコンドリー様症状、無気力感、うつ状態、幻覚。
    5. 循環器:(頻度不明)頻脈、徐脈、動悸。
    6. 消化器:(頻度不明)便秘、腹部膨満感、下痢。
    7. その他:(頻度不明)発熱、全身熱感、排尿困難、筋肉痛、膵炎、脱毛。

使用上の注意

(禁忌)

シメチジンに対し過敏症の既往歴のある患者。

(慎重投与)

  1. 腎障害のある患者。

  2. 肝障害のある患者。

  3. 薬物過敏症の既往歴のある患者。

  4. 高齢者。

(重要な基本的注意)

  1. 「侵襲ストレスによる上部消化管出血の抑制」については、手術後に集中管理を必要とする大手術、集中治療を必要とする脳血管障害・頭部外傷・多臓器不全・重症熱傷等によりストレス潰瘍が発症する可能性が考えられる場合に限り使用する(なお、重症熱傷はBurn Index 10以上の熱傷を目安とする)。

  2. 治療にあたっては経過を十分に観察し、病状に応じ治療上必要最小限の使用(手術侵襲ストレスは3日間程度、その他は7日間程度)にとどめ、本剤で効果がみられない場合には他の療法に切り替える。なお、血液像、肝機能、腎機能等に注意する。

  3. 手術侵襲ストレスによる上部消化管出血の抑制に対しては、手術終了後より投与を開始する。

  4. 急速な静脈内注射により、まれに不整脈、血圧低下を起こすことが報告されているので、静脈内注射する場合は、できるだけ時間をかけて緩徐に行う(本剤を5分かけて静脈内投与した後の血圧低下の程度は、2分かけて投与した後と比較し小さかった)。なお、心血管疾患のある患者、全身状態の悪い患者、術後の患者には、点滴静注する。

(相互作用)

併用注意:

  1. 肝薬物代謝酵素P450の活性低下により代謝・排泄が遅延する薬剤(主な薬剤):クマリン系抗凝血剤(ワルファリン)、ベンゾジアゼピン系薬剤(ジアゼパム、トリアゾラム、ミダゾラム等)、抗てんかん剤(フェニトイン、カルバマゼピン等)、抗うつ剤(三環系抗うつ剤(イミプラミン等)、パロキセチン)、β遮断剤(プロプラノロール、メトプロロール、ラベタロール等)、カルシウム拮抗剤(ニフェジピン等)、抗不整脈剤(リドカイン等)、キサンチン系薬剤(テオフィリン、アミノフィリン等)[これらの医薬品の血中濃度を高めることが報告されているので、これらの医薬品を減量するなど慎重に投与する(本剤が肝臓の薬物代謝酵素P450(CYP1A2、CYP2C9、CYP2D6、CYP3A4等)を阻害して、これらの医薬品の代謝、排泄を遅延させる)]。

  2. プロカインアミド[これらの医薬品の血中濃度を高めることが報告されているので、これらの医薬品を減量するなど慎重に投与する(本剤が近位尿細管におけるプロカインアミドの輸送を阻害し、腎クリアランスを減少させる)]。

  3. エリスロマイシン[これらの医薬品の血中濃度を高めることが報告されているので、これらの医薬品を減量するなど慎重に投与する(機序不明)]。

(高齢者への投与)

高齢者では減量するか投与間隔を延長するなど慎重に投与する[本剤は、主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多いため血中濃度が持続する恐れがある]。

(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)

  1. 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない]。

  2. 授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合は授乳を避けさせる[母乳中に移行することが報告されている]。

(小児等への投与)

小児等に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。

(過量投与)

  1. 症状、徴候:外国において、シメチジン20gから40gを投与後に意識喪失等の重篤な中枢神経症状が発現した症例、及び40g以上のシメチジンを単回経口服用した成人での死亡症例の報告がある。日本では1回50錠(10g)、外国では100錠(20g)までの過量投与の報告があるが、特に重大な影響はみられなかった。

  2. 処置:過量投与時、催吐、胃洗浄等を行うとともに適切な療法を行う。

(適用上の注意)

  1. 筋肉内注射時:筋肉内注射にあたっては、次記の点に注意する。

    1. 筋肉内投与はやむを得ない場合にのみ、必要最小限に行う。筋肉内投与時同一部位への反復注射は行わない。特に新生児、低出生体重児、乳児、小児には注意する。
    2. 筋肉内投与時神経走行部位を避ける。
    3. 注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場合は直ちに針を抜き、部位をかえて注射する。
    4. 筋肉内投与時、注射部位に疼痛、硬結をみることがある。
  2. アンプルカット時:本品はワンポイントアンプルなので、マークを上にして下方へ折る。なお、アンプルカット部分をエタノール綿等で清拭しカットすることが望ましい。

(その他の注意)

  1. 動物の毒性試験で弱い抗アンドロゲン作用に基づく前立腺重量減少及び精嚢重量減少が報告されている。

  2. ラットに24カ月投与した毒性試験で良性精巣間細胞腫の発生が増加したとの報告がある。

  3. 本剤の投与が胃がんによる症状を隠蔽することがあるので、悪性でないことを確認のうえ投与する。

(取扱い上の注意)

安定性試験:ガラスアンプルに充填したものを用いた長期保存試験(室温、3年間)の結果、通常の市場流通下において3年間安定であることが確認された。