処方薬
ビレーズトリエアロスフィア56吸入
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ビレーズトリエアロスフィア56吸入の添付文書

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効果・効能

慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)の諸症状の緩解(吸入ステロイド剤、長時間作用性吸入抗コリン剤及び長時間作用性吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)。

(効能又は効果に関連する注意)

    1. 本剤は慢性閉塞性肺疾患の症状の長期管理に用いること。本剤は慢性閉塞性肺疾患の増悪時における急性期治療を目的として使用する薬剤ではない。
    1. 本剤は気管支喘息治療を目的とした薬剤ではないため、気管支喘息治療の目的には使用しないこと。

用法・用量

通常、成人には、1回2吸入(ブデソニドとして320μg、グリコピロニウムとして14.4μg、ホルモテロールフマル酸塩として9.6μg)を1日2回吸入投与する。

(用法及び用量に関連する注意)

本剤は1日2回、できるだけ同じ時間帯に吸入すること。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    1. 重大な副作用
  1. 1.1. 心房細動(0.2%)。

  2. 1.2. 重篤な血清カリウム値低下(頻度不明)〔10.2参照〕。

    1. その他の副作用
    1. 口腔・呼吸器:(1%以上)口腔カンジダ、発声障害、(1%未満)肺炎、咳嗽、咽喉刺激感、(頻度不明)気管支痙攣。
    2. 消化器:(1%未満)悪心、口内乾燥。
    3. 精神神経系:(1%未満)不眠症、うつ病、神経過敏、頭痛、振戦、浮動性めまい、(頻度不明)不安、激越、落ち着きのなさ、異常行動。
    4. 循環器:(1%未満)狭心症、頻脈、(頻度不明)動悸、上室性頻脈、期外収縮。
    5. 筋・骨格系:(1%以上)筋痙縮、(1%未満)胸痛。
    6. 内分泌:(1%未満)高血糖。
    7. 泌尿器:(頻度不明)尿閉、尿路感染。
    8. 一般的全身障害:(頻度不明)過敏症、挫傷。

使用上の注意

(禁忌)

    1. 閉塞隅角緑内障の患者[抗コリン作用により、眼圧が上昇し症状を増悪させるおそれがある]。
    1. 前立腺肥大による排尿障害等排尿障害がある患者[抗コリン作用により、尿閉を誘発するおそれがある]。
    1. 有効な抗菌剤の存在しない感染症、深在性真菌症の患者[ステロイドの作用により症状を増悪するおそれがある]。
    1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

(重要な基本的注意)

    1. 本剤の投与期間中に発現する慢性閉塞性肺疾患の急性増悪に対しては、短時間作用性吸入β2刺激剤等の他の適切な薬剤を使用するよう患者に注意を与えること。また、短時間作用性吸入β2刺激剤等の使用量が増加したり、あるいは効果が十分でなくなってきた場合には、疾患の管理が十分でないことが考えられるので、可及的速やかに医療機関を受診し医師の治療を求めるよう患者に注意を与えること。
    1. 全身性ステロイド剤と比較して可能性は低いが、吸入ステロイド剤を長期間投与する場合には、全身作用(クッシング症候群、クッシング様症状、副腎皮質機能抑制、骨密度低下、白内障、緑内障を含む)が発現することがあるので、定期的に検査を行うことが望ましい。また、異常が認められた場合には、患者の症状を観察しながら適切な処置を行うこと。
    1. 気管支痙攣が認められた場合には、直ちに本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。他の吸入薬と同様、本剤の吸入後に気管支痙攣が誘発されるおそれがある。
    1. 本剤の投与中止により症状が悪化するおそれがあるので、患者自身の判断で本剤の使用を中止することがないよう指導すること。また、投与を中止する場合には、観察を十分に行うこと。
    1. 用法・用量どおり正しく使用しても効果が認められない場合には、本剤が適当ではないと考えられるので、漫然と投与を継続せず中止すること。
    1. 過度に本剤の使用を続けた場合、不整脈、場合により心停止を起こすおそれがあるので、用法・用量を超えて投与しないよう注意すること。また、患者に対し、本剤の過度の使用による危険性について理解させ、用法・用量を超えて使用しないよう注意を与えること〔13.過量投与の項参照〕。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

  1. 1.1. 結核性疾患又は感染症(有効な抗菌剤の存在しない感染症・深在性真菌症を除く)の患者:ステロイドの作用により症状を増悪させるおそれがある。

  2. 1.2. 心血管障害(虚血性心疾患、不整脈、心不全等)及びQT間隔延長のある患者:β1作用により、症状を増悪させるおそれがある。

  3. 1.3. 前立腺肥大症(排尿障害がある場合を除く)の患者:排尿障害が発現するおそれがある。

  4. 1.4. 甲状腺機能亢進症の患者:甲状腺機能亢進症の症状を増悪させるおそれがある。

  5. 1.5. 高血圧の患者:血圧を上昇させるおそれがある。

  6. 1.6. 糖尿病の患者:グリコーゲン分解作用及びステロイドの作用により症状を増悪させるおそれがある。

  7. 1.7. 低カリウム血症の患者:Na+/K+ATPaseを活性化し細胞外カリウムを細胞内へ移動させることにより低カリウム血症を増悪させるおそれがある。

  8. 1.8. 気管支喘息の患者:気管支喘息の患者は気管支喘息の管理が十分行われるよう注意すること。

(腎機能障害患者)

  1. 2.1. 重度腎機能障害のある患者(eGFR30mL/分/1.73㎡未満の患者)又は透析を必要とする末期腎不全の患者:グリコピロニウムは主に腎排泄されるため血中濃度が上昇する可能性がある〔16.6.1参照〕。

(肝機能障害患者)

  1. 3.1. 重度肝機能障害のある患者:ブデソニド及びホルモテロールは主に肝臓で代謝されるため血中濃度が上昇する可能性がある。

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(ヒトに対する単回投与試験で、グリコピロニウムの極めて低い胎盤通過性が報告されており、ラット及びウサギにグリコピロニウム10mg/kg/日を皮下投与したとき、胎仔体重減少がみられ、1mg/kg/日を皮下投与したとき離乳前新生仔体重増加抑制がみられた。また、ラットを用いた器官形成期毒性試験では、ブデソニド/ホルモテロールフマル酸塩水和物として12/0.66μg/kg以上を吸入投与したときに、着床後胚損失率増加、及び催奇形性作用が認められている)。

(授乳婦)

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ブデソニドはヒト乳汁に移行するが、乳児の血液中には検出されないことが報告されており、グリコピロニウム及びホルモテロールのヒト乳汁への移行は不明であるが、動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている)。

(小児等)

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

(相互作用)

ブデソニドは主として肝代謝酵素CYP3A4で代謝される。

  1. 2. 併用注意
    1. CYP3A4阻害剤(イトラコナゾール等)〔16.7参照〕[副腎皮質ステロイド剤を全身投与した場合と同様の症状があらわれる可能性がある(CYP3A4による代謝が阻害されることにより、ブデソニドの血中濃度が上昇する可能性がある)]。
    2. カテコールアミン(アドレナリン、イソプレナリン等)[不整脈、場合によっては心停止を起こすおそれがあるので、副作用の発現に注意し、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと(併用により、アドレナリン作動性神経刺激の増大が起きる。そのため、不整脈を起こすことがある)]。
    3. キサンチン誘導体(テオフィリン、アミノフィリン等)〔11.1.2参照〕[低カリウム血症による不整脈を起こすおそれがあるので、血清カリウム値のモニターを行うことが望ましい(キサンチン誘導体はアドレナリン作動性神経刺激を増大させるため、血清カリウム値の低下を増強することがある)]。
    4. 全身性ステロイド剤(全身性プレドニゾロン、全身性ベタメタゾン等)〔11.1.2参照〕、利尿剤(フロセミド等)〔11.1.2参照〕[低カリウム血症による不整脈を起こすおそれがあるので、血清カリウム値のモニターを行うことが望ましい(全身性ステロイド剤及び利尿剤は尿細管でのカリウム排泄促進作用があるため、血清カリウム値の低下が増強することが考えられる)]。
    5. β遮断剤(アテノロール等)[ホルモテロールの作用を減弱する可能性がある(β受容体において競合的に拮抗する)]。
    6. QT間隔延長を起こすことが知られている薬剤(抗不整脈剤、キニジン、プロカインアミド、ジソピラミド等、三環系抗うつ剤等、イミプラミン等)[QT間隔が延長され心室性不整脈等のリスクが増大するおそれがある(いずれもQT間隔を延長させる可能性がある)]。

(過量投与)

本剤の過量投与により、抗コリン剤の薬理学的作用による症状(霧視、口内乾燥、悪心等)並びにβ2刺激剤の薬理学的作用による症状(筋痙縮、振戦、頭痛、動悸、収縮期高血圧等)があらわれるおそれがある。また、ブデソニドの慢性的な過量投与により、グルココルチコイドによる全身性作用があらわれるおそれがある〔8.6参照〕。

(適用上の注意)

    1. 薬剤交付時の注意
  1. 1.1. 吸入前 1. 患者に本剤を交付する際には、使用説明書を渡し、使用方法を指導するとともに、使用説明書をよく読むよう指導すること。 1. 本剤は防湿のためアルミ包装されているので、使用開始直前にアルミ袋を開封するよう指導すること。 1. エアゾール剤の噴霧と吸入の同調が難しいと考えられる患者にはスペーサー(吸入用補助器)を使用させることが望ましい。

  2. 1.2. 吸入時 1. 本剤は口腔内への吸入投与のみに使用すること。 1. よく振ってから使用すること。

  3. 1.3. 吸入後:口腔カンジダ症又は発声障害の予防のため、本剤吸入後に、うがいを実施するよう患者を指導する(ただし、うがいが困難な患者には、うがいではなく口腔内をすすぐよう指導する)。

  4. 1.4. 保管時 1. アルミ袋開封後は湿気を避けて保存すること。 1. アクチュエーターを週1回洗浄すること。

(取扱い上の注意)

    1. 缶は空になっても壊したり、穴を開けたり火中に投じないこと。炎や火気の近くで使用したり保管しないこと。
    1. 地方自治体により定められた廃棄処理法に従うこと。

(保管上の注意)

室温保存。