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サンリズム注射液50
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サンリズム注射液50の添付文書

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効果・効能

緊急治療を要する頻脈性不整脈(上室性)及び頻脈性不整脈(心室性)。

用法・用量

〈期外収縮〉

通常、成人には1回0.075mL/kg(ピルシカイニド塩酸塩水和物として0.75mg/kg)を必要に応じて日本薬局方生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液などで希釈し、血圧ならびに心電図監視下に10分間で徐々に静注する。なお、年齢、症状に応じて適宜減量する。

〈頻拍〉

通常、成人には1回0.1mL/kg(ピルシカイニド塩酸塩水和物として1.0mg/kg)を必要に応じて日本薬局方生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液などで希釈し、血圧ならびに心電図監視下に10分間で徐々に静注する。なお、年齢、症状に応じて適宜減量する。

(用法及び用量に関連する注意)

    1. 本剤を急速に静注した場合には、血中濃度が急激に上昇するので、本剤の投与に際しては投与時間を厳守すること。
    1. 本剤の投与により効果を認めたもののその後再発した場合には、初回用量がピルシカイニド塩酸塩水和物としての最大用量0.75mg/kg(期外収縮)あるいは1.0mg/kg(頻拍)の半量以下の場合を除き、再投与は行わないこと(なお、再投与する際は1日総投与量としてピルシカイニド塩酸塩水和物の1回最大用量を超えないこと)。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    1. 重大な副作用
  1. 1.1. 心室細動(頻度不明)、心室頻拍(Torsades de pointesを含む)(頻度不明)、洞停止(頻度不明)、完全房室ブロック(頻度不明)、失神(頻度不明)、心不全(頻度不明):ショック、心停止に至る場合もあるので、心電図の連続監視等を行うこと。

  2. 1.2. 急性腎障害(頻度不明):ショック等による急性腎障害があらわれることがある。

    1. その他の副作用
    1. 循環器:(0.1~5%未満)QRS幅増大、徐脈、心室性期外収縮、胸部不快感、胸痛、血圧低下、(頻度不明)上室性期外収縮、QT延長、上室性頻拍、房室ブロック、心房粗動。
    2. 消化器:(0.1~5%未満)口渇、悪心、(頻度不明)嘔吐。
    3. 精神神経系:(0.1~5%未満)ふわふわ感。
    4. 血液:(0.1~5%未満)白血球数減少、白血球数増加、好酸球増加、リンパ球減少、リンパ球増加。
    5. 肝臓:(0.1~5%未満)AST上昇、ALT上昇、LDH上昇。
    6. 過敏症:(0.1~5%未満)発疹。
    7. 腎臓:(0.1~5%未満)BUN上昇、尿蛋白陽性、(頻度不明)クレアチニン上昇。
    8. その他:(0.1~5%未満)全身倦怠感、CK上昇。

使用上の注意

(禁忌)

    1. うっ血性心不全のある患者[不整脈(心室頻拍、心室細動等)の誘発又は増悪、陰性変力作用による心不全の悪化を来すおそれが高い]。
    1. 高度房室ブロック、高度洞房ブロックのある患者[刺激伝導抑制作用により、これらの障害を更に悪化させるおそれがある]〔9.1.3参照〕。

(重要な基本的注意)

    1. 本剤の投与に際しては、必ず心電図、脈拍、血圧等の連続監視を行うこと。PQ延長、QRS幅増大、QT延長、徐脈、血圧低下等の異常所見が認められた場合には、直ちに投与を中止すること。
    1. 発作性頻拍では投与中に不整脈が消失した場合は、患者の状態を観察しながら投与を終了すること。
    1. 本剤が有効であり、かつ経口投与が可能となった後は速やかに経口投与に切り替えること。
    1. 本剤の効果の発現が認められない場合は、他の治療方法に切り替えること。
    1. 本剤投与後に他の抗不整脈薬の追加投与が必要な場合には、作用が増強する可能性があるので十分注意して投与すること(本剤投与後、心電図に変化が認められる間は特に注意して投与すること)〔10.2参照〕。
    1. 本剤でBrugada症候群に特徴的な心電図変化顕在化(右脚ブロック顕在化及び右側胸部誘導(V1~V3)のST上昇顕在化)、又はそれに伴う心室細動、心室頻拍、心室性期外収縮を発現させたとの報告があるので注意すること。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

  1. 1.1. 基礎心疾患(心筋梗塞、弁膜症、心筋症等)のある患者:基礎心疾患があり心不全(心筋梗塞があり心不全、弁膜症があり心不全、心筋症があり心不全等)を来すおそれのある患者では、心室頻拍、心室細動等が発現するおそれが高い。

  2. 1.2. 心不全の既往のある患者:心不全を来すおそれがある。

  3. 1.3. 刺激伝導障害(高度房室ブロック・高度洞房ブロックを除く)(房室ブロック(高度房室ブロックを除く)、洞房ブロック(高度洞房ブロックを除く)、脚ブロック等)のある患者:刺激伝導抑制作用により、これらの障害を更に悪化させるおそれがある〔2.2参照〕。

  4. 1.4. 著明な洞性徐脈のある患者:高度の徐脈、洞停止を来すおそれがある。

  5. 1.5. 血清カリウム低下のある患者:催不整脈作用が発現するおそれがある。

  6. 1.6. 遺伝性果糖不耐症の患者:本剤の添加剤D-ソルビトールが体内で代謝されて生成した果糖が正常に代謝されないため、低血糖、肝不全、腎不全等が誘発されるおそれがある。

  7. 1.7. 他の抗不整脈薬併用中の患者:慎重に観察しながら投与すること〔10.2参照〕。

  8. 1.8. 恒久的ペースメーカー使用中あるいは一時的ペーシング中の患者:異常が認められた場合には直ちに投与を中止すること(本剤は心臓ペーシング閾値を上昇させる可能性がある)。

(腎機能障害患者)

腎機能障害患者:本剤は腎臓からの排泄により体内から消失する薬剤であり、血中濃度が高くなりやすく、また高い血中濃度が持続するおそれがある〔16.6.1参照〕。

(肝機能障害患者)

  1. 3.1. 重篤な肝機能障害のある患者:AST上昇、ALT上昇、LDH上昇等が報告されている。

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(動物実験(ラット)で胎仔に移行することが報告されている)。

(授乳婦)

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている)。

(小児等)

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

(高齢者)

肝・腎機能が低下していることが多く、また体重が少ない傾向があるなど副作用が発現しやすい。

(相互作用)

  1. 2. 併用注意
    1. リファンピシン[本剤の作用を減弱させることがある(リファンピシンによりチトクロームP450の産生が誘導され、本剤の代謝速度が促進し、血中濃度が低下する可能性が考えられている)]。
    2. カルシウム拮抗薬(ベラパミル)、β-受容体遮断薬(プロプラノロール)、ジギタリス製剤(ジゴキシン)、硝酸・亜硝酸エステル系薬剤(ニトログリセリン)〔8.5、9.1.7参照〕[動物実験(イヌ)において、本剤の作用が増強される可能性が報告されている(機序は明らかではないが、作用増強の可能性が考えられている)]。
    3. セチリジン[両剤の血中濃度が上昇し本剤の副作用が発現するおそれがある(腎でのトランスポーターを介した排泄が競合するためと考えられている)]。

(過量投与)

    1. 症状

    過量投与又は高度腎機能障害により、本剤の血中濃度が上昇した場合、刺激伝導障害(著明なQRS幅増大等)、心停止、心不全、心室細動、心室頻拍(Torsades de pointesを含む)、洞停止、徐脈、ショック、失神、血圧低下等の循環器障害、構語障害等の精神・神経障害を引き起こすことがある。

    1. 処置

    過量投与時、直ちに本剤の投与を中止し、体外ペーシングや直流除細動を考慮する等適切な対症療法を行うこと(なお、本剤の血液透析による除去率は最大約30%と報告されている)。

(保管上の注意)

室温保存。