オキサゾリジノン系抗菌薬
細菌の細胞壁合成に必要なタンパク合成の過程において、その開始段階(初期段階)を阻害することで抗菌作用をあらわす薬

オキサゾリジノン系抗菌薬の解説

オキサゾリジノン系抗菌薬の効果と作用機序

  • 細菌のタンパク合成を阻害し、抗菌作用をあらわす薬
    • 細胞壁という防御壁をもつ細菌は、この壁がないと生きていけない
    • 細菌が細胞壁をつくるためにはタンパク合成が必要となる
    • 本剤は細菌のタンパク合成過程の開始段階を阻害し、抗菌作用をあらわす
  • MRSAなどの耐性菌に対しても抗菌活性を示す

オキサゾリジノン系抗菌薬の薬理作用

細胞壁という防御壁をもつ細菌は、これがないと生きていけなく、細胞壁をつくるためにはタンパク合成が必要となる。細菌のタンパク合成の過程を大きく分けると、翻訳の開始反応、ペプチド鎖の伸長反応、翻訳の終了反応の3つの過程に分かれる。タンパク合成においてはリボソームと呼ばれる細胞小器官が重要な役割を果たす。細菌のリボソームは50sサブユニットと30sサブユニットと呼ばれる大小2つのタンパク質による複合体から構成され、これがタンパク合成の開始複合体となる。

本剤は細菌のタンパク合成過程の開始段階における50sサブユニットに結合し、開始複合体の形成を阻害することで抗菌作用をあらわす。本剤はグラム陽性球菌に対して選択的に抗菌活性を示し、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)、VRE(バンコマイシン耐性腸球菌)などの耐性菌に対しても有用な薬剤となる。

なお、本剤は一般的に組織移行性が非常に良好で、難治性のMRSA感染症などに対しても治療効果が期待できるとされている。また本剤(リネゾリドやテジゾリド)は、内服薬を服用した際の薬物の血液中への移行度合いが非常に高い(生物学的利用率が非常に高い)という特徴があり、静脈内投与(注射投与)から経口投与へ、通常、同じ用量での切り替えが可能となっている。

オキサゾリジノン系抗菌薬の主な副作用や注意点

  • 消化器症状
    • 下痢、吐き気、食欲不振などがあらわれる場合がある
  • 肝機能障害
    • ALTやASTの上昇などを伴う肝機能異常があらわれる場合がある
  • 骨髄抑制
    • 貧血白血球減少、血小板減少などがあらわれる可能性がある

オキサゾリジノン系抗菌薬の一般的な商品とその特徴

ザイボックス

  • リネゾリド製剤
  • 通常、1日2回に分けて投与する(ただし12歳未満の小児には通常、8時間ごとに投与する)

シベクトロ

  • テジゾリド製剤
  • 1日1回の投与が可能なオキサゾリジノン系抗菌薬