肘関節脱臼の基礎知識
POINT 肘関節脱臼とは
転倒やスポーツなどによって肘に強い力が加わり、肘が外れることです。脱臼が起こると腫れや痛み、筋力の低下、動かしにくくなるなどの症状が現れます。骨折の有無で治療法が異なり、骨折をともなわない人にはギプスや三角巾で固定をし、骨折を伴う人には手術で固定をします。肘の脱臼は整復が難しいことがあるので、その場で安易な整復行為は行わず、可能な限り安静にして整形外科を受診してください。
肘関節脱臼について
- 転倒やスポーツなどで肘に強い外力が加わり、肘がはずれる(脱臼する)こと
- 以下のことが原因で起こる
- 転倒
- スポーツ(格闘技やラグビーなど)
- 外傷
- 成人に多い
- 肘関節脱臼は前方脱臼と後方脱臼に分けられる
- 前方脱臼の場合、骨折を伴うことが多い
肘関節脱臼の症状
- 肘の腫れ
- 肘の痛み
- 肘周囲の筋力低下
- 肘の可動範囲が狭くなる
肘関節脱臼の検査・診断
レントゲン (X線 )検査:骨折の有無や骨のずれの程度を調べるCT 検査:レントゲンではわからない、骨折の有無や骨のずれの程度を調べるMRI 検査:骨折や骨のずれによる周囲組織の損傷の有無や程度を調べる
肘関節脱臼の治療法
保存療法 :肘をはめた後にギプスや三角巾 で固定する- 固定期間は3週間
- 骨折を伴う場合
- 手術を行うことが多い
- スクリューなどで骨を接合したり、
靭帯 の修復を目的に手術を行う
- 以下のことに注意点することで悪化を予防できる
- 脱臼した際にはその場で整復しない
- 脱臼した際はアイシングをして病院で整復してもらう
- 脱臼を反復して起こす人は手術となることもある
肘関節脱臼の経過と病院探しのポイント
肘関節脱臼が心配な方
肘関節脱臼は、転倒やスポーツなどにより肘がはずれる(脱臼する)状態です。格闘技やラグビーなどのコンタクトスポーツに多くみられ、場合により骨折を伴うこともあります。外傷の後に、肘の痛み、腫れ、力の入りづらさ、可動域が狭くなるなどの症状が出たら肘関節脱臼を疑います。
肘関節脱臼の診断にはレントゲン検査を行い、骨のズレがないか、骨折がないか調べます。骨折がわかりずらい場合はCTやMRI検査を行うこともありますが、基本的にはレントゲン検査のみで診断可能です。
肘関節脱臼ではないかと心配になった時、最初に受診するのは整形外科のクリニックが適しています。また、夜間の受診や救急車を利用した受診の場合は救急科での診察になります。救急科では整形外科の専門的な知識をもった医師ではなく、広く浅く診察をする救急科の医師が対応することになります。その場合でも必要に応じて整形外科の外来や専門医を紹介することは可能です。しかし、比較的待ち時間が少なくてすむことや、何度も同じ診察や検査をされることを避けるためにも、まずはお近くの整形外科のクリニック受診がすすめられます。整形外科のクリニックであれば診断のためのレントゲン検査も実施可能なところは多くあります。
肘関節脱臼でお困りの方
肘関節脱臼の治療は、整復といってずれた骨を元に位置に戻す処置を行うことです。この処置には痛みが伴うため、もちろん痛み止めを使用した上で行います。整復後、三角巾やギプスで固定し3週間ほど安静にします。これらの処置はクリニックで十分対応可能です。骨折もある場合には手術が行われることもありますが、その場合は手術可能な病院を紹介してもらえるでしょう。
肘関節脱臼は、診断がつき次第その場で治療が開始されますので、どこでどのような治療を受けるかを迷う余地は少ないかもしれません。何度も脱臼を繰り返す場合は、手術も検討されるため、手術を受ける時期も含めて主治医と相談することが大切です。