Beta 鉄欠乏性貧血についての医師コメント
1日2錠以上の鉄剤を内服する場合の豆知識。
鉄剤内服後は24時間に渡って鉄の吸収を抑えるホルモンであるヘプシジンが上昇するため、「朝食後1錠+夕食後1錠」のような内服方法では鉄の吸収率が落ちてしまいます。「朝食後2錠」や「夕食後2錠」など24時間ごとの内服の方が効率的です(Blood 2015; 126: 1981-1989.)。
2016.03.04
鉄分を多く含む食材に関する質問が多いですが、食材もさることながら鉄製の調理器具(鉄鍋、鉄急須など)で調理した方が効果的です。
2016.03.04
完全母乳栄養の赤ちゃんが、離乳食がうまく進んでいない場合、鉄が足りなくなる事があります。母乳は粉ミルクに比べて、鉄分が少ないため食事から鉄分をとれないとこのような病気になってしまうのです。貧血かどうかは血液検査でヘモグロビンという値をみればわかります。
貧血が進んでいる場合は鉄剤の内服を始めます。また、ほうれん草、レバーなど鉄分の多い食材をとってもらうように指導します。
2015.11.25
一般の方が俗語的に使用している「貧血」は、立ちくらみのような症状をさしていることが多いのですが、医学用語では定義が異なるので注意が必要です。医療者が用いる「貧血」という用語は「ヘモグロビン(体内の酸素運搬に重要な物質)の濃度が低い状態」をさします。ヘモグロビンは血液の赤みの素でもあるため、血が薄い状態といってもいいかもしれません。貧血では体内に運べる酸素が減るので、症状として立ちくらみや息切れが起こりやすくもなります。
2015.04.09
鉄欠乏性貧血は、その治療だけでなく基礎疾患の検索が最も大事です。最近はピロリ菌による胃炎、胃潰瘍による胃腸からの鉄分喪失による鉄欠乏性貧血と診断される若年者も多く、年齢を問わず上部消化管内視鏡検査を受けることをお勧めします。
2015.04.05
受診する前に、特に鉄剤を内服する前に普段のお通じの様子や最近の体重減少、生理の様子などを把握しておくと診断、治療がスムーズです。
2015.04.05
20代女性、小学生からの貧血、鉄剤は出されていたが吐き気がするので飲まないことが多かった。布団から起き上がれなくなり、家族に連れられて来院、Hb 4g/dl台。鉄剤を注射してHbはほぼ正常となった。原因ははっきりしなかったが過多月経が考えられた。やはり鉄剤はしっかり飲みましょう。
2015.03.20
鉄剤は気軽に処方される薬ですが、吐き気が出ることが多く意外と飲みづらいです。鉄剤には3種類ほどあるので飲みやすい薬に変えてもらうか吐き気止めを出してもらうなどしましょう。ずっと飲む必要はないですから、必要な期間はしっかり飲んで下さい。
2015.03.20
鉄剤は気持ち悪くて飲みづらいという患者さんが時々います。「寝る前に飲むのがよい」と書いてある教科書もありますが、実際は色々な時間に試して自分にとって一番飲みやすいタイミングで飲むのがよいと思います(世の中には決まった時間に飲む必要がある薬も多いですが、鉄剤は飲む時間が適当でも大丈夫な薬の一つです)。
2錠出されたけど気持ち悪くて難しいという方は、1錠でもよいか医師に相談してみましょう。胃薬を一緒に出してもらうのもよい思います(多少吸収が悪くなる恐れはありますが、飲まないよりははるかによいです)。
鉄欠乏性貧血は身体の鉄分の貯蓄が減っている状態です。鉄剤を飲み始めるとほどなくヘモグロビンの値が回復して自覚症状も改善しますが、その時点ではまだ身体の中に十分な鉄分の貯蓄がないことが多いので、すぐに薬をやめてしまうと貧血がぶり返す可能性が高いです。症状が改善してもしばらく薬を飲む必要があると思ってください。
2015.03.05