Beta 胃食道逆流症(逆流性食道炎)についての医師コメント
もともと日本人には少ない病気でしたが、食生活が変化し、過食気味で脂肪やタンパク質の多い食事を摂るようになったことなど様々な要因で日本人でも非常によく見られる病気となりました。また、ピロリ菌もこの病気に関係していて、実はピロリ菌に感染すると胃酸が分泌されにくくなるのでこの病気になりにくいと言われています。最近はピロリ菌の除菌をよくやるので、それもあって増えてきているのかもしれません。
症状としては胸焼けが有名ですが、咳や声のかすれといった症状を出すこともあります。また逆流性食道炎を放置しているとバレット食道といって食道がんにつながりかねない状態を作り出してしまうことがあります。
まずは胃薬を使ってみましょう。多くの方がそれでよく治ります。市販の胃薬とは違う胃薬を使いますので、受診を薦めます。
2015.05.17
40代女性、難病のため定期的に外来を受診している。とある日の外来で、ここ1ヶ月ほど胸が焼けるように痛むとの訴えがあった。念のため心電図を施行したが特に異常はなかった。痛みの性質からは心臓というよりもむしろ逆流性食道炎を疑うような症状であることを説明したがあまり納得出来ない様子であった。なんとか話し合って胃薬(プロトンポンプインヒビター)を飲んで2週間様子を見ましょうということになった。
2週間後に外来にいらした時には「あの薬のおかげで症状がすっかり良くなった。先生に相談してよかった」と喜んでいただけた。食後はすぐに横にならないようにする、枕はあまり高くないものを選ぶ、などの生活上気をつけるべきことを説明した。
2015.05.17
ご高齢でとても腰~背中が曲がったお婆さんで、慢性的に頻繁に食後に吐いてしまう方がおられました。食後に吐くこと以外は発熱や下痢など特段の自覚症状がなく、亀背(腰や背中が極端に曲がって前かがみになってしまっていること)によりお腹の中の圧力が上昇することによって胃食道逆流が起こり、食後に吐いてしまう状況と判断しました。曲がってしまった腰、背中を伸ばすストレッチや少量ずつゆっくり食べる、などの工夫により吐いてしまう回数はかなり減りました。背中が曲がってしまうことで、「吐く」という消化器症状が起きる典型的な例でした。
2015.04.19