きょうかくでぐちしょうこうぐん
胸郭出口症候群
首と胸の間にある「胸郭出口」と呼ばれる部位で、筋肉や骨により神経や血管が圧迫され、腕の痺れや痛みなどが起こる病気
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最終更新: 2023.09.11
胸郭出口症候群の基礎知識
POINT 胸郭出口症候群とは
鎖骨の下には、腕から手に栄養を送る血管や司令を伝達する神経が存在します。それぞれ鎖骨下動脈(さこつかどうみゃく)、腕神経叢(わんしんけいそう)と呼ばれています。なで肩の女性や、重いものを頻繁に持ち運ぶような人では、骨格・筋肉の関係で鎖骨下動脈や腕神経叢が圧迫を受けやすくなります。そうすると、胸郭出口症候群が起こりやすいと考えられています。症状としては、腕を挙げる動作をした際の腕・肩の痺れや痛み、肩甲骨の周りの痛み、肘から先の小指側がピリピリと痺れ、手のひらの小指側の筋肉が痩せた影響による力の入りにくさ、などがあります。診察とレントゲン(X線)検査で診断されます。必要に応じてCT検査やMRI検査が行われることもあります。治療としては、姿勢の改善や、痛み止め、装具の使用などがあります。手術が有効と考えられる人もいます。胸郭出口症候群が心配な人や治療したい人は整形外科を受診してください。
胸郭出口症候群について
- 首と胸の間にある「胸郭出口」と呼ばれるところで、筋肉や骨により神経や血管が圧迫され、腕のしびれが起こる病気のこと
- 筋肉や骨の形状による
- なで肩、猫背の女性に多い
- 重いものを頻繁に持ち上げる労働者でも起こりやすい
- 頚肋という、肋骨の名残のような構造が神経を圧迫することも多い
- 血管の圧迫が生じている場合、血行が悪くなり、腕が白っぽくなったり、青紫色になったりする
胸郭出口症候群の症状
- 主な
症状 - 腕のしびれ:腕と手の小指側にかけて起こることが多い
- 腕の筋力低下
- 首、肩、腕の痛み
- つり革につかまるときや、洗濯物を干す時のように腕を上げる動作で症状が出現しやすい
胸郭出口症候群の検査・診断
- 診察
症状 の聞き取り- 症状の誘発テスト:腕のしびれや痛みのある側に顔を向けて、そのまま首を反らせたときに、症状が強まるかを調べる
- 他にも様々な種類のテストが考案されている
- 画像検査:骨の変形や骨折がないかなどを調べる
レントゲン (X線 )検査CT 検査MRI 検査
- 血管
造影 検査:肩などの血管に血流障害がないかなどを調べる
胸郭出口症候群の治療法
- 主な治療法
保存療法 :肩を少しすくめた状態で安静にする対症療法 として薬を使うことがあるNSAIDs (痛みを抑える薬)- ノイロトロピン(神経痛に効く鎮痛薬)
ビタミン B12(神経の回復を促す)
- 手術:圧迫している構造の除去
- 第1肋骨切除術(鎖骨の後ろにある肋骨の切除を行う)
- 頚肋切除術
- 筋肉切除術 など
- リハビリテーション
- 肩の筋肉の強化を行う
- 再発予防のための動作指導を行う
- 再発予防
- 重い物を持ち続けることを避ける
- 長時間のデスクワークを避ける
胸郭出口症候群のタグ
胸郭出口症候群に関わるからだの部位
