あたまがいたい
頭が痛い(数日以内)

頭痛を起こす病気と症状の例について

頭痛には病気が隠れていることがあります。頭痛を起こす代表的な病気の例と、それぞれで現れやすい症状などの特徴を説明します。

1. 頭痛を起こす脳の病気

脳の病気によって頭痛が出る場合があります。脳の病気は命に関わることもあります。代表的な頭痛の原因になる病気を説明します。

くも膜下出血

くも膜下出血脳卒中(脳の血管が破裂したり詰まったりすること)の一種です。多くは脳の動脈瘤(血管に出来たこぶ)が破裂することで発症します。

発症した人の約3分の1が死亡し、命をとりとめた人もかなりの割合で何らかの後遺症を抱えて生活することになる重篤な病気です。

くも膜下出血による頭痛の特徴は、突然ある瞬間に激しい頭痛が起こることです。実際に体験した人は「突然バットで殴られたような頭痛」「今までの人生にない頭痛」と表現したりもします。そして一回頭痛が起きると、次第に治まるのではなくそのまま続くことも特徴的です。

吐き気や嘔吐を伴うことがよくあります。また頭痛と同時に意識がもうろうとして、言っていることがおかしくなったり、しゃべれなくなったり、ひどくなると倒れてしまって、反応がなくなったりします。

くも膜下出血も症状が重いものから軽いものまであります。「3日前ある瞬間に頭痛が起きて、そこから普通に生活していたけれども全然良くならないから病院に来た」という人が「実はくも膜下出血だった」ということもあるので、長引く場合にはすみやかな受診が望ましいです。

詳しくは「くも膜下出血の詳細情報」を参考にしてください。

脳出血

脳出血脳卒中の一種です。高血圧や加齢が原因でもろくなった脳の中の細い血管が破れて出血することで発症します。死亡につながることも多い病気です。

脳出血では、ある瞬間に突然頭痛が起きます。痛む場所は人によっていろいろで、頭の一部が痛むことも、頭全体が痛むこともあります。一回頭痛が起きるとそのまましばらく続くことが特徴的です。

他の症状は、出血が起きる場所によって全然違うのですが、吐き気や嘔吐を伴うことがよくあります。手足に力が入りにくい、ろれつが回らない、言葉が出てこない、意識がもうろうとしていて会話ができない、目が開かないなどいろいろな症状が現れます。出血の場所や激しさによって、現れる症状や重さがまったく異なります。

脳動脈解離

脳動脈解離は頭の中の血管の壁が避けてしまった状態です。そのまま血管が破れて出血したり、血管の中が狭くなって塞がることで脳梗塞を起こしたりする危険性があります。

脳動脈解離による頭痛では、血管が裂けた瞬間に痛みが生じて、そのまま続くことが特徴的です。日本人では頭の後ろ側の血管が裂けて、その場所が痛むことが多いと考えられています。

診断のためには頭部のCT検査やMRI検査、カテーテル検査が行われます。悪化するおそれが小さければそのまま様子を見ますが、必要に応じて手術やカテーテルの治療を受けることもあります。

髄膜炎/脳炎/脳膿瘍

細菌ウイルスが頭の中に感染を起こしたときにも頭痛が起きます。悪化すると命に関わるので注意が必要です。

髄膜炎(ずいまくえん)は脳を包んでいる膜が、脳炎は脳自体が、炎症を起こした状態です。細菌やウイルスの感染が原因で起こります。脳膿瘍(のうのうよう)は細菌が脳やその周りに感染した結果、脳の中にのかたまりができてしまった状態です。

頭の中の感染によって起こる頭痛では、ある程度の時間をかけて少しずつ痛くなってきます。くも膜下出血脳出血のように、ある瞬間に突然痛くなることは多くありません。頭のどこか特定の部位が痛いというよりは、頭全体が痛くなることが多いです。

頭痛のほかに特徴的な症状が発熱です。さらに、意識がもうろうとする、変なことを言う、性格が変化するといった症状があれば要注意です。首を前に曲げることができなくなるという特徴もあります。

これらの病気の危険性は、原因になった細菌やウイルスの種類などによって大きく違います。すぐに治療しなければ命を落とす場合も、特に治療しなくても自然に治る場合もあります。どの程度危険な状態かを見極めるためにも素早く受診することが大切です。

診断のため使われる検査には、血液検査や、脳の周りを満たしている「髄液」を取り出す検査(腰椎穿刺、ルンバールタップ)、頭のCTやMRIがあります。原因に合わせて、抗菌薬抗生物質、抗生剤)を使う治療や、手術が行われます。

詳しくは「こちらのページ」を参考にしてください。

脳腫瘍

脳の中に出来たできもの(腫瘍)が原因で痛みが出ます。痛みがない場合も多いのですが、頭痛をきっかに脳腫瘍が発見されることはありえます。

脳腫瘍といっても、治療の必要がないものから命に関わるものまでたくさんの種類があり、腫瘍の種類やできる場所によっても症状が違います。

脳腫瘍が原因の頭痛は、ある時に突然頭が痛くなるということは珍しいです。腫瘍が1個の異常な細胞から目に見える大きさになるまでには、普通数週間から数ヶ月以上かかるので、腫瘍が大きくなるにつれて、少しずつ頭の中の圧が高くなって痛くなります。腫瘍がある場所が痛くなる人もいれば、なんとなく頭全体が痛くなる人もいます。ギュッと締め付けられる、ガンガン痛い、頭が重いなど、人によって痛みの性質に違いがあります。また、症状がほとんどない人も珍しくはありません。

脳腫瘍の治療には手術や放射線療法抗がん剤による化学療法などがあります。

慢性硬膜下血腫

頭を打ったことが原因で、じわじわと頭の中に血がたまって、やがて頭痛などの症状が出ます。

頭痛に限らず慢性硬膜下血腫(まんせいこうまくかけっしゅ)の症状は、頭を打って数週間から数ヶ月かけて少しずつ現れることが多いです。頭を打っていなくても何かのきっかけで出血が始まり、慢性硬膜下血腫となることがあります。

慢性硬膜下血腫による痛みは、ギュッと締め付けられる、ガンガン痛い、頭が重いなど、人によってかなり違います。頭痛のほかの症状は、頭が重い、手足が動きにくい、めまい、歩くときにふらふらする、しゃべりにくい、ぼーっとするようになってきた、物忘れが増えたなどです。

頭部のCT検査やMRI検査、症状の程度から、手術が必要と判断されれば、手術を受けることになります。

詳しくは「こちらのページ」を参考にしてください。

2. 頭痛を起こす神経の異常

頭の表面に近い部分に存在する神経の異常によって頭痛がすることがあります。代表的な三叉神経痛後頭神経痛の特徴を説明します。

三叉神経痛

三叉神経痛(さんさしんけいつう)は、顔の感覚をになう三叉神経が様々な原因で刺激されて生まれる痛みです。原因としては脳の血管が三叉神経を圧迫してしまっていることが多いです。

顔の片側のいつも同じ位置に、数秒から数十秒間続く、ピリピリ、チクチクとしたような強い痛みが特徴的です。洗顔や歯磨き、化粧、髭剃り、食事、会話など、ある動作をきっかけに痛みが生じることが多いです。

似た症状のある帯状疱疹(たいじょうほうしん)ではないかという点が、診察では重要になります。血管が三叉神経を圧迫しているかを調べる検査もあります。治療は痛み止めの薬のほか、ブロック注射や手術などもあります。

後頭神経痛

後頭神経痛(こうとうしんけいつう)は、様々な原因で頭の後ろ側を走る神経(大後頭神経、小後頭神経、大耳介神経)が刺激されて起こる痛みです。

後頭部の頭皮、表面が数秒から数十秒間、ピリピリ、チクチクとする痛みが特徴的です。痛む部分に痛み以外の違和感があることも多いです。吐き気や嘔吐など、他の症状は通常ありません。

後頭神経痛は数日から1週間程度で治ることが多いです。長く続く場合は鎮痛薬が使われます。帯状疱疹などほかの病気がないか見分けることが、診断では大事になります。

3. 顎関節症

顎関節症は、顎の関節がずれてしまうことで、口が開きにくくなったり、痛みが出たりする状態です。症状は顎に限らず、頭痛や首・肩のコリ、めまいも引き起こすことがあります。

顎を動かす筋肉である側頭筋がこってしまうことが原因で、頭の両側がギューっと締め付けられるような痛みがあります。

問診と顎の診察、顎のMRI検査などで診断されます。治療には薬や、マウスピース、手術などがあります。

詳しくは「こちらのページ」を参考にしてください。

4. 緑内障

緑内障は、眼球の中の圧力が上がることで、目の神経が傷つき、目が見えづらくなる病気です。何らかの原因で急に圧力が上がる急性緑内障発作という状態に陥ると、急に目が見えにくくなる、充血、頭痛、吐き気といった症状が現れます。急性緑内障発作は放置していると失明にもつながる危険な状態です。

急性緑内障発作による頭痛は、目の奥やこめかみの強い痛みとして感じることがあります。ほかにも吐き気、目が充血する、目が見えづらくなる(視野が欠ける)といった症状が特徴的です。

急性緑内障発作が疑われる場合、眼の診察・検査が必要になります。治療は眼の圧力を下げる点眼薬のほか、飲み薬やレーザー治療、手術があります。

詳しくは「こちらのページ」を参考にしてください。