◆6歳から15歳の子どもが対象
研究班は、6歳から15歳の子ども367人を対象として、せっけんで手を洗うよう教えてせっけんを与える/手を洗うことを勧めも止めもしない、研究者が毎週爪を切る/爪切りを勧めも止めもしない、という2種類×2種類の4グループに分け、6か月間でアメーバ赤痢、ランブル鞭毛虫症、鉤虫症、蟯虫症など腸の寄生虫感染の頻度に違いがあるかを調べました。
◆手洗い、爪切りともに感染減
次の結果が得られました。
せっけんで手を洗う介入群の子どもの14%(95%信頼区間9%から19%)に再感染があり、せっけんで手を洗わない群では29%(95%信頼区間22%から36%)だった(調整オッズ比0.32、95%信頼区間0.17から0.62)。同様に、爪切り介入群では17%(95%信頼区間12%から22%)に再感染があり、爪切りをしない群では26%(95%信頼区間20%から32%)だった(調整オッズ比0.51、95%信頼区間0.27から0.95)。
せっけんで手を洗うグループでは、寄生虫に感染した子どもは14%であり、手洗いに介入しないグループでは29%でした。爪切りをするグループでは感染した子どもは17%であり、爪切りに介入しないグループでは26%でした。どちらの介入によっても、統計的に有意に感染が少なくなっていました。
研究班は「次に必要なステップは、実践的な研究を実行し、より大きな規模でせっけんによる手洗いと爪切りを実現し促進するための、より有効なアプローチを開発することである」と述べています。
感染症対策のために国際的な努力が続けられています。この研究では、きれいに手を洗わせるために、「子どもは手を洗うのに必要なだけの時間をかけるために、歌をハミングするよう教えられた」という工夫もなされました。そうした工夫の積み重ねも、いつか感染症の少ない健康なコミュニティづくりに結び付いていくのかもしれません。
執筆者
Efficacy of Handwashing with Soap and Nail Clipping on Intestinal Parasitic Infections in School-Aged Children: A Factorial Cluster Randomized Controlled Trial.
PLoS Med. 2015 Jun 9
[PMID: 26057703]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。