シオマリン静注用1gの添付文書
添付文書PDFファイル
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効果・効能
敗血症、急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、膿胸、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、腹膜炎、胆嚢炎、胆管炎、肝膿瘍、子宮内感染、子宮付属器炎、子宮旁結合織炎、化膿性髄膜炎。
(効能又は効果に関連する注意)
〈急性気管支炎〉「抗微生物薬適正使用の手引き」を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与すること。
用法・用量
通常、成人には1日1~2g(力価)を2回に分割して静脈内注射又は点滴静注する。
通常、小児には1日40~80mg(力価)/kgを2~4回に分割して静脈内注射又は点滴静注する。
なお、年齢、症状に応じて適宜増減するが、難治性又は重症感染症には、成人では1日4g(力価)、小児では1日150mg(力価)/kgまで増量し、2~4回に分割投与する。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
1.1. ショック(0.1%未満)、アナフィラキシー(頻度不明):ショック、アナフィラキシー(呼吸困難、全身潮紅、浮腫等)を起こすことがある〔8.2参照〕。
1.2. 急性腎障害(頻度不明):急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがある〔8.3参照〕。
1.3. 汎血球減少、溶血性貧血(いずれも頻度不明)。
1.4. 偽膜性大腸炎(0.1%未満):偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎があらわれることがある(腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には、直ちに投与を中止するなど適切な処置を行うこと)。
1.5. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(いずれも頻度不明)。
1.6. 間質性肺炎、PIE症候群(いずれも頻度不明):発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎、PIE症候群等があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
1.7. 痙攣(頻度不明)〔9.2.2参照〕。
- その他の副作用
- 過敏症:(0.1~5%未満)発疹、発熱、(0.1%未満)そう痒、(頻度不明)蕁麻疹、発赤。
- 血液:(0.1~5%未満)好酸球増多、貧血(赤血球減少、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット減少)、(0.1%未満)血小板減少、プロトロンビン時間延長、(頻度不明)顆粒球減少。
- 腎臓:(0.1~5%未満)BUN上昇、(0.1%未満)クレアチニン上昇、蛋白尿、(頻度不明)乏尿。
- 肝臓:(0.1~5%未満)AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇、(0.1%未満)ビリルビン上昇。
- 消化器:(0.1~5%未満)悪心、下痢、(0.1%未満)嘔吐、食欲不振。
- 菌交代症:(頻度不明)口内炎、カンジダ症。
- ビタミン欠乏症:(頻度不明)ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾向等)、ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等)。
- その他:(0.1~5%未満)頭痛、全身倦怠感。
使用上の注意
(禁忌)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者〔9.1.1参照〕。
(重要な基本的注意)
- 本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
- 本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること〔11.1.1参照〕。
2.1. 事前に既往歴等について十分な問診を行う(なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認する)。
2.2. 投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。
2.3. 投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行う(特に、投与開始直後は注意深く観察する)。
- 急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと〔11.1.2参照〕。
(特定の背景を有する患者に関する注意)
(合併症・既往歴等のある患者)
1.1. セフェム系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者:治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しない(ただし、本剤に対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないこと)〔2.禁忌の項参照〕。
1.2. ペニシリン系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者。
1.3. 本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質を有する患者。
1.4. 経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者:観察を十分に行うこと(ビタミンK欠乏症状があらわれることがある)。
(腎機能障害患者)
2.1. 高度腎障害のある患者:投与量を減らすか、投与間隔をあけて使用すること(血中濃度が持続する)〔16.6.1参照〕。
2.2. 腎不全の患者:大量投与すると痙攣等の神経症状を起こすことがある〔11.1.7参照〕。
(妊婦)
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
(授乳婦)
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(低濃度であるがヒトで乳汁中へ移行することが報告されている)〔16.3.1参照〕。
(高齢者)
次の点に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
8.1. 生理機能が低下していることが多く副作用が発現しやすい。
8.2. ビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがある。
(相互作用)
- 2. 併用注意:
- 利尿剤(フロセミド等)[腎障害が発現・悪化するおそれがあるので、併用する場合には腎機能に注意すること(機序は明確ではないが、利尿剤による細胞内への水分再吸収低下のため、尿細管細胞中の抗菌薬濃度が上昇するとの説がある)]。
- アルコール[(臨床症状)飲酒により、顔面潮紅、心悸亢進、めまい、頭痛、嘔気等があらわれることがある;(措置方法)投与期間中及び投与後少なくとも1週間は飲酒を避けること(本剤の3位側鎖にあるメチルテトラゾールチオール基は、アルコールの代謝過程において、アルデヒド脱水素酵素を阻害し、血中アセトアルデヒド濃度を上昇させ、ジスルフィラム様作用を示す)]。
(臨床検査結果に及ぼす影響)
直接クームス試験陽性を呈することがある。
(適用上の注意)
- 薬剤調製時の注意
1.1. 本剤1瓶に4mL以上の注射用水、5%ブドウ糖注射液又は生理食塩液を加え、よく振盪して溶解する。ただし、点滴静注を行う場合、注射用水を用いると溶液が等張とならないため用いないこと。
1.2. 調製後は速やかに使用すること(なお、やむを得ず保存を必要とする場合でも、室温保存では24時間以内に、冷蔵庫保存では72時間以内に使用すること)。
- 薬剤投与時の注意
静脈内注射時は、静脈内大量投与により血管痛、静脈炎、灼熱感を起こすことがあるので、これを予防するために注射液の調製、注射部位、注射方法等について十分注意し、その注射の速度はできるだけ遅くすること。
(その他の注意)
- 非臨床試験に基づく情報
幼若ラットに皮下投与した試験において精巣萎縮、精子形成抑制作用が発現したとの報告がある。
(保管上の注意)
室温保存。