動脈管開存症治療薬(プロスタグランジン阻害薬)の解説
動脈管開存症治療薬(プロスタグランジン阻害薬)の効果と作用機序
動脈管開存症治療薬(プロスタグランジン阻害薬)の薬理作用
母体にいる間、胎児には肺動脈と大動脈をつなげる動脈管という管があり、通常、生後の肺呼吸の開始に伴いこの管は閉じるが、場合によっては動脈管が閉じずに残ったままの状態になる。これを動脈管開存症といい、特に早産児及び低出生体重児に多くみられる傾向があり、心不全症状や感染性心内膜炎などの合併症があらわれる場合もある。
体内物質プロスタグランジン(PG)は疼痛、炎症、発熱など様々な体内での反応に関わる物質となる。PGのタイプのひとつにプロスタグランジンE(PGE)があり、PGEは動脈管の拡張などに関わる物質とされる。PGEの産生を抑えることで動脈管の閉鎖などが期待できる。
インドメタシンやイブプロフェンはNSAIDs(エヌセイズ:非ステロイド性抗炎症薬)と呼ばれる薬に分類され、NSAIDsはシクロオキシゲナーゼ(COX)という酵素を阻害しPG産生を抑えることで、抗炎症作用や解熱鎮痛作用などをあらわすため一般的には解熱鎮痛薬として使われている。
本剤(インドメタシンやイブプロフェンの注射剤)による動脈管を閉鎖する作用の仕組みに関しては詳細には解明されていないが、プロスタグランジンの合成酵素阻害作用によるものと考えられている。本剤はCOX阻害作用によりPGのひとつであるPGE産生を抑え動脈管を閉じる作用(動脈管閉鎖作用)をあらわすことで、主に未熟児の動脈管開存症の治療に使われる。
未熟児動脈管開存症治療におけるインドメタシン製剤は以前は経口剤や坐剤といった剤形による治療が行われていたが、より確実な投与及び効果発現が期待できる注射剤の開発が行われ承認された経緯を持つ。2018年には日本でもイブプロフェンの静注製剤(商品名:イブリーフ)が未熟児動脈管開存症の治療薬として承認され、治療の選択肢が広がっている。
動脈管開存症治療薬(プロスタグランジン阻害薬)の主な副作用や注意点
動脈管開存症治療薬(プロスタグランジン阻害薬)の一般的な商品とその特徴
インダシン静注用
- インドメタシン注射剤
イブリーフ静注
- イブプロフェン注射剤