ビスホスホネート製剤(骨粗しょう症治療薬)
骨を壊す過程を抑えて骨量の低下を抑え、骨を強くし骨粗しょう症による骨折などへの危険性を低下させる薬
同義語:
ビスホスフォネート製剤 ビスフォスフォネート製剤

ビスホスホネート製剤(骨粗しょう症治療薬)の解説

ビスホスホネート製剤(骨粗しょう症治療薬)の効果と作用機序

  • 骨を壊す過程を抑えて骨量の低下を抑え、骨を強くし骨粗しょう症による骨折などへの危険性を低下させる薬
    • 骨粗しょう症では骨を壊す過程(骨吸収)が骨を作る過程(骨形成)を上回り骨量が低下して骨折などの危険が伴う
    • 骨吸収には骨を壊す細胞(破骨細胞)の働きが必要となる
    • 本剤は破骨細胞の働きを抑え骨吸収を抑えることで骨量の低下を抑える作用をあらわす
  • 骨粗しょう症以外にも変形性骨炎(骨ページェット)や腫瘍の骨転移などによる骨の脆弱性を来す疾患に使用する場合もある
  • 様々な剤形(剤型)があり、「毎日服用タイプ」「1週間に1回服用タイプ」「1ヶ月に1回投与タイプ」などに分かれる

ビスホスホネート製剤(骨粗しょう症治療薬)の薬理作用

骨粗しょう症では骨を壊す細胞と作る細胞のバランスが崩れることで、骨がもろくなってしまい、転倒などにより骨折する危険性が高くなる。

骨が壊される過程を骨吸収といい、骨が新しく作られる過程を骨形成という。骨粗しょう症では何らかの原因により骨吸収が骨形成を上回っている状態であり、骨吸収には骨を壊す細胞(破骨細胞)の働きが必要となる。

本剤は破骨細胞に作用しこの細胞の働きを抑えることにより、骨吸収を抑え骨密度と骨強度を高める作用をあらわす。

本剤は食事やカルシウムやマグネシウムなどのミネラル分などと一緒に服用すると薬剤の吸収が低下するという特徴があり、内服薬の場合は「起床時などの空腹時に服用しなくてはならない」など、服薬に関していくつかの制約を受ける薬剤となる。

ビスホスホネート製剤(骨粗しょう症治療薬)の主な副作用や注意点

  • 消化器障害
    • 胃部不快感、便秘などの消化器症状が出る場合がある
  • 顎骨壊死
    • 非常に稀だが、本剤の治療中に局所への放射線治療、抜歯などの歯科処置、口腔内の不衛生などの条件が重なった場合、あごの骨の炎症などがあらわれる可能性がある
    • 「口の中の痛み」「歯ぐきに白色あるいは灰色の硬いものが出てきた」「あごが腫れてきた」「歯がぐらついてきて自然に抜けた」などの症状がみられた場合は放置せず、医師、歯科医師、薬剤師に連絡する
  • 本剤の内服薬に関しての服用方法と注意点(ただし、ダイドロネルを除く)
    • 朝起きた時に、コップ一杯(約180cc)の水でかまずに飲むこと
    • 服用後、少なくとも30分(ボンビバ錠100mgでは60分)は横にならず、水以外は飲まないこと
    • ミネラル分が多く含まれる硬度の高い水での服用は避けること

ビスホスホネート製剤(骨粗しょう症治療薬)の一般的な商品とその特徴

アクトネル、ベネット

  • 剤形(剤型)に関して
    • 「毎日服用タイプ:2.5mg錠」「1週間に1日服用タイプ:17.5mg錠」「1ヶ月に1日服用タイプ:75mg」がある

ボナロン、フォサマック

  • 剤形(剤型)に関して
    • 「毎日服用タイプ:5mg錠」「1週間に1日服用タイプ:35mg錠」がある
    • ボナロンには経口ゼリー剤(1週間に1回服用タイプ)や点滴静注剤(1ヶ月に1回投与タイプ)もある

ボノテオ、リカルボン

  • 剤形(剤型)に関して
    • 「毎日服用タイプ:1mg錠」「1ヶ月に1日服用タイプ:50mg錠」がある

ボンビバ

  • 剤形(剤型)に関して
    • ボンビバ静注1mg:1ヶ月に1回投与タイプの静脈内投与の注射剤
      ・注射剤のため内服薬に比べ、飲食物などの制約は少ない
    • ボンビバ錠100mg:1ヶ月に1回服用タイプの内服薬
      ・服用後、少なくとも60分は横にならず、飲食(水を除く)及び他の薬剤の経口摂取を避ける

リクラスト

  • 1年に1回投与タイプの静脈内投与の注射剤
  • 注意すべき副作用に関して
    • 発熱、関節痛、筋肉痛などがあらわれる場合があり注意が必要