しきゅうけいがん
子宮頸がん
子宮の入り口(子宮頚部)にできるがん。HPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスの感染が主な原因
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最終更新: 2024.05.29
子宮頸がんの基礎知識
POINT 子宮頸がんとは
子宮の入り口付近の部分を子宮頚部と言い、子宮頸がんは子宮頸部できるがんのことです。発病には主にヒトパピローマウイルスの感染が関わっていると考えられています。無症状のこともあり、検診でみつかることもあれば、不正出血やおりものの異常、性交中の出血から見つかることもあります。子宮頸がんが疑われる人には病理検査(病気が疑われる部分を取り出して、顕微鏡でみる検査)が行われて、診断が確定され、診断後にはがんの広がりを見るために、画像検査が行われます。進行度に応じた治療が選ばれ、具体的には手術や抗がん剤治療、放射線治療などです。子宮頸がんが心配な人は産婦人科で相談してください。
子宮頸がんについて
- 子宮の入り口(子宮頚部)にできる
がん ヒトパピローマウイルス (HPV )の感染が、多くの場合関わっている- HPVは性行為によって感染する
ウイルス - 性交を経験した女性のうち約10%がHPVに感染し、さらにその10%の人でがんの危険性が高まると考えられている
- HPVは性行為によって感染する
- 子宮頸がん患者は30歳代後半の女性に多い
- 性交を行う年齢が以前より下がった影響か、発がんする患者の年齢も下がり、20歳代の女性からこの病気になる人が増えている
- 子宮頚がんは1年間で10,879人が
発症 (2019年)し、年間約3000人近くが死に至っている - HPV感染を防ぐためにワクチンが2009年に国内で承認された
- 日本において定期接種のワクチンに分類される(2022年から、8年ぶりに厚生労働省省による積極的接種勧奨が再開)
- HPVワクチンは基本的に安全なワクチンであるが、まれに重い副反応(副作用)が報告されている
- 2020年の段階で、報告されている副反応とワクチンと明確に関連性があるとは考えられていない
- 子宮頸がんのリスクに鑑みて、WHOからワクチンの接種を再開するよう日本に対して勧告が出ている
- HPVには100種類以上のタイプがあり、その中でも感染することで特に子宮頚がんになりやすい種類がある
- ワクチンは100種類中の数種類に対するもので、すべてのHPV感染を予防しているわけではない
- 特に子宮頸がんを起こしやすいと考えられている種(HPV16型とHPV18型)をカバーするようにワクチンは作られている
子宮頸がんの症状
- 早期では症状が出ない場合がほとんど
- 進行すると現れる症状
- 異常なおりもの
- 不正出血
- 性交中の出血
- 下腹部の痛み など
子宮頸がんの検査・診断
- 主な検査
- 検診で用いられる検査
細胞診 - 子宮頸部をブラシの付いた専用器具でこすった上で、付いた細胞を顕微鏡で観察して
がん 細胞や前がん病変 (異形成)の有無を調べる - 20-69歳を対象に、検査間隔は2年間が推奨されている、間隔の遵守が望ましい
- 子宮頸部をブラシの付いた専用器具でこすった上で、付いた細胞を顕微鏡で観察して
-
HPV 検査- 細胞診と同様に専用器具を用いて採取した細胞からHPV(
ヒトパピローマウイルス )-DNAの検出の有無を調べる - 30-60歳を対象に、検査間隔は5年が推奨されており、間隔の遵守が望ましい
- 細胞診と同様に専用器具を用いて採取した細胞からHPV(
- 子宮頸がんの疑いがある場合は詳しい検査をして診断を確定する
コルポスコピー :内診 時に器具を用いて子宮頸部を観察するための検査組織診 :子宮頸部を一部だけ切り取って(生検 )、顕微鏡で観察する- 組織診により診断が確定する
- 検診で用いられる検査
- 子宮頸がんがあれば、
CT 、MRI 検査などによってがんの広がりを調べる - 子宮頸がんの
ステージ は「がんの深さ」「がんの広がり」「転移 の程度」を合わせて決定される
子宮頸がんの治療法
- 主な治療
- 手術
- 早期で発見された場合は手術を行うのが一般的
- 手術後に妊娠を希望するかどうかが治療法決定において重要
- 手術の種類
- 手術後に妊娠が可能な手術(早期
がん に限る)- 子宮頸部の一部だけを切除する(円錐切除術)
- トラケレクトミー(広汎子宮頸部摘出術)
- 手術後に妊娠が不可能な手術
- 子宮だけを切除する(単純子宮全摘術)
- 子宮とその近くまでを含めて切除する(準広汎子宮全摘術)
- さらに広めに切り取る(広汎子宮全摘術)
放射線療法 - 体の外から放射線を当てる場合と、膣の奥から放射線を当てる場合の2種類がある
化学療法 と組み合わせたほうが効果が高い
- 化学療法
- 「
転移 ・再発した人」「手術後再発の可能性が高い人」「放射線治療 を受ける人」に行われる - プラチナを含む
抗がん剤 とベバシズマブという薬が中心になる
- 「
- 手術
- 長期的な経過
5年生存率 は早期であれば90%以上だが、進行すると生存率は落ちる
- 早期発見できれば
治癒 率が高く、治療後の妊娠も可能であり定期的な検診がとても重要である- 20歳を超えた場合は、2年に1度の検診が勧められる