へるぱんぎーな
ヘルパンギーナ
夏から初秋にかけて流行し、突然の高熱、口腔内のできものや発赤を主症状とする咽頭炎で、小児に多くみられる
12人の医師がチェック 38回の改訂 最終更新: 2018.06.23

Beta ヘルパンギーナのQ&A

    ヘルパンギーナは妊娠中も感染しますか?

    エンテロウイルスが体内に侵入すると、免疫がウイルスを駆除するように働きます。しかし、免疫の力よりもウイルスの勢いの方が勝ってしまうと感染が起こります。

    ヘルパンギーナの感染は特に妊娠中にも起こります。妊娠中に感染した場合、軽い症状を起こす程度で治ることが多いですが、特に出産直前には注意が必要です。

    出産直前の妊婦の方が感染した場合は、生まれてくる子どもが感染する恐れがあります。

    新生児が感染した場合、軽い症状で済むことが多いですが、まれに肝臓や心臓などの臓器に感染し、非常に重症になる場合があるため注意が必要です(特に出産してから2週間の間の感染で重症化しやすいと言われています)。

    現在ポリオウィルス以外のエンテロウィルスのワクチンはないため、手洗いうがいやマスク着用などの基本的な感染対策が必要になってきます。

    妊娠中の方はしっかりと事前知識をつけて、感染しないよう予防することが大切です。

    ヘルパンギーナはどのような病気ですか

    発熱、咽頭痛を主症状とするウイルス性咽頭炎です。夏季に乳児を中心に流行し「夏カゼ」として知られています。エンテロウイルスの中のコクサッキーA群ウイルスが病原となりますが、その他のエンテロウイルスでも発症します

    ヘルパンギーナは、どのくらいの頻度で起こる病気ですか?

    すべての年齢の人がかかる可能性がある感染症ですが、5歳以下が全体の90%を占め、その中でも1歳代のこどもが最も多いです。

    ヘルパンギーナは、他人にうつる病気ですか?また、どのようにうつりますか?

    ヘルパンギーナは、主に飛沫感染によって人から人へ感染します。ヘルパンギーナにかかっている人からでる咳やくしゃみ、唾液を浴びることで感染します。また、ウイルスが付いている物に直接触れることで感染する接触感染もあります。空気感染ではないので同じ空間にいるだけで感染することはありません。手洗い、うがい、マスクの着用で適切に予防しましょう。感染源となりうるのは発症2-3日の急性期ですが、その後2-4週間程度便中にウイルスが検出されます。

    ヘルパンギーナは、どんな症状で発症するのですか?

    潜伏期間は2-7日です。突然の発熱に続いて咽頭痛が出現します。咽頭の粘膜が赤くなり、直径1-2mm程度の水疱が数個できます。発熱は2-4日程度で落ち着き、咽頭痛もその後自然に治ります。乳幼児では咽頭痛を訴えることが難しいので、不機嫌になったり、ミルクや食事を拒んだりすることがあります。

    ヘルパンギーナの、その他の症状について教えて下さい。

    ヘルパンギーナの原因となるエンテロウイルスは様々な症状を引き起こすウイルスであり、咽頭炎の他にも無菌性髄膜炎、ウイルス性心筋炎などが知られています。

    ヘルパンギーナが重症化すると、どのような症状が起こりますか?

    通常は1週間程度かけ自然に改善していきます。重症化することは少ないですが、乳幼児では咽頭痛により食欲低下、水分不足などから脱水になってしまう場合があります。そういった場合は点滴が必要になることがあります。

    ヘルパンギーナは、どのように診断するのですか?

    基本的には症状による臨床診断で十分に診断できます。

    どうしても確実な診断をつけたいときは髄液や便などからウイルス分離をしたり、遺伝子診断を行うこともあります。血液検査で抗体値を調べる方法もありますが、一般的ではありません。

    ヘルパンギーナの、その他の検査について教えて下さい。

    基本的には、検査を行うことはありません。発熱が長期にわたる場合は他の疾患と区別するために血液検査を行うこともあります。また、髄膜炎が疑われる場合は髄液検査などを行うこともあります。

    ヘルパンギーナと診断が紛らわしい病気はありますか?

    発熱、咽頭の水疱が現れる疾患としては、ヘルペスによる歯肉口内炎、手足口病、口内炎などがあげられます。

    ヘルパンギーナの治療法について教えて下さい。

    根本的な治療はありません。ウイルスなので抗生剤は効きません。対処療法が中心となります。発熱に対しては、解熱剤を使って治療します。

    ヘルパンギーナでは入院が必要ですか?通院はどの程度必要ですか?

    基本的には外来治療で自然に良くなります。食事ができず脱水になった場合は、点滴をするために入院することもあります。症状が改善した後は基本的には通院は不要です。

    髄膜炎、心筋炎の場合はそれぞれの治療をするために入院が必要です。

    ヘルパンギーナは、再発を予防できる病気ですか?

    原因となるウイルスが何種類もあるため一度かかっても何度も感染します。手洗い、うがいを行うなど身近にできることから感染を防ぐしかありません。

    ヘルパンギーナに関して、日常生活で気をつけるべき点について教えて下さい。

    ヘルパンギーナは飛沫感染と接触感染でうつります。ヘルパンギーナと判明している人との濃厚な接触をさけるのはもちろんですが、流行シーズンはマスクをする、なるべく人ごみにでない、手洗い・うがいをしっかりすることが大切です。また、接触感染を避けるために、おもちゃ、手すり、ドアノブなどをアルコール・塩素系の消毒剤で拭くことも大事です。

    ヘルパンギーナは、完治する病気ですか?あるいは、治っても後遺症の残る病気ですか?

    ヘルパンギーナの感染が改善すれば完治します。髄膜炎、心筋炎になった場合は後遺症が残る場合があります。

    ヘルパンギーナでは出席停止期間はありますか??

    法律で決められた出席停止期間はありません。しかし、熱があるとき、食事がとれないときはもちろんお休みしましょう。解熱し全身状態がよくなれば登園、登校可能です。