ふにんしょう
不妊症
夫婦が妊娠を希望し一定期間にわたり性生活をしているにも関わらず妊娠しない状態。原因によって男性不妊と女性不妊に大きく分けられる
9人の医師がチェック 78回の改訂 最終更新: 2024.04.26

不妊症の基礎知識

POINT 不妊症とは

妊娠を希望して1年以上性交を行っているにも関わらず妊娠できない状態をさします。約1割の夫婦が不妊症で、原因は男性側と女性側それぞれに考えられます。不妊症の治療を行うにはまずその原因を明らかにすることが必要になるので、不妊治療を専門とする婦人科と泌尿器科を受診して検査を受けることをお勧めします。不妊治療を専門とする医療機関がわからないときはまず近くの婦人科や泌尿器科を受診し、不妊治療を積極的に行っている医療機関を紹介してもらうとよいです。

不妊症について

  • 夫婦が妊娠を希望し一定期間に渡って性生活を送っているにもかかわらず妊娠に至らない状態
    • 一定期間は1年とする場合が多い
    • 妊娠を希望して性生活を継続している場合、1年で約80%が、2年で約90%が妊娠すると言われている
    • 日本では夫婦の10-15%程度が不妊症と報告されている
  • 女性側の原因は以下に分類される
  • 男性不妊症の原因は以下に分類される
    • 造精機能障害
      • 特発性造精機能障害
      • 精索静脈瘤
      • 染色体異常
      • 精巣炎
      • 停留精巣
      • 視床下部下垂体の障害
      • 薬物の副作用(抗がん剤など)
      • 放射線照射
      • 外傷など
    • 精路通過障害
      • 精管欠損症
      • 精管・射精管狭窄
      • 精管結紮術
      • 鼠径ヘルニア術後の精管結紮
    • 性機能障害
    • 副性器障害
    • 精子の異常
      • 精子形態の異常
      • 精子運動能の異常
  • 原因がわからないことも多い

不妊症の検査・診断

  • 女性側の原因による不妊に対する検査
    • 排卵の障害
      • 基礎体温の検査
      • 血液中や尿中のホルモン値の測定
      • 経腟超音波検査
    • 卵管の障害
      • 感染症の検査
      • 子宮卵管造影
      • 腹腔鏡検査
    • 子宮の障害
      • 超音波検査
      • 子宮鏡
      • 頸管粘液検査
      • フーナーテスト(性交後テスト)など
  • 男性不妊症の検査
    • 精液検査
    • 血液検査
    • 超音波検査
    • 精管造影
    • 頭部MRI検査

不妊症の治療法

  • 不妊の原因となっている疾患があればその治療を行う
  • 不妊の原因がない、または治療しても効果がない場合は不妊治療を行う
    • タイミング指導法:排卵のタイミングに合わせて性交渉を行うように指導する
    • 人工授精(ART)
      • 排卵誘発剤を使い、精子を直接子宮の中に注入する
    • 生殖補助医療技術(ART:Assisted Reproductive Technology)
      • 体外受精(IVF:In Vitro Fertilization)
        • 採取した精子と卵子を顕微鏡内で受精させる
      • 卵巣内精子注入法(ICSI:IntraCytoplasmic Sperm Injection)
        • 卵巣内に直接精子を送りこむ

不妊症に関連する治療薬

黄体ホルモン製剤

  • 黄体ホルモンを補充し、無月経、月経周期異常、月経困難症、機能性子宮出血、不妊症などを治療する薬
    • 黄体ホルモン(プロゲステロン)には子宮内膜を増やし受精卵が着床するように子宮内環境を整える作用がある
    • 黄体ホルモンの不足やバランスの崩れにより無月経や月経周期異常がおこる
    • 黄体ホルモンの不足やバランスの崩れは機能性子宮出血や不妊症なども引き起こす
黄体ホルモン製剤についてもっと詳しく

不妊症が含まれる病気

不妊症のタグ

不妊症に関わるからだの部位