かんじだせいしょくどうえん(しょくどうもりにあしょう)
カンジダ性食道炎(食道モリニア症)
食道に起きる、カンジダという真菌が原因の感染症
5人の医師がチェック 99回の改訂 最終更新: 2021.03.25

カンジダ性食道炎(食道モリニア症)の基礎知識

POINT カンジダ性食道炎(食道モリニア症)とは

カンジダ性食道炎はカンジダという真菌(カビ)が食道に感染を起こす病気です。カンジダは人体に常在している一方で、通常は感染を起こすことはありません。免疫力の落ちた人(HIV感染をしている人、糖尿病のある人、ステロイドを飲んでいる人など)や抗生物質(抗菌薬)を長期的に使用している人などに感染が起こりやすくなります。主な症状は食道がしみる感じ・飲み込みがうまくできなくなる・吐き気・嘔吐などになります。 症状や身体診察に加えて、胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)を用いて診断します。抗真菌薬を用いて治療しますが、原因となっている病気がある場合は同時に医療を行います。カンジダ性食道炎が心配な人や治療したい人は、消化器内科や内視鏡科などを受診して下さい。

カンジダ性食道炎(食道モリニア症)について

  • 食道にカンジダという真菌(カビ)が感染して炎症を起こす病気
    • 全身の免疫力が低下しているときにカンジダに感染しやすい
    • カンジダは人間の皮膚や粘膜に常に存在している菌であるが、通常は簡単には感染しない
  • カンジダ性食道炎に気をつけるべき背景の人は以下である
    • 長期的に抗菌薬抗生物質)を使用している人
    • 免疫抑制剤やステロイドを使っている人
    • HIVに長期的に感染してAIDSになった人
    • 糖尿病のある人

カンジダ性食道炎(食道モリニア症)の症状

  • 初期であれば無症状のことが多い
  • 進行すると以下の症状が出る
    • 食道がしみる感じ
    • 飲み込みがうまくできなくなる
    • 吐き気
    • 嘔吐

カンジダ性食道炎(食道モリニア症)の検査・診断

  • 胃カメラ上部消化管内視鏡検査):食道に炎症が起こっていないか調べる
    • 食道に白い苔のようなものがへばりついている

カンジダ性食道炎(食道モリニア症)の治療法

  • 薬物療法
    • カンジダに効果のある抗真菌薬を使用する
  • 免疫が低下している原因を取り除く
    • 併発している病気の治療を行う
  • ステロイド薬の副作用でカンジダ性食道炎になった場合は、ステロイド薬を中止するべきかを慎重に検討する
  • ステロイド薬の中断は、正しい方法で行わないと非常に危険であるため、自己判断は絶対に避ける
    • 長期的にステロイド薬を使用している人が急に使用をやめた場合、反動で体調を崩すことがある(withdrawal syndrome)

カンジダ性食道炎(食道モリニア症)に関連する治療薬

トリアゾール系抗真菌薬(内服薬・注射剤)

  • 真菌(カビ)の細胞膜の合成を阻害し、白癬症やカンジダ症などの真菌感染症を治療する薬
    • 白癬症やカンジダ症などの真菌感染症は、真菌の感染により引き起こされる病気で特に免疫力の低下している場合などでは感染がおこりやすい
    • 真菌は細胞膜により覆われていて、この細胞膜がないと生存できない
    • 本剤は真菌の細胞膜合成を阻害し抗真菌作用をあらわす
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