2017.05.22 | ニュース

湖北省で44人死亡、高熱が出る感染症「SFTS」はどこで多いのか

2011年から2016年の統計を解析

from Frontiers in microbiology

湖北省で44人死亡、高熱が出る感染症「SFTS」はどこで多いのかの写真

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)はダニが媒介するウイルスによる感染症です。高熱などを現し、重症では命に関わります。中国の湖北省での統計から、地域の気候や環境との関連が報告されました。

中国の研究班が湖北省で2011年から2016年に発生したSFTSの統計を解析し、SFTSの発生数が多い地域の環境の特徴を調べた結果を専門誌『Frontiers in Microbiology』に報告しました。

地区ごとの環境の特徴として、以下のような要因がSFTSの発生数と統計的に関連するかが検討されました。

  • 人口密度
  • 牛の密度
  • ヤギの密度
  • 森林の割合
  • 灌漑される農耕地の割合
  • 雨で耕作される農耕地の割合
  • 牧草地の割合
  • 建物が密集した土地の割合
  • 気温
  • 相対湿度
  • 降雨量
  • 標高

 

2011年から2016年に、521人がSFTSと診断され、44人が死亡していました。

統計解析により、以下の要因が強い地域ほどSFTSが多く発生していることがわかりました。

  • 牛の密度が高い
  • 雨で耕作される農耕地の割合が少ない
  • 建物が密集した土地の割合が少ない
  • 気温が低い
  • 相対湿度が高い

研究班は先行研究で指摘された要因と比較しながら、解釈としてSFTSは主に都市部から離れた地域で流行すること、気温が高すぎるとダニの繁殖が抑えられることなどを挙げています。

 

SFTSは日本でも2013年に全数把握対象とされ、以後毎年数十人の患者が報告されています。報告は西日本に集中していますが、石川県や三重県で感染したと見られる例もあります。マダニが活動する春から秋に多く発生しています。

厚生労働省はマダニに咬まれないようにするなどの対策を勧めています。

参考:重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関するQ&A

山間部でダニが媒介する病気はSFTSのほかにもあります。森林や草むらに入るときは肌の露出をできる限り少なくするなど、ダニの対策に気を付けてください。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Epidemiological Characteristics and Environmental Risk Factors of Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome in Hubei Province, China, from 2011 to 2016.

Front Microbiol. 2017 Mar 8.

[PMID: 28337190]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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