◆これまでの研究を調査
ここで紹介する研究は、アフタ性口内炎に対して植物の成分を外用剤(飲んだり注射するのではなく、体の表面に塗ったり貼ったりして使う薬)として使ったときの効果について、これまでにどんな研究がなされているかを調べ、まとめたものです。
研究班は、関係する研究を検索し、口内炎でできる潰瘍(粘膜がえぐれた状態)が消えるまでの期間などの効果のデータを取り出しました。
◆ザクロのエキスで早く治った
関係する13件の研究報告が集まりました。
その中で、潰瘍が消えるまでの期間、潰瘍の大きさ、痛みの強さについて効果があったとする報告が見つかりました。潰瘍が消えるまでの期間は次の4件の研究で評価されていました。
- ザクロのエキスが入ったジェルを塗ると、偽薬に比べて潰瘍が消えるまでの期間が短くなり、痛みの強さも抑えられた。
- サトゥレヤ・フゼスタニカ(キダチハッカの仲間)のエキスまたはエッセンシャルオイルを使うと、偽薬に比べて潰瘍が消えるまでの期間が短くなった。
- うがい薬「天竺」を使うと、クロルヘキシジン(消毒薬)のうがいよりも潰瘍が消えるまでの期間が短くなった。
- 「Fufangjiaolianzhiji」を使うと、クロルヘキシジンのうがいよりも潰瘍が消えるまでの期間が短くなった。
副作用については、サトゥレヤ・フゼスタニカのエッセンシャルオイルを使った人でわずかに焼けるような感じがあったとされていました。ほかに明らかな副作用は報告されていませんでした。
植物の成分を使う方法から、ある程度の効果があるというデータがありました。今後新しい薬ができてくるための土台になるかもしれません。
執筆者
Efficacy and safety of topical herbal medicine treatment on recurrent aphthous stomatitis: a systemic review.
Drug Des Devel Ther. 2015 Dec 31.
[PMID: 26770058]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。