進行・再発の子宮頸がんに対するベバシズマブ
アメリカの研究班が、子宮頸がんに対してベバシズマブの効果を調べた試験の結果を、医学誌『Lancet』に報告しました。
この試験は、進行または再発した子宮頸がんの患者を対象に、化学療法(抗がん剤治療)に使う薬剤を変えて比較することで、ベバシズマブの効果と安全性を調べています。
対象者452人がランダムに4グループに分けられました。
- シスプラチン+パクリタキセル
- シスプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブ
- トポテカン+パクリタキセル
- トポテカン+パクリタキセル+ベバシズマブ
シスプラチン、パクリタキセル、トポテカンはいずれも抗がん剤です。ベバシズマブだけが生物学的製剤という種類の薬剤です。
評価のため、ベバシズマブを使わない化学療法のみのグループと、ベバシズマブを使うグループで、生存率が比較されました。
この試験の中間解析は以前に報告され、ベバシズマブを使ったグループで生存期間が長くなる効果が示されています。日本でも2016年にベバシズマブの効能・効果として「進行又は再発の子宮頸癌」が追加され、添付文書にはこの試験のデータが記載されています。
今回の報告は、中間解析のあとも追跡を続けた結果を知らせています。背景として、報告の中に「第2回中間解析での全生存率の差が頑健で、臨床的に意義があり、最終解析でも持続するかどうかについての懸念が残っていた」という説明があります。
最終解析時点で化学療法のみのグループでは227人中170人が死亡し、ベバシズマブを使ったグループでは225人中178人が死亡していました。
ベバシズマブありのほうが生存期間が長い
化学療法のみのグループでは、半数の人が13.3か月以上生存していました。ベバシズマブを使ったグループではより長く、半数の人が16.8か月以上生存していました。
副作用やその他の原因による症状など(有害事象)のうち、生命を脅かすほどの好中球減少症が化学療法のみのグループで58人(26%)、ベバシズマブを使ったグループでは80人(36%)に発生しました。
ほかに入院が必要な程度以上の有害事象が以下の人数に発生しました。
化学療法のみ |
ベバシズマブあり |
|
泌尿生殖器瘻 |
1人 |
6人 |
消化管瘻 |
0 |
7人 |
発熱性好中球減少症 |
12人 |
12人 |
消化管出血 |
1人 |
4人 |
蛋白尿 |
0 |
5人 |
血栓症または塞栓症 |
4人 |
18人 |
研究班は結論として「ベバシズマブの併用によってもたらされた利益は追跡を延長しても維持された」と記しています。
ベバシズマブは最終解析まで有効だった
子宮頸がんに対するベバシズマブの効果の報告を紹介しました。ベバシズマブが有効という結論は覆らないという内容でした。
効果が一度認められてからも慎重に効果・副作用の検証が続けられ、治療をよりよくすることに貢献しています。
執筆者
Bevacizumab for advanced cervical cancer: final overall survival and adverse event analysis of a randomised, controlled, open-label, phase 3 trial (Gynecologic Oncology Group 240).
Lancet. 2017 Jul 27. [Epub ahead of print]
[PMID: 28756902]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。