◆妊娠24週未満の調査
研究班は、妊娠18週以上24週未満の女性に子宮頚管の検査を行い、子宮頚管が2.5cm以下と短い場合を探しました。
また、それまでに異形成を指摘されたことがあるか、また異形成の切除手術を受けているかによって、早産の割合に違いがあるかを調べました。
◆切除術のみ関連
調査から次の結果が得られました。
採用基準に合致した18,528人の女性の中で、3,023人(16.3%)には異形成の既往だけがあり、1,356人(7.3%)には切除術の既往があった。異形成のない女性では短い子宮頚管は0.8%に、異形成の既往がある女性では1.0%に、切除術の既往がある女性では2.2%に見られた(P<0.001)。早産は異形成のない女性で6.4%、異形成の既往がある女性で6.5%、切除術の既往がある女性で8.4%に起こった(P<0.001)。交絡の可能性がある因子を調整したのち、切除術の既往は早産と関連し、異形成の既往は関連しなかった。
切除術を受けていた女性では早産が多くなっていましたが、異形成と診断されただけでは統計的に違いが見られませんでした。
研究班は「この関連は子宮頚管が短いこととは独立だった」と結論しています。
手術を一度でも受けるとその後のさまざまな場面に影響があります。子宮頚部異形成は、軽度のものでは経過観察がよいと判断されることもあり、治療を検討するときには、早産のリスクも考えに入ってくるかもしれません。
なお子宮頚部異形成(子宮頚部上皮内腫瘍)の治療についてはこの記事でも紹介しています。
「子宮頸がんの前の段階「子宮頸部上皮内腫瘍」に対する光線力学療法の効果は」
http://medley.life/news/item/558bb2a7f034c85801d19fc1
執筆者
The association between cervical dysplasia, a short cervix, and preterm birth.
Am J Obstet Gynecol. 2015 Jun 23 [Epub ahead of print]
[PMID: 26116102 ]
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。