プレジコビックス配合錠の添付文書
添付文書PDFファイル
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効果・効能
HIV感染症。
(効能又は効果に関連する注意)
- 次のいずれかのHIV感染患者に使用すること。
・ 抗HIV薬の治療経験がない患者に使用すること。
・ ダルナビル耐性関連変異を持たない抗HIV薬既治療患者に使用すること。
- 本剤による治療にあたっては、患者の治療歴及び可能な場合には薬剤耐性検査(遺伝子型解析あるいは表現型解析)を参考にすること。
- 小児HIV感染症に対しては、本剤投与による有効性及び安全性が確立していない〔9.7.2参照〕。
用法・用量
通常、成人には1回1錠(ダルナビルとして800mg、コビシスタットとして150mgを含有)を1日1回食事中又は食直後に経口投与する。投与に際しては、必ず他の抗HIV薬と併用すること。
(用法及び用量に関連する注意)
- 抗HIV薬による治療経験があり、ウイルス学的抑制が得られていない患者には薬剤耐性遺伝子型検査の実施が推奨されるが、薬剤耐性遺伝子型検査が行えない場合には、次のとおりとする。
・ HIVプロテアーゼ阻害剤の治療経験がありウイルス学的抑制が得られていない患者で薬剤耐性遺伝子型検査が行えない場合には、本剤を使用すべきでない。
・ HIVプロテアーゼ阻害剤の治療経験がなくウイルス学的抑制が得られていない患者で薬剤耐性遺伝子型検査が行えない場合には本剤の使用が可能である。
- 本剤は、ダルナビル エタノール付加物及びコビシスタットを含有する配合剤であるので、ダルナビル エタノール付加物を含有する製剤及びコビシスタットを含有する製剤と併用しないこと。また、コビシスタットと同じ薬物動態学的増強因子であるリトナビルを含有する製剤とも併用しないこと。
- 本剤と他の抗HIV薬との併用療法において、因果関係が特定できない重篤な副作用が発現し、治療の継続が困難であると判断された場合には、本剤若しくは併用している他の抗HIV薬の一部を減量又は休薬するのではなく、原則として本剤及び併用している他の抗HIV薬の投与をすべて一旦中止すること。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
1.1. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑、急性汎発性発疹性膿疱症(頻度不明):重度発疹があらわれた場合は、本剤の投与を直ちに中止し適切な処置を行うこと。
1.2. 肝機能障害、黄疸(頻度不明):AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある〔8.8参照〕。
1.3. 急性膵炎(0.3%)。
- その他の副作用
- 免疫系障害:(5%未満)過敏症、免疫再構築症候群。
- 代謝及び栄養障害:(5%未満)高トリグリセリド血症、食欲減退、高コレステロール血症、糖尿病、高脂血症。
- 精神障害:(5%未満)異常な夢。
- 神経系障害:(5%以上)頭痛。
- 胃腸障害:(5%以上)下痢、悪心、嘔吐、腹痛、鼓腸、(5%未満)腹部膨満、消化不良、膵酵素増加。
- 肝胆道系障害:(5%未満)肝酵素増加、(頻度不明)急性肝炎。
- 皮膚及び皮下組織障害:(5%以上)発疹、(5%未満)皮膚そう痒症、血管浮腫、蕁麻疹、(頻度不明)体脂肪再分布/体脂肪蓄積。
- 筋骨格系及び結合組織障害:(5%未満)筋肉痛、(頻度不明)骨壊死。
- 生殖系及び乳房障害:(頻度不明)女性化乳房。
- 全身障害及び投与局所様態:(5%以上)疲労、(5%未満)無力症。
- 臨床検査:(5%以上)膵型アミラーゼ増加、リパーゼ増加、血中クレアチニン増加、総コレステロール増加、血中ブドウ糖増加、LDLコレステロール増加、ALT増加、AST増加、(5%未満)トリグリセリド増加、ALP増加。
使用上の注意
(禁忌)
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
- リファンピシン投与中、フェノバルビタール投与中、フェニトイン投与中、ホスフェニトイン投与中、カルバマゼピン投与中、セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品摂取中(St.John’s Wort)、トリアゾラム投与中、ミダゾラム投与中、ピモジド投与中、シンバスタチン投与中、エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン投与中、ジヒドロエルゴタミン投与中、エルゴメトリン投与中、メチルエルゴメトリン投与中、バルデナフィル投与中、シルデナフィル(レバチオ)投与中、タダラフィル(アドシルカ)投与中、ブロナンセリン投与中、アゼルニジピン投与中、アゼルニジピン・オルメサルタン メドキソミル投与中、ルラシドン投与中、ロミタピド投与中、フィネレノン投与中、イバブラジン投与中、ベネトクラクス(再発又は難治性の慢性リンパ性白血病の用量漸増期)投与中(ベネトクラクス(再発又は難治性の小リンパ球性リンパ腫の用量漸増期)投与中を含む)、イサブコナゾニウム硫酸塩投与中、グラゾプレビル投与中、リバーロキサバン投与中、チカグレロル投与中の患者〔10.1参照〕。
- 腎機能障害あるいは肝機能障害患者で、コルヒチンを投与中の患者〔9.2.1、9.3.1、10.2参照〕。
- 低出生体重児、新生児、乳児、3歳未満の幼児〔9.7.1、15.2.2参照〕。
(重要な基本的注意)
- 本剤の使用に際しては、国内外のガイドライン等の最新の情報を参考に、患者又は患者に代わる適切な者に、次の事項についてよく説明し同意を得た後、使用すること。
1.1. 本剤はHIV感染症の根治療法薬ではないことから、日和見感染を含むHIV感染症の進展に伴う疾病を発症し続ける可能性があるので、本剤投与開始後の身体状況の変化については、すべて担当医に報告すること。
1.2. 本剤の長期投与による影響については、現在のところ不明であること。
1.3. 本剤投与開始後、担当医の指示なしに用量を変更したり、服用を中止したりしないこと。
1.4. 本剤は併用薬剤と相互作用を起こすことがあるため、服用中のすべての薬剤を担当医に報告すること。また、本剤で治療中に新たに他の薬剤を服用する場合、事前に担当医に相談すること。
- 本剤による治療は、抗HIV療法に十分な経験を持つ医師のもとで開始すること。
- 本剤に含まれるコビシスタットは、尿細管からのクレアチニン分泌を阻害することによりクレアチニンクリアランスを低下させる場合があるので、本剤の投与開始時及び投与中はクレアチニンクリアランスを測定するなど、腎機能のモニタリングを行うこと。
- HIVプロテアーゼ阻害剤による治療中の患者で、糖尿病の発症又は糖尿病増悪、高血糖が発現し、その中には糖尿病性ケトアシドーシスを合併した例が報告されている。
- ダルナビルの海外臨床試験において、発疹は因果関係の不明なものも含め10.3%の患者に認められ、投与中止を要する発疹は0.5%、発熱を伴う重度発疹及び肝酵素値上昇を伴う重度発疹は0.4%、皮膚粘膜眼症候群は0.1%未満に認められた。また、発疹の多くは軽度から中等度であり、ダルナビルの投与開始4週以内に発現したが投与継続中に寛解した。なお、治療経験のある患者を対象としたダルナビルの海外臨床試験において、ダルナビル及びラルテグラビルを含むレジメンを使用した場合、ダルナビル又はラルテグラビルの一方を含むレジメンと比較して、薬剤との因果関係が明らかでない皮疹も含めた発疹の発現率が高かった。しかし、薬剤に関連した発疹の発現率には差がなく、発疹は軽度から中等度で治療制限及び投与中止はなかった。
- 本剤を含む抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で、免疫再構築症候群が報告されている(投与開始後、免疫機能が回復し、症候性のみならず無症候性日和見感染に対する炎症反応(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス、サイトメガロウイルス、ニューモシスチス等によるもの)等が発現することがあり、また、免疫機能の回復に伴い自己免疫疾患(甲状腺機能亢進症、多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、ブドウ膜炎等)が発現するとの報告があるので、これらの症状を評価し、必要時には適切な治療を考慮すること)。
- ダルナビルによる治療中に浮動性めまいが報告されているので、自動車の運転等危険を伴う機械の操作には注意すること。
- 肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、定期的な肝機能検査を行うなど、観察を十分に行うこと〔11.1.2参照〕。
(特定の背景を有する患者に関する注意)
(合併症・既往歴等のある患者)
1.1. 血友病患者及び著しい出血傾向を有する患者:HIVプロテアーゼ阻害剤で治療中の血友病患者において、皮膚血腫及び出血性関節症等の出血事象増加が報告されている。
1.2. スルホンアミド系薬剤に過敏症の既往歴のある患者:交叉過敏症があらわれる可能性がある(ダルナビルはスルホンアミド基を有する)。
(腎機能障害患者)
- 2.1. 腎機能障害患者で、コルヒチンを投与中の患者:投与しないこと(コルヒチンの血中濃度を上昇させる可能性がある)〔2.3、10.2参照〕。
(肝機能障害患者)
3.1. 肝機能障害患者で、コルヒチンを投与中の患者:投与しないこと(コルヒチンの血中濃度を上昇させる可能性がある)〔2.3、10.2参照〕。
3.2. 肝機能障害患者(コルヒチンを投与中の患者を除く):定期的に肝機能検査を行うなど患者の状態を十分に観察し、肝機能悪化が認められた場合には休薬又は投与中止を考慮すること(ダルナビル及びコビシスタットは主に肝臓で代謝され、肝障害患者では高い血中濃度が持続するおそれがある)〔16.6.1参照〕。
3.3. 慢性活動性B型及び/又はC型肝炎患者等投与前に肝機能異常が認められる患者(コルヒチンを投与中の患者を除く):定期的に肝機能検査を行うなど患者の状態を十分に観察し、肝機能悪化が認められた場合には休薬又は投与中止を考慮すること(ダルナビル及びコビシスタットは主に肝臓で代謝され、肝障害患者では高い血中濃度が持続するおそれがあり、また、肝機能をさらに悪化させる可能性がある(ダルナビルの海外第2b/3相試験において、B型及び/又はC型肝炎重複感染患者では、有害事象及び臨床検査値異常のうち、肝酵素の上昇の発現頻度が非重複感染患者より高かった))。
(妊婦)
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないことが望ましい。本剤投与中に妊娠が判明した場合の代替薬への変更は、変更によるリスクを考慮した上で適切な時期に実施すること。妊娠中期及び妊娠後期の妊婦に本剤を投与したとき、出産後と比較しダルナビル血中濃度低下及びコビシスタット血中濃度低下が認められている〔16.6.3参照〕。
(授乳婦)
授乳を避けさせること(ダルナビル及びコビシスタットは、動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されているが、ヒトにおける乳汁への移行は不明である)。
(小児等)
7.1. 低出生体重児、新生児、乳児、3歳未満の幼児には投与しないこと〔2.4、15.2.2参照〕。
7.2. 3歳以上の幼児、小児における臨床試験は実施していない〔5.3参照〕。
(高齢者)
副作用の発現に注意し慎重に投与すること(本剤の有効成分であるダルナビル及びコビシスタットは、主として肝臓で代謝されるが、高齢者では肝機能が低下していることが多く、高い血中濃度が持続するおそれがある)。
(相互作用)
ダルナビル:CYP3Aで代謝され、CYP3A及びCYP2D6を阻害し、またP糖蛋白を阻害する。
コビシスタット:CYP3A及びCYP2D6で代謝され、CYP3A及びCYP2D6を阻害し、またP糖蛋白、BCRP、OATP1B1及びOATP1B3を阻害する〔16.7.1参照〕。
- 併用禁忌:
- リファンピシン(リファジン)、フェノバルビタール(フェノバール等)、フェニトイン(アレビアチン等)、ホスフェニトイン(ホストイン)、カルバマゼピン(テグレトール)〔2.2、16.7.2参照〕、セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品(St.John’s Wort)〔2.2参照〕[ダルナビル及びコビシスタットの血中濃度が低下し本剤の効果が減弱するおそれがある(これらの薬剤のCYP3A誘導作用により、ダルナビル及びコビシスタットの代謝が促進される)]。
- トリアゾラム(ハルシオン)、ミダゾラム(ドルミカム、ミダフレッサ、ブコラム)〔2.2参照〕[これらの薬剤の血中濃度上昇により、過度の鎮静や呼吸抑制等の重篤な又は生命に危険を及ぼすような事象が起こる可能性がある(ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
- ピモジド(オーラップ)〔2.2参照〕[ピモジドの血中濃度上昇により、不整脈等の重篤な又は生命に危険を及ぼすような事象が起こる可能性がある(ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
- シンバスタチン(リポバス)〔2.2参照〕[シンバスタチンの血中濃度上昇により横紋筋融解症が起こる可能性がある(ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
- エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン(クリアミン)、ジヒドロエルゴタミン(ジヒデルゴット)、エルゴメトリン、メチルエルゴメトリン(パルタンM)〔2.2参照〕[これらの薬剤の血中濃度上昇により、末梢血管痙縮・虚血等の重篤な又は生命に危険を及ぼすような事象が起こる可能性がある(ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
- バルデナフィル(レビトラ)、シルデナフィル(レバチオ)、タダラフィル(アドシルカ)〔2.2参照〕[これらの薬剤の血中濃度を上昇させるおそれがある(ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
- ブロナンセリン(ロナセン)〔2.2参照〕[ブロナンセリンの血中濃度が上昇し作用が増強するおそれがある(ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
- アゼルニジピン(カルブロック)、アゼルニジピン・オルメサルタン メドキソミル(レザルタス配合錠)〔2.2参照〕[アゼルニジピンの血中濃度が上昇し作用が増強するおそれがある(ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
- ルラシドン(ラツーダ)〔2.2参照〕[ルラシドンの血中濃度が上昇し作用が増強するおそれがある(ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
- ロミタピド(ジャクスタピッド)〔2.2参照〕[ロミタピドの血中濃度が著しく上昇するおそれがある(ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
- フィネレノン(ケレンディア)〔2.2参照〕[フィネレノンの血中濃度が著しく上昇するおそれがある(ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
- イバブラジン(コララン)〔2.2参照〕[イバブラジンの血中濃度が上昇し過度の徐脈があらわれることがある(コビシスタットのCYP3A阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
- ベネトクラクス(再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の用量漸増期)(ベネクレクスタ)〔2.2参照〕[ベネトクラクスの血中濃度が上昇し腫瘍崩壊症候群の発現が増強する可能性がある(コビシスタットのCYP3A阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
- イサブコナゾニウム硫酸塩(クレセンバ)〔2.2参照〕[イサブコナゾールの血中濃度が上昇し作用が増強するおそれがある(コビシスタットのCYP3A阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
- グラゾプレビル(グラジナ)〔2.2参照〕[グラゾプレビルの血中濃度が上昇する可能性がある(ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A及びOATP1B阻害作用により、グラゾプレビルの血中濃度が上昇することがある)]。
- リバーロキサバン(イグザレルト)、チカグレロル(ブリリンタ)〔2.2参照〕[これらの薬剤の血中濃度が上昇し作用が増強されることにより出血の危険性が増大するおそれがある(ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用又はP糖蛋白阻害作用により、これらの薬剤の血中濃度が上昇することがある)]。
- 併用注意:
- デキサメタゾン(全身投与)[ダルナビル及びコビシスタットの血中濃度が低下し本剤の効果が減弱するおそれがあるので、併用する場合には注意して投与すること(デキサメタゾンのCYP3A誘導作用により、ダルナビル及びコビシスタットの代謝が促進される)]。
- アトルバスタチン〔16.7.2参照〕[アトルバスタチンの血中濃度上昇により横紋筋融解症が起こる可能性があるので、併用する場合には必要に応じてアトルバスタチンの投与量を減量するなど注意して投与すること(ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
- サルメテロール[サルメテロールの血中濃度上昇でQT延長・動悸・洞性頻脈などの心血管系事象の発現リスク増大する可能性があるので、併用する場合には必要に応じてサルメテロールの投与量を減量するなど注意して投与すること(ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
- シルデナフィル(バイアグラ)、タダラフィル(シアリス・ザルティア)〔16.7.2参照〕、クロラゼプ酸、ジアゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ゾルピデム、アミオダロン、ベプリジル、ジソピラミド、リドカイン(全身投与)、キニジン、シクロスポリン、タクロリムス、シロリムス、テムシロリムス、クロナゼパム、エトスクシミド、Ca拮抗剤(アゼルニジピンは併用禁忌)(フェロジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、アムロジピン、ジルチアゼム、ベラパミル等)、フルチカゾン、ブデソニド、プレドニゾロン、ダサチニブ、エベロリムス、ニロチニブ、ラパチニブ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ボセンタン、アピキサバン、エプレレノン、トルバプタン、エレトリプタン[これらの薬剤の血中濃度を上昇させる可能性があるので、併用する場合には必要に応じて併用薬剤の投与量を減量するなど注意して投与すること(ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
- ダビガトランエテキシラート〔16.7.2参照〕[これらの薬剤の血中濃度を上昇させる可能性があるので、併用する場合には必要に応じて併用薬剤の投与量を減量するなど注意して投与すること(ダルナビル及びコビシスタットのP糖蛋白阻害作用による)]。
- アミトリプチリン、イミプラミン、パロキセチン、ノルトリプチリン、セルトラリン、トラゾドン〔16.7.2参照〕、リスペリドン、ペルフェナジン、クエチアピン、フェンタニル、オキシコドン、トラマドール、プロパフェノン、トルテロジン、デキストロメトルファン[これらの薬剤の血中濃度を上昇させる可能性があるので、併用する場合には必要に応じて併用薬剤の投与量を減量するなど注意して投与すること(ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A又はCYP2D6阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
- ベネトクラクス(再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の維持投与期、急性骨髄性白血病)[ベネトクラクスの血中濃度が上昇し副作用が増強するおそれがあるので、ベネトクラクスを減量するとともに患者の状態を慎重に観察すること(コビシスタットのCYP3A阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
- カルベジロール、メトプロロール、チモロール、フレカイニド、メキシレチン[これらの薬剤の血中濃度を上昇させる可能性があるので、併用する場合には必要に応じて併用薬剤の投与量を減量するなど注意して投与すること(コビシスタットのCYP2D6阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
- ロスバスタチン、プラバスタチン、ピタバスタチン〔16.7.2参照〕[これらの薬剤の血中濃度上昇により横紋筋融解症が起こる可能性があるので、併用する場合には必要に応じて併用薬剤の投与量を減量するなど注意して投与すること(機序不明)]。
- ジゴキシン〔16.7.2参照〕[ジゴキシンの血中濃度を上昇させる可能性があるので、併用する場合には必要に応じてジゴキシンの投与量を減量するなど注意して投与すること(ダルナビル及びコビシスタットのP糖蛋白阻害作用による)]。
- コルヒチン〔2.3、9.2.1、9.3.1参照〕[コルヒチンの血中濃度を上昇させる可能性があるので、併用する場合には必要に応じてコルヒチンの投与量を減量するなど注意して投与すること(ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用又はP糖蛋白阻害作用による)]。
- グレカプレビル・ピブレンタスビル[グレカプレビルの血中濃度を上昇させる可能性があるので、併用する場合には必要に応じてグレカプレビル・ピブレンタスビルの投与量を減量するなど注意して投与すること(ダルナビル及びコビシスタットのP糖蛋白、BCRP又はOATP1B阻害作用による)]。
- ドロスピレノン[ドロスピレノンの血中濃度を上昇させる可能性があるので、併用する場合には必要に応じてドロスピレノンの投与量を減量するなど注意して投与すること(機序不明)]。
- 経口避妊剤(エチニルエストラジオール、ノルエチステロン等)〔16.7.2参照〕[これらの薬剤の血中濃度を低下させる可能性があるので、本剤を投与する場合は、別の避妊方法を行うことが望ましい(機序不明)]。
- メサドン〔16.7.2参照〕[メサドンの血中濃度を低下させる可能性があるので、併用する場合には注意して投与すること(機序不明)]。
- リファブチン〔16.7.2参照〕[ダルナビル及びコビシスタットの血中濃度が低下し本剤の効果が減弱するおそれがあり、また、リファブチンの血中濃度を上昇させる可能性があるので、併用する場合には必要に応じて本剤又はリファブチンの投与量を調節するなど注意して投与すること(リファブチンのCYP3A誘導作用により、ダルナビル及びコビシスタットの代謝が促進され、また、ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用により、リファブチンの代謝が阻害される)]。
- クラリスロマイシン、エリスロマイシン〔16.7.2参照〕、イトラコナゾール、ケトコナゾール(国内では外用剤のみ発売)、ボリコナゾール、フルコナゾール〔16.7.2参照〕[ダルナビル・コビシスタット又はこれらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性があるので、併用する場合には必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど注意して投与すること(ダルナビル及びコビシスタットとこれらの薬剤のCYP3A阻害作用により、相互に代謝が阻害される)]。
- ワルファリン〔16.7.2参照〕[ワルファリンの血中濃度に影響を与えることがあるので、併用する場合には必要に応じて本剤又はワルファリンの投与量を調節するなど注意して投与すること(ダルナビル及びコビシスタットの薬物代謝酵素阻害作用により、血中濃度に変化がおこることがある)]。
- ヌクレオシド/ヌクレオチド系逆転写酵素阻害剤(NRTI/NtRTI):テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩〔16.7.2参照〕[テノホビルの血中濃度を上昇させる可能性があるが、用量を調節する必要はない、また、本剤と併用する場合には、定期的にクレアチニンクリアランスを測定するなど観察を十分に行い、腎機能のモニタリングを行うこと(ダルナビル及びコビシスタットのP糖蛋白阻害作用による)]。
非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI):
①. エトラビリン、エファビレンツ、ネビラピン〔16.7.2参照〕[ダルナビル及び/又はコビシスタットの血中濃度が低下する可能性があるので、本剤とこれらの薬剤との併用は避けることが望ましい(これらの薬剤のCYP3A誘導作用により、ダルナビル及びコビシスタットの代謝が促進される)]。
②. リルピビリン〔16.7.2参照〕[リルピビリンの血中濃度を上昇させる可能性があるが、本剤とリルピビリンを併用する場合には、用量を調節する必要はない(ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用により、リルピビリンの代謝が阻害される)]。
インテグラーゼ阻害剤:ラルテグラビル〔16.7.2参照〕[ダルナビルの血中濃度を減少させる可能性があるが、本剤とラルテグラビルを併用する場合には、用量を調節する必要はない(機序不明)]。
その他のHIV薬:マラビロク〔16.7.2参照〕[マラビロクの血中濃度を上昇させる可能性がある(ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用により、マラビロクの代謝が阻害される)]。
(過量投与)
- 処置
過量投与時、ダルナビル及びコビシスタットは血漿蛋白結合率が高いため、透析により除去されないと考えられる。
(その他の注意)
- 臨床使用に基づく情報
1.1. 健康被験者あるいは軽度から中等度の腎機能障害を有する被験者の腎機能(GFR)に及ぼすコビシスタットの影響を検討した。イオヘキソールクリアランスは変化がなかったが、血清クレアチニン値を用いた推算クレアチニンクリアランス及び24時間内因性クレアチニンクリアランスはプラセボに比べ最大で約28%低下した。なお、健康被験者で腎血漿流量を測定したところ、変化はなかった。
- 非臨床試験に基づく情報
2.1. ダルナビルの動物実験(ラット)では、造血系に影響、血液凝固系に影響、肝に影響、腎に影響、膵臓に影響及び甲状腺に影響が認められ、活性化部分トロンボプラスチン時間延長とともに、わずかな赤血球パラメータ減少がみられた。
2.2. 生後23から26日(ヒトの3歳未満に相当)まで、幼若ラットにダルナビルを20mg/kgから1000mg/kgの用量で投与した結果、死亡例が認められた〔2.4、9.7.1参照〕。
2.3. マウス及びラットを用いたダルナビルのがん原性試験の結果、雌雄に用量依存的な肝細胞腺腫及び肝細胞癌の発現率の増加、ダルナビルで雄ラットに甲状腺濾胞細胞腺腫が認められた。
(取扱い上の注意)
小児の手の届かない所に保管すること。
(保管上の注意)
室温保存。