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ヴィキラックス配合錠
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効果・効能

  1. セログループ1のC型慢性肝炎又はセログループ1のC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善。セログループ1:ジェノタイプ1。

  2. セログループ2のC型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善。セログループ2:ジェノタイプ2。

(効能・効果に関連する使用上の注意)

  1. 本剤の使用に際しては、HCV RNAが陽性であることを確認する。

  2. セログループ1(ジェノタイプ1)においては、肝予備能、臨床症状等により非代償性肝硬変でないことを確認する。また、セログループ2(ジェノタイプ2)においては、組織像又は肝予備能、血小板数等により肝硬変でないことを確認する。

  3. セログループ2(ジェノタイプ2)においては、IFN製剤による治療経験の有無等により、有効性が異なるため、本剤によるベネフィット・リスクを考慮したうえで、投与の可否を判断する。

  4. 本剤をHIV/HCV重複感染患者に使用する場合、抗HIV療法によってHIVのウイルス学的抑制が得られている患者にのみ投与する(本剤に含まれるリトナビルにより、HIVプロテアーゼ阻害剤に対する耐性を生じる恐れがある)。

用法・用量

  1. セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善の場合:1日1回2錠(オムビタスビルとして25mg、パリタプレビルとして150mg及びリトナビルとして100mg)を食後に経口投与し、投与期間は12週間とする。

  2. セログループ2(ジェノタイプ2)のC型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善の場合:リバビリンとの併用において、1日1回2錠(オムビタスビルとして25mg、パリタプレビルとして150mg及びリトナビルとして100mg)を食後に経口投与し、投与期間は16週間とする。

(用法・用量に関連する使用上の注意)

セログループ2(ジェノタイプ2)において、本剤と併用するリバビリンの投与量は、リバビリンの添付文書に定められた用法・用量に従う(併用にあたっては、投与開始前にヘモグロビン量が12g/dL以上であることを確認する)、また、投与中にリバビリンの用量調節や投与中止を必要とする副作用が発現した場合には、リバビリンの添付文書を参照する。

副作用

セログループ1(ジェノタイプ1):ジェノタイプ1bのC型慢性肝炎患者又はC型代償性肝硬変患者を対象に本剤を投与した国内第3相試験において副作用(臨床検査値異常を含む)は363例中105例(28.9%)に認められた。主な副作用として末梢性浮腫15例(4.1%)、頭痛12例(3.3%)、悪心10例(2.8%)が認められた(承認時)。

セログループ2(ジェノタイプ2)(リバビリンとの併用):国内第3相試験においてジェノタイプ2のC型慢性肝炎患者で副作用(臨床検査値異常を含む)は160例中98例(61.3%)に認められた。主な副作用として貧血36例(22.5%)、血中ビリルビン増加29例(18.1%)、そう痒14例(8.8%)が認められた(承認時)。

  1. 重大な副作用

    1. セログループ1(ジェノタイプ1)
      1. (セログループ1(ジェノタイプ1))体液貯留:末梢性浮腫(4.1%)、浮腫(1.4%)、顔面浮腫(0.6%)、肺水腫(0.3%)が現れることがあり、低血圧(1.1%)、無尿(0.3%)に至った例も報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う(なお、体液貯留はCa拮抗剤を併用している患者で現れやすい)。
      2. (セログループ1(ジェノタイプ1))肝機能障害、肝不全:ALT上昇(基準値上限5倍超)(GPT上昇(基準値上限5倍超))(0.3%)、ビリルビン上昇(基準値上限3倍超)(0.3%)等を伴う肝機能障害が現れることがあり、また、肝酵素上昇の有無にかかわらず、血中ビリルビン値が著しく上昇し、腹水、肝性脳症等を伴う肝不全が現れることがあるので、肝機能異常が認められた場合はより頻回に検査を行い、観察を十分に行い、悪化が認められた場合は投与を中止するなど適切な処置を行う。ALTが基準値上限の10倍を持続的に超える(GPTが基準値上限の10倍を持続的に超える)場合、あるいは肝不全の徴候が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
      3. (セログループ1(ジェノタイプ1))急性腎不全(頻度不明):急性腎不全が現れることがあるので、定期的に腎機能検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行う。
    2. セログループ2(ジェノタイプ2)(リバビリンとの併用)
      1. (セログループ2(ジェノタイプ2)(リバビリンとの併用))体液貯留:末梢性浮腫(1.9%)、浮腫(0.6%)、顔面浮腫、肺水腫が現れることがあり、低血圧(0.6%)、無尿に至った例も報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う(なお、体液貯留はCa拮抗剤を併用している患者で現れやすい)。
      2. (セログループ2(ジェノタイプ2)(リバビリンとの併用))肝機能障害、肝不全:ALT上昇(基準値上限5倍超)(GPT上昇(基準値上限5倍超))(1.3%)、ビリルビン上昇(基準値上限3倍超)(3.8%)等を伴う肝機能障害が現れることがあり、また、肝酵素上昇の有無にかかわらず、血中ビリルビン値が著しく上昇し、腹水、肝性脳症等を伴う肝不全が現れることがあるので、肝機能異常が認められた場合はより頻回に検査を行い、観察を十分に行い、悪化が認められた場合は投与を中止するなど適切な処置を行う。ALTが基準値上限の10倍を持続的に超える(GPTが基準値上限の10倍を持続的に超える)場合、あるいは肝不全の徴候が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
      3. (セログループ2(ジェノタイプ2)(リバビリンとの併用))急性腎不全(頻度不明):急性腎不全が現れることがあるので、定期的に腎機能検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行う。
      4. (セログループ2(ジェノタイプ2)(リバビリンとの併用))貧血:貧血(10.1%)が現れることがあるので、ヘモグロビン量を定期的に測定するなど観察を十分に行い、ヘモグロビン量減少を認めた場合は、リバビリンの添付文書に従いリバビリンの用量を調節するなど、適切な処置を行う。
  2. その他の副作用:次の副作用が報告されている。次のような症状が現れた場合には、症状に応じて適切な処置を行う。

    1. セログループ1(ジェノタイプ1)
      1. 消化器(セログループ1(ジェノタイプ1)):(5%未満)腹部不快感、便秘、心窩部不快感、胃炎、悪心、口内炎。
      2. 循環器(セログループ1(ジェノタイプ1)):(5%未満)動悸。
      3. 精神神経(セログループ1(ジェノタイプ1)):(5%未満)頭痛。
      4. 血液(セログループ1(ジェノタイプ1)):(5%未満)貧血。
      5. 皮膚(セログループ1(ジェノタイプ1)):(5%未満)脱毛症、皮脂欠乏性湿疹、紅斑、皮膚そう痒、発疹。
      6. 呼吸器(セログループ1(ジェノタイプ1)):(5%未満)鼻咽頭炎。
      7. 過敏症(セログループ1(ジェノタイプ1)):(頻度不明)過敏症反応(舌腫脹、口唇腫脹を含む)。
      8. 臨床検査(セログループ1(ジェノタイプ1)):(5%未満)AST上昇(GOT上昇)、Al-P上昇、血圧低下、クレアチニンクリアランス減少、尿中蛋白陽性、尿比重減少、尿中白血球エステラーゼ陽性。
    2. セログループ2(ジェノタイプ2)(リバビリンとの併用)
      1. 消化器(セログループ2(ジェノタイプ2)(リバビリンとの併用)):(5%未満)腹部不快感、便秘、心窩部不快感、胃炎、悪心、口内炎。
      2. 循環器(セログループ2(ジェノタイプ2)(リバビリンとの併用)):(5%未満)動悸。
      3. 精神神経(セログループ2(ジェノタイプ2)(リバビリンとの併用)):(5%以上)頭痛、(5%未満)不眠症。
      4. 皮膚(セログループ2(ジェノタイプ2)(リバビリンとの併用)):(5%以上)皮膚そう痒、(5%未満)脱毛症、皮脂欠乏性湿疹、紅斑、発疹。
      5. 呼吸器(セログループ2(ジェノタイプ2)(リバビリンとの併用)):(5%未満)鼻咽頭炎。
      6. 過敏症(セログループ2(ジェノタイプ2)(リバビリンとの併用)):(頻度不明)過敏症反応(舌腫脹、口唇腫脹を含む)。
      7. 全身症状(セログループ2(ジェノタイプ2)(リバビリンとの併用)):(5%未満)無力症、疲労。
      8. 臨床検査(セログループ2(ジェノタイプ2)(リバビリンとの併用)):(5%以上)網状赤血球数増加、(5%未満)AST上昇(GOT上昇)、Al-P上昇、血圧低下、クレアチニンクリアランス減少、尿中蛋白陽性、尿比重減少、尿中白血球エステラーゼ陽性。

使用上の注意

(警告)

本剤は、ウイルス性肝疾患の治療に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される患者に対してのみ投与する。

(禁忌)

  1. 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者。

  2. 中等度以上(Child-Pugh分類B又はC)の肝機能障害のある患者。

  3. 次の薬剤を投与中の患者:アゼルニジピン投与中、トリアゾラム投与中、ミダゾラム投与中、ブロナンセリン投与中、ピモジド投与中、エルゴタミン酒石酸塩投与中、ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩投与中、エルゴメトリンマレイン酸塩投与中、メチルエルゴメトリンマレイン酸塩投与中、シルデナフィルクエン酸塩(レバチオ)投与中、タダラフィル(アドシルカ)投与中、リバーロキサバン投与中、バルデナフィル塩酸塩水和物投与中、リオシグアト投与中、シンバスタチン投与中、アトルバスタチンカルシウム水和物投与中、カルバマゼピン投与中、フェニトイン投与中、ホスフェニトインナトリウム水和物投与中、フェノバルビタール投与中、リファンピシン投与中、エファビレンツ投与中、セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品摂取中(St.John’sWort)、エチニルエストラジオール含有製剤投与中。

  4. 腎機能障害又は肝機能障害のある患者で、コルヒチンを投与中の患者。

(慎重投与)

B型肝炎ウイルス感染の患者又は既往感染者[再活性化する恐れがある]。

(重要な基本的注意)

  1. 肝機能障害が現れることがあるので、本剤投与中は定期的に肝機能検査を行う。肝機能障害は主に本剤投与開始4週以内に現れやすいので、投与開始初期は必要に応じてより頻回に肝機能検査を行う。肝酵素上昇の有無にかかわらず、血中ビリルビン値が著しく上昇し、腹水、肝性脳症等を伴う肝不全が現れることがあるので、患者の状態を十分に観察し、肝不全の徴候が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。

  2. B型肝炎ウイルス感染の患者又は既往感染者(HBs抗原陰性かつHBc抗体陽性又はHBs抗原陰性かつHBs抗体陽性)において、C型肝炎直接型抗ウイルス薬を投与開始後、C型肝炎ウイルス量が低下する一方B型肝炎ウイルス再活性化が報告されているので、本剤投与に先立って、B型肝炎ウイルス感染の有無を確認し、B型肝炎ウイルス感染の患者又は既往感染者に本剤を投与する場合は、HBV DNA量等のB型肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意する。

  3. 本剤投与前及び投与開始後は定期的に腎機能検査(血清クレアチニン、BUN等)を行う(特に、腎機能低下している患者、Ca拮抗剤を併用している患者では、急激に腎機能悪化することがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う)。

  4. セログループ2(ジェノタイプ2)に対しては、リバビリンと併用するため、リバビリンの添付文書に記載されている、警告、禁忌、慎重投与、重要な基本的注意、重大な副作用等の使用上の注意を必ず確認する。

(相互作用)

オムビタスビルはアミド加水分解を経由し酸化的に代謝される。オムビタスビルはP糖蛋白(P-gp)の基質である。パリタプレビルはP-gp、乳癌耐性蛋白(BCRP)、有機アニオントランスポーター(OATP1B1/1B3)の基質であり阻害剤である。

パリタプレビル及びリトナビルは主にCYP3A4/5で代謝される。リトナビルはP-gpの基質であり阻害剤である。またCYP3A4及びBCRPの阻害作用を有する。CYP3A、P-gp、BCRP、OATP1B1/1B3を基質とする薬剤との併用はこれら薬剤の血中濃度を上昇させる恐れがあるため、用量調節や十分な観察を行う。

  1. 併用禁忌

    1. アゼルニジピン(カルブロック等)、トリアゾラム(ハルシオン等)、ミダゾラム(ドルミカム、ミダフレッサ等)、ブロナンセリン(ロナセン)、ピモジド(オーラップ)、エルゴタミン酒石酸塩(クリアミン)、ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩(ジヒデルゴット等)、エルゴメトリンマレイン酸塩(エルゴメトリン)、メチルエルゴメトリンマレイン酸塩(メテルギン等)、シルデナフィルクエン酸塩(肺高血圧症に適応される製剤)(レバチオ)、タダラフィル(肺高血圧症に適応される製剤)(アドシルカ)、リバーロキサバン(イグザレルト)、バルデナフィル塩酸塩水和物(レビトラ)[これらの薬剤の血中濃度が上昇し重篤な又は生命に危険を及ぼすような副作用が発現しやすくなる恐れがある(リトナビルのCYP3A4阻害作用によりこれら薬剤の血中濃度が大幅に上昇するため)]。
    2. リオシグアト(アデムパス)[これらの薬剤の血中濃度が上昇し重篤な又は生命に危険を及ぼすような副作用が発現しやすくなる恐れがある(リトナビルのCYP3A4阻害作用ならびにリトナビルとパリタプレビルのP-gp及びBCRP阻害作用によるものと考えられる)]。
    3. シンバスタチン(リポバス等)、アトルバスタチンカルシウム水和物(リピトール等)[これらの薬剤の血中濃度が上昇し重篤な又は生命に危険を及ぼすような副作用が発現しやすくなる恐れがある(リトナビルのCYP3A4阻害作用及びパリタプレビルのOATP阻害作用によるものと考えられる)]。
    4. カルバマゼピン(テグレトール等)、フェニトイン(アレビアチン等)、ホスフェニトインナトリウム水和物(ホストイン)、フェノバルビタール(フェノバール等)、リファンピシン(リファジン等)、エファビレンツ(ストックリン)、セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品(St.John’s Wort)[本剤の血中濃度が低下し治療効果が減弱する恐れがある(これら中等度から強力なCYP3A誘導薬剤により本剤の代謝が促進されるため)]。
    5. エチニルエストラジオール含有製剤(オーソ、ルナベル等)[エチニルエストラジオール含有経口避妊薬を投与した患者においてALT(GPT)上昇が高頻度に認められており、なお、本剤治療終了の約2週間後から再開できる(機序不明)]。
  2. 併用注意

    1. Ca拮抗剤(アゼルニジピンを除く)(アムロジピンベシル酸塩、ニフェジピン等)[Ca拮抗剤の血中濃度が上昇する恐れがあり、臨床試験において末梢性浮腫が高頻度に報告されているので、併用に際してはCa拮抗剤を減量するなど十分注意する(リトナビルのCYP3A4阻害作用による)]。
    2. フロセミド[フロセミドの血中濃度(Cmax)が上昇する(オムビタスビル及びパリタプレビルがUGT1A1を阻害するためと考えられる)]。
    3. シルデナフィルクエン酸塩(バイアグラ)、タダラフィル(シアリス・ザルティア)[これら薬剤の血中濃度が上昇する恐れがあり、低血圧、失神、視覚障害や勃起持続等のこれら副作用が発現する恐れがある(リトナビルのCYP3A4阻害作用による)]。
    4. エレトリプタン臭化水素酸塩[エレトリプタンの血中濃度が上昇する恐れがあるので、併用は治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合に限り、副作用に対する観察を十分に行う(リトナビルのCYP3A4阻害作用によるものと考えられる)]。
    5. ロスバスタチンカルシウム
      1. ロスバスタチンカルシウム[パリタプレビルの血中濃度が上昇する恐れがある(パリタプレビル血中濃度上昇:機序不明)]。
      2. ロスバスタチンカルシウム[ロスバスタチンの血中濃度が上昇する恐れがあり、横紋筋融解症を含むミオパシーの発現リスクが高くなる恐れがある(ロスバスタチンの血中濃度上昇はパリタプレビルのOATP阻害作用ならびにパリタプレビルとリトナビルによるBCRP阻害作用によるものと考えられる)]。
    6. プラバスタチンナトリウム
      1. プラバスタチンナトリウム[パリタプレビルの血中濃度が上昇する恐れがある(パリタプレビル血中濃度上昇:機序不明)]。
      2. プラバスタチンナトリウム[プラバスタチンの血中濃度が上昇する恐れがあり、横紋筋融解症を含むミオパシーの発現リスクが高くなる恐れがある(プラバスタチンの血中濃度上昇はパリタプレビルのOATP阻害作用によるものと考えられる)]。
    7. ピタバスタチンカルシウム[ピタバスタチンの血中濃度が上昇する恐れがあり、横紋筋融解症を含むミオパシーの発現リスクが高くなる恐れがある(パリタプレビルのOATP阻害作用によるものと考えられる)]。
    8. フルバスタチンナトリウム[フルバスタチンの血中濃度が上昇する恐れがあり、横紋筋融解症を含むミオパシーの発現リスクが高くなる恐れがある(パリタプレビルのOATP阻害作用によるものと考えられる)]。
    9. オメプラゾール[オメプラゾールの血中濃度が低下する恐れがある(リトナビルのCYP2C19誘導作用によるものと考えられる)]。
    10. アルプラゾラム[アルプラゾラムの血中濃度(AUC)が上昇する(リトナビルのCYP3A4阻害作用によるものと考えられる)]。
    11. ジアゼパム、クロラゼプ酸二カリウム[ジアゼパム及びノルジアゼパムの血中濃度(AUC)が低下する(リトナビルのCYP2C19誘導作用によるものと考えられる)]。
    12. クエチアピンフマル酸塩[クエチアピンの血中濃度が上昇する恐れがある(リトナビルのCYP3A4阻害作用による)]。
    13. アミオダロン塩酸塩、ベプリジル塩酸塩水和物、キニジン硫酸塩水和物、プロパフェノン塩酸塩[これら薬剤の血中濃度が上昇する恐れがある(リトナビルのCYP3A4阻害作用による)]。
    14. ジゴキシン[ジゴキシンの血中濃度が上昇する恐れがある(パリタプレビルとリトナビルによるP-gp阻害作用によるものと考えられる)]。
    15. フルチカゾンプロピオン酸エステル[フルチカゾンの血中濃度が上昇する恐れがあり、クッシング症候群、副腎皮質機能抑制等の副作用が現れる恐れがあるので、併用は治療上の有益性がこれらの症状発現の危険性を上回ると判断される場合に限る(リトナビルのCYP3A4阻害作用による)]。
    16. サルメテロールキシナホ酸塩[サルメテロールの血中濃度が上昇する恐れがある(リトナビルのCYP3A4阻害作用による)]。
    17. アゾール系抗真菌薬(ケトコナゾール(経口剤:国内未発売)、イトラコナゾール等):
      1. アゾール系抗真菌薬(ケトコナゾール(経口剤:国内未発売)、イトラコナゾール等)[本剤の血中濃度が上昇する恐れがある(本剤の血中濃度上昇はアゾール系抗真菌薬のCYP3A/P-gp阻害作用による)]。
      2. アゾール系抗真菌薬(ケトコナゾール(経口剤:国内未発売)、イトラコナゾール等)[これらアゾール系抗真菌薬の血中濃度が上昇する恐れがある(アゾール系抗真菌薬の血中濃度上昇はリトナビルのCYP3A/P-gp阻害作用による)]。
    18. アゾール系抗真菌薬(ボリコナゾール)[本剤との併用試験は行われていないが、リトナビルとの併用でボリコナゾールの血中濃度が低下したとの報告があり、本剤との併用においてボリコナゾールの血中濃度が低下し、ボリコナゾールの効果減弱を招く恐れがあるため、ボリコナゾール使用に関するリスクベネフィット評価によりボリコナゾールの使用が妥当と判断される場合を除き、併用は避ける(あるいは他の抗真菌療法を考慮する)(リトナビルのCYP2C19誘導作用によるものと考えられる)]。
    19. コルヒチン[コルヒチンの血中濃度が上昇する恐れがあるので、コルヒチンを減量あるいは低用量から開始するなど注意する(リトナビルのCYP3A4阻害作用による)腎機能又は肝機能障害のある患者においてはコルヒチンと本剤を併用しない(リトナビルのCYP3A4阻害作用による)]。
    20. シクロスポリン
      1. シクロスポリン[シクロスポリンの血中濃度が上昇する恐れがある(シクロスポリンの血中濃度上昇はリトナビルのCYP3A4阻害作用及びパリタプレビルのOATP阻害作用による)]。
      2. シクロスポリン[パリタプレビルの血中濃度が上昇する恐れがある(パリタプレビルの血中濃度上昇はシクロスポリンのOATP、BCRP、P-gp阻害作用によるものと考えられる)]。
    21. タクロリムス水和物[タクロリムスのAUCが86倍・Cmaxが4.3倍に上昇したとの報告があるので、やむを得ない場合を除き併用は避けるが、やむを得ず併用する場合には、タクロリムスの血中濃度のモニタリング及び投与量・投与間隔の調整を行うとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意する(リトナビルのCYP3A4阻害作用による)]。
    22. エベロリムス[エベロリムスのAUCが27倍・Cmaxが4.7倍に上昇したとの報告があるので、やむを得ない場合を除き併用は避けるが、やむを得ず併用する場合には、併用薬剤の血中濃度をモニタリングするなど患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意する(リトナビルのCYP3A4阻害作用による)]。
    23. シロリムス[シロリムスのAUCが38倍・Cmaxが6.4倍に上昇したとの報告があるので、やむを得ない場合を除き併用は避けるが、やむを得ず併用する場合には、併用薬剤の血中濃度をモニタリングするなど患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意する(リトナビルのCYP3A4阻害作用による)]。
    24. ダルナビルエタノール付加物
      1. ダルナビルエタノール付加物(ダルナビルエタノール付加物1日1回投与)[パリタプレビルの血中濃度が上昇する恐れがあり、本剤含有のリトナビルが薬物動態学的増強効果をもたらすので、本剤と併用する場合はリトナビル製剤を投与しない(機序不明)]。
      2. ダルナビルエタノール付加物/リトナビル(ダルナビルエタノール付加物/リトナビル1日2回投与)[ダルナビルの血中濃度(Cmin)が低下する恐れがあり、本剤含有のリトナビルが薬物動態学的増強効果をもたらすので、本剤と同時投与する場合はリトナビル製剤と併用しない(本剤と同時投与しない場合はリトナビル製剤と併用する)(機序不明)]。
    25. アタザナビル硫酸塩、アタザナビル硫酸塩/リトナビル[パリタプレビルの血中濃度が上昇する恐れがあり、本剤含有のリトナビルが薬物動態学的増強効果をもたらすので、本剤と同時投与する場合はリトナビル製剤と併用しない(アタザナビルによるCYP3A及びOATP阻害作用及び/又はリトナビルによるCYP3A4阻害作用による)]。
    26. リトナビル含有製剤[パリタプレビルの血中濃度が上昇する恐れがあるので、リトナビル含有製剤は本剤と同時に投与しない(リトナビルのCYP3A4阻害作用による)]。
    27. リルピビリン塩酸塩[リルピビリンの血中濃度が上昇する恐れがある(リトナビルのCYP3A4阻害作用による)]。
    28. リファブチン[リファブチンの血中濃度が上昇する恐れがある(リトナビルのCYP3A4阻害作用による)]。

(高齢者への投与)

一般に高齢者では生理機能が低下しており、既往歴や合併症を伴っていることが多いので、患者の状態を観察しながら慎重に投与する。

(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)

  1. セログループ1(ジェノタイプ1):セログループ1で妊娠又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない]。

    セログループ2(ジェノタイプ2):本剤はリバビリンと併用するため、セログループ2で妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しない。また、セログループ2(ジェノタイプ2)で妊娠していないことを確認するため、治療開始に先立ちリバビリンの添付文書を参照し、妊娠検査を実施する[リバビリンの動物実験で催奇形性及び胚・胎仔致死作用が認められている]。

  2. 授乳中の婦人には投与しないが、やむを得ず投与する場合は、授乳を避けさせる[本剤成分がヒト乳汁中へ移行するかどうかは不明であるが、動物実験(ラット)で本剤由来成分が乳汁中へ移行することが報告されている(授乳ラットでは主としてパリタプレビル、パリタプレビル加水分解物質M13、オムビタスビル未変化体が認められた)]。

(小児等への投与)

小児等における安全性は確立していない[使用経験がない]。

(過量投与)

本剤に特定の解毒薬はないので、過量投与の場合は、副作用の徴候や症状を注意深く観察し、速やかに適切な対症療法を行う。

(適用上の注意)

薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導する(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。

(その他の注意)

本剤のジェノタイプ1aのC型慢性肝炎患者に対する有効性は確立していない。なお、海外で実施した臨床試験において、未治療のC型慢性肝炎患者(ジェノタイプ1a)にオムビタスビル(25mg)、パリタプレビル(200mg)、リトナビル(100mg)を12週間投与したとき、投与終了12週後のHCV RNA陰性化の割合は62.5%(5/8例)であった。