コムプレラ配合錠の添付文書
添付文書PDFファイル
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効果・効能
HIV-1感染症。
(効能・効果に関連する使用上の注意)
次のいずれかのHIV-1感染患者に使用する。
- 抗HIV薬の治療経験がなく、HIV-1 RNA量100000copies/mL以下である患者に使用する。
- ウイルス学的失敗の経験がなく、切り替え前6カ月間以上においてウイルス学的抑制が得られており、本剤の有効成分に対する耐性関連変異を持たず、本剤への切り替えが適切と判断される抗HIV薬既治療患者に使用する(ウイルス学的抑制:HIV-1 RNA量が50copies/mL未満)。
本剤による治療にあたっては、患者の治療歴及び可能な場合には薬剤耐性検査(遺伝子型解析あるいは表現型解析)を参考にする。
用法・用量
1回1錠(リルピビリンとして25mg、テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩として300mg及びエムトリシタビンとして200mgを含有)を1日1回食事中又は食直後に経口投与する。
(用法・用量に関連する使用上の注意)
本剤は、リルピビリン塩酸塩、テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩及びエムトリシタビンの固定用量を含有する配合剤であるので、リルピビリン塩酸塩、テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩又はエムトリシタビンの個別の用法・用量の調節が必要な患者には、個別のリルピビリン塩酸塩製剤、テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤又はエムトリシタビン製剤を用いる(リルピビリン塩酸塩製剤は、以下「リルピビリン製剤」、テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤は、以下「テノホビル製剤」と略す)。なお、リルピビリン製剤、テノホビル製剤及びエムトリシタビン製剤の使用にあたっては、それぞれの製品添付文書を熟読する。
本剤の有効成分であるテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を含有する製剤、エムトリシタビンを含有する製剤又はテノホビル アラフェナミドフマル酸塩を含有する製剤と併用しない。また、リルピビリンを含有する製剤は、リファブチン併用時以外は併用しない。本剤とリファブチンを併用する場合は、リルピビリン製剤を1回25mg1日1回併用する(なお、リファブチンの併用を中止した場合は、リルピビリン製剤の投与を中止する)。
中等度及び重度腎機能障害のある患者(クレアチニンクリアランス50mL/min未満又は血液透析患者)では、テノホビル製剤及びエムトリシタビン製剤により個々に用法・用量の調節が必要となるため、本剤を投与せず、個別の製剤を用いる。
副作用
未治療のHIV-1感染患者を対象としたリルピビリン製剤の外国臨床第3相試験の併合解析(96週時)において、テノホビル/エムトリシタビン製剤が併用された550例の安全性評価を行った。副作用(臨床検査値異常を含む)は91.3%(502/550例)に認められた。主な副作用は、下痢86例(15.6%)、頭痛86例(15.6%)、悪心71例(12.9%)、不眠症58例(10.5%)、浮動性眩暈57例(10.4%)、異常な夢54例(9.8%)等であった。
既治療のHIV-1感染患者を対象とした本剤の外国臨床試験の併合解析(48週時)において、366例の安全性評価を行った。副作用(臨床検査値異常を含む)は80.9%(296/366例)に認められた。主な副作用は、下痢40例(10.9%)、頭痛29例(7.9%)、疲労26例(7.1%)、不眠症26例(7.1%)であった。
重大な副作用
- 腎不全等の重度の腎機能障害(頻度不明*):急性腎障害、腎不全、腎尿細管壊死、ファンコニー症候群、近位尿細管腎症、間質性腎炎(急性間質性腎炎を含む)、腎性尿崩症等の重度腎機能障害が現れることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、臨床検査値に異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う(特に腎機能障害の既往がある患者や腎毒性のある薬剤投与中の患者では注意する)。
- 膵炎(頻度不明*):膵炎が現れることがあるので、血中アミラーゼ上昇、リパーゼ上昇、血中トリグリセリド上昇等の検査値の上昇がみられた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う。
- 乳酸アシドーシス(頻度不明*):乳酸アシドーシスが現れることがあるので、このような場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う。
- 肝機能障害(頻度不明※):AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)等を伴う肝機能障害が現れることがあるので、定期的な肝機能検査を行うなど、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う。
その他の副作用:次記の副作用が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合は適切な処置を行う。副作用の頻度は、未治療のHIV-1感染患者を対象としたリルピビリン製剤の外国臨床第3相試験(背景治療がテノホビル/エムトリシタビン製剤投与群)及び既治療のHIV-1感染患者を対象とした本剤の外国臨床試験の結果を合算し算出した。
- 血液及びリンパ系障害:(5%未満)好中球減少症、(頻度不明*)白血球減少症、好中球数減少、血小板数減少、ヘモグロビン減少。
- 免疫系障害:(5%未満)過敏症、免疫再構築症候群、(頻度不明*)血管性浮腫。
- 代謝及び栄養障害:(5%未満)食欲減退、高血糖、高トリグリセリド血症、(頻度不明*)低カリウム血症、低リン酸血症、体重減少、体脂肪再分布/体脂肪蓄積、高コレステロール血症、高脂血症、食欲亢進、低ナトリウム血症、高ナトリウム血症、低血糖、血中リン減少、LDLコレステロール増加、体重増加。
- 精神障害:(5%以上)不眠症、異常な夢、うつ病、(5%未満)睡眠障害、抑うつ気分、(頻度不明*)リビドー減退、神経過敏、不安、感情不安定。
- 神経系障害:(5%以上)頭痛(12.6%)、浮動性眩暈、(5%未満)傾眠、(頻度不明*)錯感覚、末梢性ニューロパチー、味覚異常、ニューロパチー、思考異常、振戦、前庭障害。
- 呼吸器、胸郭及び縦隔障害:(5%未満)呼吸困難、(頻度不明*)気管支炎、鼻炎、咽頭炎。
- 胃腸障害:(5%以上)下痢(13.8%)、悪心、腹痛、(5%未満)嘔吐、腹部不快感、鼓腸、消化不良、アミラーゼ増加、リパーゼ増加、口内乾燥、(頻度不明*)胃腸障害、便秘、アフタ性口内炎、胃炎、おくび、口臭。
- 肝胆道系障害:(5%未満)トランスアミナーゼ上昇、脂肪肝、肝炎、高ビリルビン血症、(頻度不明*)γ-GTP増加、肝機能異常、Al-P増加。
- 皮膚及び皮下組織障害:(5%以上)発疹、(5%未満)皮膚変色、皮膚色素過剰、(頻度不明*)皮膚そう痒症、多汗症、脱毛症、湿疹、ざ瘡、皮膚乾燥、単純ヘルペス、皮膚良性新生物、脂漏、帯状疱疹。
- 筋骨格系及び結合組織障害:(5%未満)筋力低下、(頻度不明*)骨軟化症(骨痛及びまれに骨折の原因となる)、ミオパシー、骨障害、筋痛、関節痛、背部痛、側腹部痛、筋痙攣。
- 腎及び尿路障害:(5%未満)蛋白尿、血中クレアチニン増加、多尿、(頻度不明*)頻尿、血尿。
- 一般・全身障害及び投与部位の状態:(5%以上)疲労、(5%未満)無力症、疼痛、(頻度不明*)倦怠感、胸痛、発熱、悪寒、末梢性浮腫、ほてり。
- 臨床検査:(5%未満)CK増加(CPK増加)、(頻度不明*)尿糖。
その他:(頻度不明*)視覚異常、血管拡張、感染、インフルエンザ症候群。
*:外国臨床試験(C209/C215試験及びGS-US-264-0106/GS-US-264-0111試験)では認められなかったが、リルピビリン製剤、テノホビル製剤又はエムトリシタビン製剤の外国臨床試験又は市販後で認められ、本剤においても発現が予測される副作用を頻度不明とした。
※:リルピビリンの外国臨床試験(テノホビル製剤/エムトリシタビン製剤を背景治療として併用)で認められ、本剤においても発現が予測される副作用を頻度不明とした。
使用上の注意
(警告)
B型慢性肝炎を合併している患者では、本剤の投与中止により、B型慢性肝炎が再燃する恐れがあるので、本剤の投与を中断する場合には十分注意する。特に非代償性B型慢性肝炎の場合、本剤の投与中止により、重症化する恐れがあるので注意する。
(禁忌)
リファンピシン投与中、カルバマゼピン投与中、フェノバルビタール投与中、フェニトイン投与中、ホスフェニトイン投与中、デキサメタゾン(全身投与)投与中、セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品摂取中(St.John’s Wort)、プロトンポンプ阻害剤投与中(オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、エソメプラゾール、ボノプラザンフマル酸塩)の患者。
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
(慎重投与)
不整脈を起こしやすい患者(低カリウム血症、著しい徐脈、急性心筋虚血、うっ血性心不全、先天性QT延長症候群等)又はQT延長を起こすことが知られている薬剤投与中の患者[リルピビリン75mg及び300mg投与時にQT延長が認められており、これらの患者ではQT延長により不整脈が発現する恐れがある]。
B型及び/又はC型肝炎ウイルス重複感染患者[リルピビリン製剤の外国臨床第3相試験において、肝臓関連有害事象(臨床検査値異常を含む)の発現頻度が非重複感染患者より高かった]。
高齢者。
(重要な基本的注意)
本剤の使用に際しては、患者又は患者に代わる適切な者に、次の事項についてよく説明し同意を得た後、使用する。
- 本剤はHIV感染症の根治療法薬ではないことから、日和見感染を含むHIV感染症の進展に伴う疾病を発症し続ける可能性があるので、本剤投与開始後の身体状況の変化については、すべて担当医に報告する。
- 本剤の長期投与による影響については、現在のところ不明である。
- 本剤による治療が、性的接触又は血液汚染等による他者へのHIV感染の危険を減少させることは明らかではない。
- 本剤を処方どおりに毎日服用する。また、担当医の指示なしに用量を変更したり、服用を中止したりしない。
- 本剤は併用薬剤と相互作用を起こすことがあるため、服用中のすべての薬剤を担当医に報告する。また、本剤で治療中に新たに他の薬剤を服用する場合、事前に担当医に相談する。
本剤は、HIV-1感染症に対して1剤で治療を行うものであるため、他の抗HIV薬(リファブチン併用時におけるリルピビリン製剤との併用を除く)と併用しない。また、エムトリシタビンの薬剤耐性を含むウイルス学的特性はラミブジンと類似しているので、本剤とラミブジンを含む製剤を併用しない。
リルピビリンの外国臨床第3相試験でテノホビル/エムトリシタビン製剤を併用した被験者における96週時の併合解析において、リルピビリンによるウイルス学的失敗例では、エファビレンツによるウイルス学的失敗例よりも、ラミブジン/エムトリシタビンへの耐性変異の発現割合が高かった(また、ベースラインCD4陽性リンパ球数少ない被験者[(200cells/μL]では、ベースラインCD4陽性リンパ球数が多い被験者(≧200cells/μL)と比べてウイルス学的失敗例の割合が高かった)。本剤による治療開始時には、これらの情報について考慮する。
HIVとB型肝炎ウイルス感染(HBV感染)を合併している患者では、本剤の投与中止により、急激な肝炎悪化がみられる恐れがあるので、本剤中止後数カ月間は、定期的な肝機能検査を行うなど、観察を十分に行う。B型肝炎ウイルス感染(HBV感染)を合併している患者では、本剤中止後に肝炎悪化した場合、非代償性肝不全となる可能性があるので、必要に応じて抗HBV薬の投与を考慮する。
リルピビリン製剤の外国臨床第3相試験において、B型及び/又はC型肝炎ウイルス重複感染患者では、肝臓関連有害事象(臨床検査値異常を含む)の発現頻度が非重複感染患者より高かったことから[重複感染患者33.3%(18/54例)、非重複感染患者4.9%(31/632例)]、これらの患者に投与する場合には、定期的な肝機能検査を行うなど、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う。
テノホビル製剤又はエムトリシタビン製剤を含むヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬の単独投与又はこれらの併用療法により、重篤な乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度肝腫大(脂肪肝)が、女性に多く報告されているので、乳酸アシドーシス又は肝細胞毒性が疑われる臨床症状又は肝細胞毒性が疑われる検査値異常(アミノトランスフェラーゼの急激な上昇等)が認められた場合には、本剤の投与を一時中止する(特に肝疾患の危険因子を有する患者においては注意する)。
本剤の投与に際しては、クレアチニンクリアランスを測定するなど、腎機能障害の有無に注意する。また、本剤投与後も定期的な検査等により患者の状態を注意深く観察し、腎機能障害のリスクを有する患者にはクレアチニンクリアランス及び血清リンの検査を実施する。腎毒性を有する薬剤との併用は避けることが望ましい。
本剤を含む抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で、免疫再構築症候群が報告されている(投与開始後、免疫機能が回復し、症候性のみならず無症候性日和見感染に対する炎症反応(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス、サイトメガロウイルス、ニューモシスチス等によるもの)等が発現することがあり、また、免疫機能の回復に伴い自己免疫疾患(甲状腺機能亢進症、多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、ぶどう膜炎等)が発現するとの報告があるので、これらの症状を評価し、必要時には適切な治療を考慮する)。
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を含む抗HIV薬の多剤併用療法を長期間行った患者において、骨粗鬆症が現れ、大腿骨頚部骨折等の骨折を起こした症例が報告されている。長期投与時には定期的に骨密度検査を行うなど骨密度減少に注意し、異常が認められた場合には適切な処置を行う。なお、テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩の試験において、144週間の投与により腰椎骨密度減少と大腿骨頚部骨密度減少が見られている。骨密度減少した患者の大部分は、投与開始後24~48週目にかけて発現し、以降は144週目まで持続していた。
エムトリシタビン製剤の試験において皮膚変色が発現し、その発現頻度は有色人種に高いことが示唆されている。
(相互作用)
リルピビリンは、主に薬物代謝酵素CYP3Aにより代謝されることから、CYP3A誘導剤及びCYP3A阻害剤との併用による相互作用が示唆される。
テノホビル及びエムトリシタビンは、糸球体濾過と尿細管への能動輸送により腎排出されることから、糸球体濾過を低下させる薬剤又は尿細管分泌において競合阻害する薬剤との併用により血中濃度が上昇する恐れがある。
併用禁忌:
- リファンピシン(アプテシン、リファジン等)、カルバマゼピン(テグレトール)、フェノバルビタール(フェノバール等)、フェニトイン(アレビアチン等)、ホスフェニトイン(ホストイン)、デキサメタゾン全身投与(単回投与を除く)(デカドロン等)、セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品(St.John’s Wort)[リルピビリンの血中濃度が低下し本剤の効果が減弱する恐れがある(これらの薬剤のCYP3A誘導作用により、リルピビリンの代謝が促進される)]。
- プロトンポンプ阻害剤(オメプラゾール(オメプラール、オメプラゾン)、ランソプラゾール(タケプロン)、ラベプラゾール(パリエット)、エソメプラゾール(ネキシウム)、ボノプラザンフマル酸塩(タケキャブ))[リルピビリンの血中濃度が低下し本剤の効果が減弱する恐れがある(胃内のpH上昇により、リルピビリンの吸収が低下する)]。
併用注意:
- リファブチン[リルピビリンの血中濃度が低下し本剤の効果が減弱する恐れがあるので、本剤とリファブチンを併用する場合は、リルピビリン製剤を1回25mg1日1回併用する(なお、リファブチンの併用を中止した場合は、リルピビリン製剤の投与を中止する)(リファブチンのCYP3A誘導作用により、リルピビリンの代謝が促進される)]。
- H2遮断剤(ファモチジン、シメチジン、ニザチジン、ラニチジン)[リルピビリンの血中濃度が低下し本剤の効果が減弱する恐れがあるので、これらの薬剤は、本剤投与の12時間以上前又は4時間以上後に投与する(胃内のpH上昇により、リルピビリンの吸収が低下する)]。
- 制酸剤(PPI・H2ブロッカー以外)(乾燥水酸化アルミニウムゲル、沈降炭酸カルシウム等)[リルピビリンの血中濃度が低下し本剤の効果が減弱する恐れがあるので、これらの薬剤は、本剤投与の2時間以上前又は4時間以上後に投与する(胃内のpH上昇により、リルピビリンの吸収が低下する)]。
- クラリスロマイシン、エリスロマイシン[リルピビリンの血中濃度が上昇する可能性があるので、代替としてアジスロマイシン等を考慮する(これらの薬剤のCYP3A阻害作用により、リルピビリンの代謝が阻害される)]。
- メサドン[メサドンの血中濃度が低下することがある(機序不明)]。
- レジパスビル/ソホスブビル配合錠[テノホビルの血中濃度が上昇することがあるので、副作用の発現に注意する(機序は不明であるが、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩が基質となるP糖蛋白及びBCRPに対するレジパスビルの阻害作用が関与すると考えられる)]。
- アシクロビル、バラシクロビル、ガンシクロビル、バルガンシクロビル等[これら薬剤・テノホビル・エムトリシタビンの血中濃度が上昇し有害事象を増強する恐れがある(尿細管への能動輸送により排泄される薬剤と併用する場合、排泄経路の競合により排泄が遅延し、これらの薬剤、テノホビル又はエムトリシタビンの血中濃度が上昇する恐れがある)]。
- QT延長を起こすことが知られている薬剤(アミオダロン、ソタロール等)[QT延長、心室性頻拍(Torsades de Pointesを含む)が発現する恐れがある(リルピビリン75mg及び300mg投与時にQT延長が認められている)]。
(高齢者への投与)
本剤の高齢者における薬物動態は検討されていない。高齢者では一般に肝、腎及び心機能が低下していることが多く、また、合併症、併用薬の頻度が増えることから、患者の状態を観察しながら慎重に投与する。
(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する[妊婦への投与に関する安全性は確立していない]。
授乳中の婦人には、本剤投与中は授乳を避けさせる[テノホビル及びエムトリシタビンのヒト乳汁への移行が報告されており、テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を用いた動物実験(ラット)で、テノホビルの乳汁中への移行が報告されており、また、リルピビリンは、動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されているが、ヒトにおける乳汁への移行は不明であり、なお、HIV感染女性患者は、乳児のHIV感染を避けるため、乳児に母乳を与えないことが望ましい]。
妊娠中期及び妊娠後期の妊婦に本剤を投与したとき、出産後と比較し、リルピビリン血中濃度低下が認められている。
(小児等への投与)
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児における安全性は確立していない(使用経験がない)。
(過量投与)
徴候、症状:過量投与に関するデータは限られている。リルピビリン75mg及び300mg投与時にQT延長が認められている。テノホビル製剤及びエムトリシタビン製剤を過量投与した症例は報告されておらず、過量投与時に特有の徴候や症状は不明である。
処置:本剤を過量投与した場合、バイタルサイン及び臨床症状の観察並びに心電図(QT間隔)の測定等、一般的な支持療法を行う。
(その他の注意)
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩のマウスを用いたがん原性試験(2年間)において、臨床用量におけるヒトの全身曝露量の16倍で雌に肝細胞腺腫が高頻度に発現したとの報告がある。
(保管上の注意)
防湿。