処方薬
ダクルインザ錠60mg
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効果・効能

セログループ1のC型慢性肝炎又はセログループ1のC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善。セログループ1:ジェノタイプ1。

(効能又は効果に関連する使用上の注意)

  1. 本剤の使用に際しては、HCV RNAが陽性であることを確認する。また、肝予備能、臨床症状等により、非代償性肝硬変でないことを確認する。

  2. ウイルス性肝疾患の治療に十分な知識・経験を持つ医師が臨床成績の内容を熟知した上で、投与の可否を判断する。

用法・用量

ダクラタスビルとして1回60mgを1日1回経口投与する。

本剤はアスナプレビルと併用し、投与期間は24週間とする。

(用法及び用量に関連する使用上の注意)

  1. 投与開始時は、本剤及びアスナプレビルを同時に投与し、投与開始後は用量の変更及び投与の中断をしない。但し、副作用の発現により投与の継続が困難な場合には、本剤及びアスナプレビルを同時に中断する(投与再開の可否については、リスクとベネフィットを考慮して慎重に判断し、投与を再開する場合は、本剤及びアスナプレビルを同時に再開する)。

  2. 本剤投与中は、血中HCV RNA量を測定し、ウイルス学的ブレイクスルー(投与中に血中HCV RNA量が最低値から1log10を超えて増加)が発現した場合は、本剤及びアスナプレビルの投与中止を考慮する。

副作用

本剤及びアスナプレビルを併用した国内臨床試験において、396例中241例(60.9%)に副作用が認められた。主な副作用は、ALT(GPT)増加69例(17.4%)、AST(GOT)増加57例(14.4%)、頭痛45例(11.4%)、発熱40例(10.1%)等であった(効能追加承認時)。

本剤及びアスナプレビルの併用で認められた副作用は、次のとおりである。

  1. 重大な副作用

    1. 肝機能障害、肝不全:ALT増加(基準値上限5倍超)(GPT増加(基準値上限5倍超))(8.6%)、AST増加(基準値上限5倍超)(GOT増加(基準値上限5倍超))(5.6%)、血中ビリルビン増加(基準値上限2.5倍超)(0.5%)、プロトロンビン時間延長、アルブミン低下等が現れ、黄疸、腹水、肝性脳症等を伴う肝不全に至ることがあるので、投与開始12週目までは少なくとも2週ごと、それ以降は4週ごとに肝機能検査を行い、肝機能の悪化が認められた場合には、より頻回に検査を行い、投与を中止するなど適切な処置を行う。ALTが基準値上限10倍以上に上昇(GPTが基準値上限10倍以上に上昇)した場合には、直ちに投与を中止し、再投与しない。
    2. 多形紅斑(頻度不明):多形紅斑が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う。
    3. 血小板減少(頻度不明):血小板減少が現れることがあるので、定期的に血液検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う。
    4. 間質性肺炎(頻度不明):間質性肺炎が現れることがあるので、咳嗽、呼吸困難、発熱、肺音異常(捻髪音)等が認められた場合には、胸部X線、胸部CT、血清マーカー等の検査を実施し、間質性肺炎が疑われた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
    5. 腎機能障害(頻度不明):急性腎障害等の腎機能障害が現れることがあるので、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う。
  2. その他の副作用:次のような副作用が現れた場合には、症状に応じて適切な処置を行う。

    1. 皮膚:(5%未満)発疹、皮膚そう痒症、脱毛症。
    2. 血液:(5%以上又は頻度不明)好酸球増加症(7.1%)、(5%未満)貧血。
    3. 全身症状:(5%以上又は頻度不明)発熱(10.1%)、倦怠感(6.1%)、(5%未満)疲労、悪寒。
    4. 精神・神経系:(5%以上又は頻度不明)頭痛(11.4%)、(5%未満)不眠症。
    5. 消化器:(5%以上又は頻度不明)下痢(5.8%)、悪心(5.6%)、(5%未満)食欲減退、腹部不快感、便秘、上腹部痛、口内炎、腹部膨満、嘔吐。
    6. 肝臓:(5%以上又は頻度不明)ALT増加(GPT増加)(17.4%)、AST増加(GOT増加)(14.4%)、胆嚢炎、(5%未満)血中ビリルビン増加、γ-GTP増加、血中Al-P増加。
    7. 循環器:(5%未満)高血圧。
    8. 筋・骨格系:(5%未満)関節痛、筋骨格硬直。
    9. 呼吸器:(5%未満)鼻咽頭炎、口腔咽頭痛。
    10. その他:(5%未満)リパーゼ増加、血中アルブミン減少、血中リン減少。

      発現頻度は、本剤及びアスナプレビルを併用した国内臨床試験の成績に基づき算出した。

使用上の注意

(警告)

本剤は、ウイルス性肝疾患の治療に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される患者に対してのみ投与する。

(禁忌)

  1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

  2. 次の薬剤を使用中の患者:リファンピシン使用中、リファブチン使用中、フェニトイン使用中、ホスフェニトインナトリウム水和物使用中、カルバマゼピン使用中、フェノバルビタール使用中、デキサメタゾン全身投与中、セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品使用中(St.John’s Wort)。

  3. 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人[動物実験で胚致死作用・胎仔致死作用及び催奇形性作用等が報告されている]。

(慎重投与)

B型肝炎ウイルス感染の患者又は既往感染者[再活性化する恐れがある]。

(重要な基本的注意)

  1. 本剤は、アスナプレビルと併用するため、アスナプレビルの添付文書に記載されている、警告、禁忌、併用禁忌、重要な基本的注意、重大な副作用等の「使用上の注意」を必ず確認する。

  2. 肝機能障害、肝予備能低下が現れ、肝不全に至ることがあるので、投与開始12週目までは少なくとも2週ごと、それ以降は4週ごとに肝機能検査を行い、肝機能の悪化が認められた場合には、より頻回に検査を行い、投与を中止するなど適切な処置を行う。また、肝酵素上昇の有無にかかわらず、黄疸、腹水、肝性脳症等を伴う肝不全が現れることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う。

  3. 本剤は、動物実験で胚致死作用・胎仔致死作用及び催奇形性作用等が報告されており、胎児等への影響が疑われるので、妊娠する可能性のある婦人への投与に際しては、次の点に留意する[1)本剤の投与に際しては、妊娠検査を行い、妊娠していないことを確認する、2)患者には、本剤が胎児等に悪影響を及ぼす可能性があることを十分に説明し理解させ、本剤投与中及び投与終了後5週間は適切な避妊を徹底するよう指導する(なお、本剤と併用するアスナプレビルは、エチニルエストラジオール含有製剤(経口避妊薬)の血中濃度を低下させる恐れがある)、3)本剤投与中に妊娠が確認された場合又は疑われた場合には、直ちに投与を中止する]。

  4. B型肝炎ウイルス感染の患者又は既往感染者(HBs抗原陰性かつHBc抗体陽性又はHBs抗原陰性かつHBs抗体陽性)において、C型肝炎直接型抗ウイルス薬を投与開始後、C型肝炎ウイルス量が低下する一方B型肝炎ウイルス再活性化が報告されているので、本剤投与に先立って、B型肝炎ウイルス感染の有無を確認し、B型肝炎ウイルス感染の患者又は既往感染者に本剤を投与する場合は、HBV DNA量等のB型肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意する。

  5. 急性腎障害等の腎機能障害が現れることがあるので、定期的に腎機能検査を行うなど、観察を十分に行う。

  6. C型肝炎直接型抗ウイルス薬を投与開始後、ワルファリンやタクロリムスの増量、低血糖によりインスリン等の糖尿病治療薬の減量が必要となった症例が報告されており、本剤による抗ウイルス治療に伴い、使用中の併用薬の用量調節が必要になる可能性があるので、特にワルファリン、タクロリムス等の肝臓で代謝される治療域の狭い薬剤や糖尿病治療薬を使用している患者に本剤を開始する場合には、原則、処方医に連絡するとともに、頻回にPT-INRや頻回に血中薬物濃度、頻回に血糖値のモニタリングを行うなど患者の状態を十分に観察する。

(相互作用)

本剤は、CYP3A4及びP糖蛋白(P-gp)の基質である。また、P-gp、有機アニオントランスポーター(OATP)1B1、1B3及び乳癌耐性蛋白(BCRP)の阻害作用を有する。

  1. 併用禁忌:リファンピシン(リファジン)、リファブチン(ミコブティン)、フェニトイン(アレビアチン)、ホスフェニトインナトリウム水和物(ホストイン)、カルバマゼピン(テグレトール)、フェノバルビタール(フェノバール)、デキサメタゾン全身投与(デカドロン)、セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品(St.John’s Wort)[本剤の血中濃度が低下し治療効果を減弱させる恐れがある(これらの薬剤の強力なCYP3A4の誘導作用により、本剤の代謝が促進される)]。

  2. 併用注意

    1. アゾール系抗真菌剤(ケトコナゾール、イトラコナゾール等)、HIVプロテアーゼ阻害剤(アタザナビル/リトナビル等)、コビシスタットを含有する製剤、クラリスロマイシン、テラプレビル[本剤の血中濃度が上昇する(これらの薬剤の強力なCYP3A4の阻害作用により、本剤の代謝が阻害される)]。
    2. エファビレンツ[本剤の血中濃度が低下し治療効果を減弱させる恐れがある(エファビレンツの中程度のCYP3A4の誘導作用により、本剤の代謝が促進される)]。
    3. ジゴキシン[ジゴキシンの血中濃度が上昇するので、ジゴキシンを併用する場合には、ジゴキシンの血中濃度をモニタリングし、投与量を調節する(本剤のP-gp阻害作用により、ジゴキシンのバイオアベイラビリティが増加する)]。
    4. ロスバスタチン[ロスバスタチンの血中濃度が上昇する(本剤は、OATP1B1及び1B3を介したロスバスタチンの肝臓への取り込みを阻害し、また、本剤のBCRP阻害作用により、ロスバスタチンの肝臓及び腸からの排出を阻害する)]。
    5. アトルバスタチン、フルバスタチン、シンバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン[これらの薬剤の血中濃度が上昇する(本剤は、OATP1B1及び1B3を介したこれらの薬剤の肝臓への取り込みを阻害する)]。

(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)

  1. 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しない(また、妊娠する可能性のある婦人に対しては、本剤投与中及び投与終了後5週間は適切な避妊を徹底するよう指導する)[動物実験(ラット及びウサギ)で、臨床用量におけるヒト曝露量の25倍(ラット)及び72倍(ウサギ)に相当する曝露量で、胚致死作用・胎仔致死作用及び催奇形性作用が認められているが、ヒト曝露量の4.6倍(ラット)及び16倍(ウサギ)に相当する曝露量では、胚・胎仔への影響は認められなかった、また、ヒト曝露量の4.7倍に相当する曝露量で、ラットで軽微な出生仔生存率低下及び出生仔体重減少が認められている。ヒト曝露量の2.6倍に相当する曝露量では、出生仔への影響は認められなかった]。

  2. 授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させる[動物実験(ラット)で、乳汁中に移行することが報告されている]。

(小児等への投与)

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性及び有効性は確立していない[使用経験がない]。

(過量投与)

本剤の過量投与に対する解毒剤はないので、過量投与時の処置には、バイタルサインのモニタリングや臨床症状の観察等の一般的な支持療法を行う(本剤は分子量が大きく血漿蛋白結合率が高いため、透析は本剤の血中濃度減少に有効ではない)。

(適用上の注意)

薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導する(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。

(その他の注意)

本剤及びアスナプレビルの併用療法において、ジェノタイプ1aのC型慢性肝炎患者に対する有効性は確立していない。なお、海外で実施された臨床試験において、ジェノタイプ1(1a及び1b)のC型慢性肝炎患者のうち、過去のペグインターフェロン アルファ及びリバビリンとの併用療法で無効となった患者(null responder)を対象として、本剤及びアスナプレビルを24週間併用投与したとき、投与終了24週後のHCV RNA陰性化の割合は36.4%(4/11例)であり、そのうちジェノタイプ1aの患者では22.2%(2/9例)であった。