処方薬
イマチニブ錠100mg「KN」
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効果・効能

  1. 慢性骨髄性白血病。

  2. フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病。

(効能・効果に関連する使用上の注意)

  1. 慢性骨髄性白血病については、染色体検査又は遺伝子検査により慢性骨髄性白血病と診断された患者に使用する。

  2. 急性リンパ性白血病については、染色体検査又は遺伝子検査によりフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病と診断された患者に使用する。

用法・用量

  1. 慢性骨髄性白血病の場合

    1. 慢性期:イマチニブとして1日1回400mgを食後に経口投与する。なお、血液所見、年齢・症状により適宜増減するが、1日1回600mgまで増量できる。
    2. 移行期又は急性期:イマチニブとして1日1回600mgを食後に経口投与する。なお、血液所見、年齢・症状により適宜増減するが、1日800mg(400mgを1日2回)まで増量できる。
  2. フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病の場合:イマチニブとして1日1回600mgを食後に経口投与する。なお、血液所見、年齢・症状により適宜減量する。

(用法・用量に関連する使用上の注意)

  1. 消化管刺激作用を最低限に抑えるため、本剤は食後に多めの水で服用する。

  2. 慢性骨髄性白血病については、重篤な有害事象がなく、白血病に関連がない重篤な好中球減少や血小板減少が認められず、次記に該当する場合は、【用法・用量】に従って本剤を増量することができる。

    1. 慢性骨髄性白血病については、重篤な有害事象がなく、白血病に関連がない重篤な好中球減少や血小板減少が認められず、病状が進行した場合(この場合はいつでも)、【用法・用量】に従って本剤を増量することができる。
    2. 慢性骨髄性白血病については、重篤な有害事象がなく、白血病に関連がない重篤な好中球減少や血小板減少が認められず、本剤を少なくとも3カ月以上投与しても、十分な血液学的効果がみられない場合、【用法・用量】に従って本剤を増量することができる。
    3. 慢性骨髄性白血病については、重篤な有害事象がなく、白血病に関連がない重篤な好中球減少や血小板減少が認められず、これまで認められていた血液学的効果がみられなくなった場合、【用法・用量】に従って本剤を増量することができる。
  3. 肝機能検査と用量調節:本剤投与中に肝機能検査値上昇(ビリルビン上昇、AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇))が認められた場合は次を参考に投与量を調節する。

    慢性期CML、移行期CML又は急性期CML、Ph+ALL:ビリルビン値が施設正常値上限の3倍超又はAST値が施設正常値上限の5倍超、ALT値が施設正常値上限の5倍超の場合;1)ビリルビン値が1.5倍未満に、AST、ALT値が2.5倍未満に低下するまで本剤を休薬する、2)本剤を減量して治療を再開する[慢性骨髄性白血病(CML)又はフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)]。

  4. 血液検査と用量調節:本剤投与中に好中球減少、血小板減少が認められた場合は次を参考に投与量を調節する。

    1. 慢性期CML(初回用量400mg/日):好中球数1000/mm3未満又は血小板数50000/mm3未満の場合;(1)好中球数1500/mm3以上及び血小板数75000/mm3以上に回復するまで休薬する、(2)400mg/日で治療を再開する、(3)再び好中球数が1000/mm3を下回るか、又は血小板数が50000/mm3を下回った場合は、(1)へ戻り、300mg/日で治療を再開する[慢性骨髄性白血病(CML)]。
    2. 移行期CML、急性期CML又はPh+ALL(初回用量600mg/日):好中球数500/mm3未満又は血小板数10000/mm3未満の場合(原則として、少なくとも1カ月治療を継続後(患者の全身状態に十分注意する));(1)血球減少が白血病に関連しているか否かを確認(骨髄穿刺)する、(2)白血病に関連しない場合は400mg/日に減量する、(3)血球減少が2週間続く場合は更に300mg/日に減量する、(4)白血病に関連しない血球減少が4週間続く場合は好中球数が1000/mm3以上、及び血小板数が20000/mm3以上に回復するまで休薬し、その後300mg/日で治療を再開する[慢性骨髄性白血病(CML)又はフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)]。

副作用

本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。

  1. 重大な副作用(頻度不明)

    1. 骨髄抑制:汎血球減少、白血球減少、好中球減少、血小板減少、貧血が現れることがあるので定期的に血液検査(血球数算定、白血球分画等)を実施するなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量又は投与を中止し、適切な処置を行う。
    2. 出血(脳出血、硬膜下出血):脳出血、硬膜下出血が現れることがあるので、定期的に血液検査を実施するなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量又は投与を中止し、適切な処置を行う。
    3. 消化管出血、胃前庭部毛細血管拡張症(Gastric antral vascular ectasia:GAVE):消化管出血が現れることがあるので、定期的に血液検査を実施するなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量又は投与を中止し、適切な処置を行う(なお、胃前庭部毛細血管拡張症による消化管出血では、明らかな下血や吐血等を認めずに、貧血が進行する場合もあるため留意する)。
    4. 消化管穿孔、腫瘍出血:消化管穿孔、腫瘍出血が現れることがあるので観察を十分に行い、適切な処置を行い、異常が認められた場合には、直ちに腹部CT検査等を実施して出血部位、穿孔所見の有無の確認を行い、必要に応じて投与を中止し、適切な処置を行う。
    5. 肝機能障害、黄疸、肝不全:AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、Al-P上昇、ビリルビン上昇を伴う肝機能障害、黄疸、肝不全が現れることがあるので、定期的に肝機能検査を実施するなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量又は投与を中止し、適切な処置を行う。
    6. 重篤な体液貯留(胸水、腹水、肺水腫、心膜滲出液、うっ血性心不全、心タンポナーデ):重篤な体液貯留(胸水、肺水腫、腹水、心膜滲出液、心タンポナーデ、うっ血性心不全)が現れることがあるので、体重を定期的に測定するなど観察を十分に行い、本剤投与中に急激な体重増加、呼吸困難等の異常が認められた場合には投与を中止し、利尿剤を投与するなど、適切な処置を行う。
    7. 感染症:肺炎、敗血症等の感染症が現れることがあり、また、B型肝炎ウイルス再活性化が現れることがあるので、定期的に血液検査を実施し、観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量又は投与を中止し、適切な処置を行う。
    8. 重篤な腎障害:急性腎障害等の重篤な腎障害が現れることがあるので、定期的に腎機能検査(血清クレアチニン、BUN等)を実施し、観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量又は投与を中止し、適切な処置を行う。
    9. 間質性肺炎、肺線維症:間質性肺炎、肺線維症が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
    10. 重篤な皮膚症状:中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑、剥脱性皮膚炎等の重篤な皮膚症状が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
    11. 天疱瘡:天疱瘡が現れることがあるので、水疱、糜爛、痂皮等が認められた場合には、皮膚科医と相談する。
    12. ショック、アナフィラキシー:ショック、アナフィラキシーが現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
    13. 心膜炎:心膜炎が現れることがあるので、観察を十分に行い、胸痛等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
    14. 脳浮腫、頭蓋内圧上昇:脳浮腫、頭蓋内圧上昇が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
    15. 麻痺性イレウス:麻痺性イレウスが現れることがあるので、観察を十分に行い、嘔気、嘔吐、腹痛、便秘等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
    16. 血栓症、塞栓症:深部静脈血栓症、肺塞栓症等が現れることがあるので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢疼痛、浮腫等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
    17. 横紋筋融解症:筋肉痛、脱力感、CK上昇(CPK上昇)、血中ミオグロビン上昇及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症が現れることがあるので、このような場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行う。
    18. 腫瘍崩壊症候群:腫瘍崩壊症候群が現れることがあるので、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤等の投与、透析等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察する。
    19. 肺高血圧症:肺高血圧症が現れることがあるので、観察を十分に行い、呼吸困難、胸痛等の症状が現れた場合には投与を中止するとともに、他の病因(胸水、肺水腫等)との鑑別診断を実施した上で、適切な処置を行う。
    20. 血栓性微小血管症:血栓性微小血管症が現れることがあるので、破砕赤血球を伴う貧血、血小板減少、腎機能障害等が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行う。
  2. その他の副作用(頻度不明)

    1. 皮膚:挫創、乾癬悪化、水疱性皮疹、血管浮腫、好中球浸潤・有痛性紅斑・発熱を伴う皮膚障害(Sweet病)、苔癬様角化症、扁平苔癬、点状出血、斑状出血、手足症候群、偽性ポルフィリン症、発疹、紅斑、脱毛、湿疹、皮膚そう痒、皮膚角化症、頭皮痛、疣贅、口唇炎、口唇ヘルペス、蕁麻疹、帯状疱疹、爪障害、皮膚色素沈着障害、皮膚乾燥、紫斑、皮膚色素脱失、光線過敏性反応、脂肪織炎。
    2. 精神神経系:リビドー減退、錯乱、痙攣発作、失神、頭痛、感覚減退、錯感覚、眩暈、回転性眩暈、末梢神経障害、うつ病、不安、片頭痛、記憶障害、不眠、頭重感、傾眠。
    3. :網膜出血、眼刺激、眼乾燥、黄斑浮腫、乳頭浮腫、緑内障、硝子体出血、流涙増加、眼そう痒感、結膜炎、結膜下出血、霧視、眼充血。
    4. 筋・骨格系:坐骨神経痛、関節炎、投与中止に伴う筋骨格系疼痛、骨壊死、筋痙攣、関節痛、筋肉痛、骨痛、関節のこわばり・筋のこわばり、筋痙直、腰痛、関節腫脹、筋力低下。
    5. 消化器:逆流性食道炎、大腸炎、おくび、胃腸炎、食欲亢進、憩室炎、嚥下障害、嘔気、嘔吐、下痢、食欲不振、心窩部痛、腹部膨満、腹部不快感、腹痛、鼓腸放屁、味覚異常、口内炎、口渇、膵炎、消化管潰瘍、口腔アフタ、歯周炎、胃炎、血便、便秘、消化不良、胸やけ。
    6. 肝臓:LDH低下、LDH上昇、AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、Al-P上昇、総ビリルビン上昇。
    7. 呼吸器:咳嗽、急性上気道炎、鼻炎・咽頭炎、呼吸困難、咽喉頭痛、鼻出血。
    8. 血液:リンパ球減少症、好酸球増多症、白血球増多、血小板増多。
    9. 血管障害:末梢冷感、血腫、舌血腫、潮紅、血圧上昇、血圧低下。
    10. 腎臓:腎臓痛、頻尿、尿沈渣異常、尿中ウロビリノーゲン増加、BUN上昇、血清クレアチニン上昇、尿潜血、尿蛋白。
    11. 浮腫:表在性浮腫(眼窩周囲浮腫、顔面浮腫、眼瞼浮腫等)、下肢浮腫、全身浮腫、男性性器浮腫。
    12. 生殖器:乳房腫大、乳頭痛、性的不能、女性化乳房、月経過多。
    13. 臨床検査:ACTH上昇、TSH上昇、血清リン上昇、血清総蛋白上昇、プロトロンビン時間短縮、APTT延長、フィブリノゲン増加、FDP上昇、低マグネシウム血症、血清カリウム低下、血清リン低下、血清アルブミン低下、血清カリウム上昇、血清ナトリウム低下、血清カルシウム低下、尿酸値上昇又は尿酸値低下、血糖値上昇、CK上昇(CPK上昇)、フィブリノゲン減少、CRP上昇、プロトロンビン時間延長、血糖値低下、血清総蛋白低下、血中アミラーゼ上昇。
    14. その他:頻脈、痛風、悪寒、寝汗、倦怠感、発熱、疲労感、体重増加、発汗、体重減少、脱水、耳鳴、疼痛、脱力(脱力感)、難聴、胸痛、動悸。

使用上の注意

(警告)

本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ投与する。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始する。

(禁忌)

  1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

  2. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性。

  3. ロミタピド投与中の患者。

(慎重投与)

  1. 肝障害のある患者[代謝機能が低下しているため、本剤の体内濃度が上昇する可能性があり、また、肝障害が悪化する恐れがある]。

  2. 高齢者[浮腫が現れやすい]。

  3. 心疾患又はその既往歴のある患者[症状が悪化する恐れがある]。

(重要な基本的注意)

  1. 本剤投与によって、体液貯留(胸水、肺水腫、腹水、心膜滲出液、心タンポナーデ、うっ血性心不全)が現れることがあるので、体重を定期的に測定するなど観察を十分に行い、本剤投与中に急激な体重増加、呼吸困難等の異常が認められた場合には投与を中止し、利尿剤を投与するなど、適切な処置を行う。

  2. 本剤投与によって、重篤な肝機能障害が現れることがあるので、投与開始前と投与後は1カ月毎、あるいは患者の状態に応じて肝機能検査(ビリルビン、AST(GOT)、ALT(GPT)及びAl-P等)を行い、異常が認められた場合には減量又は休薬する。

  3. B型肝炎ウイルスキャリアの患者又はB型肝炎既往感染者(HBs抗原陰性かつHBc抗体陽性又はHBs抗原陰性かつHBs抗体陽性)において、Bcr-Ablチロシンキナーゼ阻害剤の投与によりB型肝炎ウイルス再活性化が現れることがあるので、本剤投与に先立って肝炎ウイルス感染の有無を確認し、本剤投与前に適切な処置を行う(本剤の投与開始後は継続して肝機能検査や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意する)。

  4. 本剤投与中は、定期的に血液検査(血球数算定、白血球分画等)を行う。本剤投与によって、白血球減少、好中球減少、血小板減少、貧血が現れることがあるので、血液検査は投与開始前と投与後の1カ月間は毎週、2カ月目は隔週、また、その後は2~3カ月毎に行う(これらの血球減少は疾患の病期にも依存し、慢性期慢性骨髄性白血病に比べて移行期慢性骨髄性白血病や急性期慢性骨髄性白血病の患者での頻度が高い)。重篤な好中球減少又は重篤な血小板減少が現れた場合には減量又は休薬する。

  5. 眩暈、眠気、霧視等が現れることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させる。

  6. 慢性骨髄性白血病の治療では、他の抗悪性腫瘍剤との併用投与における安全性は確立されていない。フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病の治療において、本剤と高用量抗悪性腫瘍剤の併用によりトランスアミナーゼ上昇及び高ビリルビン血症を示す一過性の肝毒性が現れることがあり、また急性肝不全の報告もあることから、肝機能障害を起こす恐れのある抗悪性腫瘍剤と併用する場合は観察を十分に行う。

(相互作用)

本剤は主に薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP3A4)で代謝されるので、CYP3A4酵素の活性に影響を及ぼす薬剤と併用する場合には、注意して投与する。CYP3A4活性を阻害する薬剤又はCYP3A4によって代謝される薬剤との併用により、本剤の代謝が阻害され本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。またCYP酵素を誘導する薬剤との併用により、本剤の代謝が促進され血中濃度が低下する可能性がある。

一方、本剤はCYP3A4/5、CYP2D6及びCYP2C9の競合的阻害剤であることがin vitro試験で示されており、他のCYP3A4/5酵素により代謝される薬剤、CYP2D6酵素により代謝される薬剤及びCYP2C9酵素により代謝される薬剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。

  1. 併用禁忌:ロミタピド(ジャクスタピッド)[ロミタピドの血中濃度が著しく上昇する恐れがある(本剤のCYP3A4阻害作用により、ロミタピドの代謝が阻害されると考えられる)]。

  2. 併用注意

    1. L-アスパラギナーゼ[イマチニブ製剤との併用により肝障害の発現率が上昇したとの報告がある(機序は不明であるが、共に肝障害の副作用を有する)]。
    2. アゾール系抗真菌剤、エリスロマイシン、クラリスロマイシン
      1. アゾール系抗真菌剤[本剤の血中濃度が上昇する可能性があり、イマチニブ製剤とアゾール系抗真菌剤(ケトコナゾール)の併用で本剤のCmaxは26%増加及びアゾール系抗真菌剤(ケトコナゾール)の併用により本剤のAUCは40%増加した(これらの薬剤はCYP3A4活性を阻害することにより、本剤の代謝を阻害し、血中濃度を上昇させる可能性がある)]。
      2. エリスロマイシン、クラリスロマイシン[本剤の血中濃度が上昇する可能性がある(これらの薬剤はCYP3A4活性を阻害することにより、本剤の代謝を阻害し、血中濃度を上昇させる可能性がある)]。
    3. フェニトイン、デキサメタゾン、カルバマゼピン、リファンピシン、フェノバルビタール、セイヨウオトギリソウ(St.John’s Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
      1. フェニトイン[本剤の血中濃度が低下する可能性があり、フェニトインを長期投与中の患者にイマチニブ製剤を投与した場合、フェニトインを服用していない患者と比べイマチニブ製剤のAUCは約5分の1であった(これらの薬剤等はCYP3A4を誘導することにより、本剤の代謝を促進し、血中濃度を低下させる可能性がある)]。
      2. デキサメタゾン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品(St.John’s Wort)[本剤の血中濃度が低下する可能性がある(これらの薬剤等はCYP3A4を誘導することにより、本剤の代謝を促進し、血中濃度を低下させる可能性がある)]。
      3. リファンピシン[本剤の血中濃度が低下する可能性があり、リファンピシン投与中にイマチニブ製剤を併用投与した場合、単独投与時に比べ、イマチニブ製剤のCmax・AUCがそれぞれ54%及び74%低下した(これらの薬剤等はCYP3A4を誘導することにより、本剤の代謝を促進し、血中濃度を低下させる可能性がある)]。
    4. シンバスタチン、シクロスポリン、ピモジド、トリアゾラム、ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗剤
      1. シンバスタチン[これらの薬剤の血中濃度が上昇することがあり、イマチニブ製剤とシンバスタチンの併用により、シンバスタチンのCmax及びAUCは平均でそれぞれ2及び3倍の増加を示し、また、この相互作用には大きな個体差がみられ、Cmax及びAUCにおける比(併用/単独)の個別値はそれぞれ0.54~17.6及び0.75~15.7(最小値~最大値)の範囲であった(本剤のCYP3A4阻害作用によりCYP3A4基質薬物の代謝を阻害し、血中濃度を上昇させる可能性がある)]。
      2. シクロスポリン、ピモジド、トリアゾラム、ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗剤[これらの薬剤の血中濃度が上昇することがある(本剤のCYP3A4阻害作用によりCYP3A4基質薬物の代謝を阻害し、血中濃度を上昇させる可能性がある)]。
    5. ニロチニブ[本剤及びニロチニブの血中濃度が上昇することがあり、イマチニブ製剤とニロチニブの併用により、イマチニブ製剤のAUCは18~39%上昇、ニロチニブのAUCは18~40%上昇したとの報告がある(ニロチニブがCYP3A4及びP糖蛋白の活性を阻害して本剤の血中濃度を上昇させる可能性があり、また、本剤がCYP3A4及びP糖蛋白の活性を阻害してニロチニブの血中濃度を上昇させる可能性もある)]。
    6. ワルファリン[イマチニブ製剤との併用によりプロトロンビン比が顕著に上昇したとの報告があり、抗凝固剤の投与が必要とされる場合は、ヘパリンの投与が望ましい(本剤のCYP2C9阻害作用によりワルファリンの代謝を阻害し、血中濃度を上昇させる可能性がある)]。
    7. アセトアミノフェン[イマチニブ製剤と高用量のアセトアミノフェン(3~3.5g/日)との併用により重篤な肝障害が発現したとの報告がある(機序は不明であるが、両薬剤による肝毒性が増強される可能性がある)]。
    8. グレープフルーツジュース[本剤の血中濃度が上昇することがあるので、本剤服用中は飲食を避ける(発現機序の詳細は不明であるが、グレープフルーツジュースに含まれる成分がCYP3A4を阻害することにより、本剤の代謝を阻害し、血中濃度を上昇させる可能性がある)]。

(高齢者への投与)

  1. 一般に高齢者では、生理機能が低下しているので減量するなど注意する。

  2. イマチニブ製剤の外国臨床試験では、軽度、中等度の表在性浮腫の発現頻度は65歳以上の高齢者で若年者より高いとの成績が報告されている。

(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)

  1. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しない(また妊娠可能な女性に対しては、投与中及び投与終了後一定期間は避妊するよう指導する)[外国においてヒトでの流産や奇形児の出産が報告されており、また動物実験(妊娠ラット)では、ヒトでの最高臨床用量800mg/日にほぼ相当する(体表面積換算)100mg/kg/日を妊娠6~15日に投与することにより、着床後死亡率増加及び胎仔体重低下等の初期胚発生への影響がみられ、更に外脳、脳瘤及び頭蓋骨欠損等が発現し催奇形性が認められたことが報告されている]。

  2. 授乳中の女性には、授乳を中止させる[ヒトでイマチニブ及びその活性代謝物が、乳汁中に移行するとの報告がある]。

(小児等への投与)

  1. 低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。

  2. 小児に投与した場合、成長遅延が報告されている。

(過量投与)

国内外で過量投与例が報告されている。海外において、最大10gを服用した(単回投与)との報告がある。

  1. 徴候、症状:過量投与時、悪心、嘔吐、腹痛、下痢、食欲減退、発疹、紅斑、浮腫、疲労、筋痙縮、筋肉痛、脱力、腹水、頭痛、発熱、血清クレアチニン上昇、トランスアミナーゼ上昇、ビリルビン上昇、CK上昇(CPK上昇)、好中球数減少、血小板減少症、汎血球減少症。

  2. 処置:患者を観察し、適切な処置を行う。

(適用上の注意)

薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導する(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。

(その他の注意)

  1. 海外からの報告で、レボチロキシン補充療法を受けている甲状腺摘出患者において、イマチニブ製剤投与中に甲状腺機能低下症が現れたとの報告がある。

  2. 過量投与に関して、ラットを用いた2週間反復経口投与試験では、臨床用量800mgの約2.5倍(体表面積換算)に相当する1200mg/㎡/日(200mg/kg/日)の14日間投与により、死亡は認められていない。約7.5倍の用量である3600mg/㎡/日(600mg/kg/日)では、投与7~10日に一般状態悪化及び死亡が認められ、病理組織学的検査において広範な組織に変性病変が観察されている。

  3. ラットを用いた2週間反復経口投与試験の200mg/kg/日以上の群及びイヌを用いた2週間反復経口投与試験の30mg/kg/日以上の群で、胸腺萎縮・リンパ節萎縮等のリンパ系組織萎縮、リンパ球崩壊もしくはリンパ球枯渇がみられ、サルを用いた39週間反復経口投与試験の15mg/kg/日以上の群でマラリア感染悪化が認められたとの報告がある。

  4. イヌを用いた13週間反復経口投与試験の30mg/kg/日以上の群で精子形成低下がみられ、ラットを用いた受胎能及び初期胚発生への影響に関する試験では、交配前70日間の投与により60mg/kg/日群において、精巣重量低下、精巣上体重量低下及び運動精子率低下が認められたとの報告がある。

  5. ラットを用いた2年間のがん原性試験で、腎臓腺腫/腎臓腺癌・尿路乳頭腫(腎盂乳頭腫、膀胱乳頭腫及び尿道乳頭腫)・小腸腺癌・上皮小体腺腫・副腎良性髄質腫瘍及び副腎悪性髄質腫瘍・前胃乳頭腫/前胃扁平上皮癌・陰核腺乳頭腫・包皮腺扁平上皮癌(60mg/kg/日投与)、包皮腺乳頭腫(30及び60mg/kg/日投与)の発現頻度の増加がみられたとの報告がある。また、非腫瘍性病変として、心臓肥大及び心臓拡張の発現頻度の増加がみられたとの報告がある。

(取扱い上の注意)

安定性試験:最終包装製品を用いた加速試験(40℃、75%RH、6カ月)の結果、イマチニブ錠100mg「KN」は通常の市場流通下において3年間安定であることが推測された。

(保管上の注意)

気密容器。