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トリパレン2号輸液
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トリパレン2号輸液の添付文書

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効果・効能

経口栄養補給が不能又は不十分・経腸管栄養補給が不能又は不十分で、経中心静脈栄養に頼らざるを得ない場合の水分補給、電解質補給、カロリー補給。

用法・用量

本品は経中心静脈栄養療法の維持液として用いる。

本品200mLに対して10~12%アミノ酸注射液を100mLの割合で加えて維持液とする。1日1800mLの維持液を24時間かけて中心静脈内に持続点滴注入する。なお、症状、年齢、体重に応じて適宜増減する。

(用法・用量に関連する使用上の注意)

  1. 高カロリー輸液療法施行中にビタミンB1欠乏により重篤なアシドーシスが起こることがあるので、本剤を投与する場合には、必ず必要量(1日3mg以上を目安)のビタミンB1を併用する。

  2. 本剤には1日量1200mL中70mEqNa+及び88mEqCl-が含有されており、Na+に比べCl-が過剰に含まれるアミノ酸注射液等を混注時にこれらの薬剤に由来するCl-が増加しアシドーシスを助長するので注意する。

副作用

総症例5,497例中、臨床検査値異常を含む副作用が報告されたのは49例(0.89%)で、発現件数は55件であった(再審査終了時、1998年)。

  1. 重大な副作用

    アシドーシス:重篤なアシドーシスが現れることがある。

  2. その他の副作用:副作用が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う。

    1. 代謝異常:(0.1~5%未満)高血糖(高浸透圧性利尿、口渇)、高カリウム血症。
    2. 肝臓:(0.1~5%未満)肝障害(AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)等)。
    3. 大量・急速投与:(頻度不明)(脳浮腫、肺水腫、末梢浮腫、水中毒)、[腎障害]。

      []:キシリトール製剤でみられる副作用(第一次再評価結果その13、1977年)。

      ():維持液でみられる副作用(第一次再評価結果その14、1978年)。

使用上の注意

(警告)

ビタミンB1を併用せずに高カロリー輸液療法を施行すると重篤なアシドーシスが発現することがあるので、必ずビタミンB1を併用する。ビタミンB1欠乏症と思われる重篤なアシドーシスが発現した場合には、直ちに100~400mgのビタミンB1製剤を急速静脈内投与する。また、高カロリー輸液療法を施行中の患者では、基礎疾患及び合併症に起因するアシドーシスが発現することがあるので、症状が現れた場合には高カロリー輸液療法を中断し、アルカリ化剤の投与等の処置を行う。

(禁忌)

  1. 電解質代謝異常のある患者[症状が悪化する恐れがある]:1)高カリウム血症(乏尿、アジソン病、高窒素血症等)の患者、2)高リン血症(副甲状腺機能低下症等)の患者、3)高マグネシウム血症(甲状腺機能低下症等)の患者、4)高カルシウム血症の患者。

  2. 肝性昏睡又は肝性昏睡の恐れのある患者[本剤に混注されるアミノ酸の代謝が十分に行われないため、症状が悪化する恐れがある]。

  3. 重篤な腎障害のある患者[水分、電解質の過剰投与に陥りやすく、症状が悪化する恐れがあり、また、本剤に混注されるアミノ酸の代謝産物である尿素等が滞留し、症状が悪化する恐れがある]。

  4. アミノ酸代謝異常症の患者[本剤に混注されるアミノ酸が代謝されず、症状が悪化する恐れがある]。

  5. 遺伝性果糖不耐症の患者[果糖が正常に代謝されず、低血糖症等が発現し、更に肝不全や腎不全が起こる恐れがある]。

(慎重投与)

  1. 菌血症の患者[カテーテルが二次感染巣となることがあり、敗血症更には敗血症性ショックを起こす恐れがある]。

  2. 心不全のある患者[循環血液量を増すことから心臓に負担をかけ、症状が悪化する恐れがある]。

  3. 腎不全のある患者[水分、電解質の調節機能が低下しているので、慎重に投与する]。

  4. 閉塞性尿路疾患により尿量が減少している患者[水分、電解質の過負荷となり、症状が悪化する恐れがある]。

  5. 脱水症の患者[本症には適切な水分、電解質管理が必要であり、本剤の投与により水分、電解質等に影響を与え、症状が悪化する恐れがある]。

  6. 尿崩症の患者[本症には適切な水分、電解質管理が必要であり、本剤の投与により電解質等に影響を与え、症状が悪化する恐れがある]。

  7. 糖尿病の患者[ブドウ糖の組織への移行が抑制されているので、高血糖を生じ症状が悪化する恐れがある]。

  8. 重症熱傷のある患者[水分、電解質代謝等が著しく障害されており、慎重に投与する必要がある]。

  9. 高度アシドーシスのある患者[症状が悪化する恐れがある]。

  10. 膵障害(膵炎、膵硬化症、膵腫瘍等)のある患者[糖代謝異常等を伴うことがあり、慎重に投与する必要がある]。

  11. 肝障害のある患者[キシリトールの大量を急速投与すると、肝障害が現れる恐れがある]。

(重要な基本的注意)

  1. 高血糖、尿糖が現れる恐れがあるので、トリパレン1号輸液から開始するなど、糖濃度を徐々に高める。

  2. 急激な投与中止により低血糖を起こす恐れがあるので、投与を中止する場合には糖濃度を徐々に下げる。

(相互作用)

併用注意:ジギタリス製剤(ジゴキシン等)[不整脈等の症状が現れた場合には、投与を中止する(カルシウムにはジギタリス製剤の作用を増強することが知られている)]。

(高齢者への投与)

一般に高齢者では生理機能が低下しており、肝・腎・心等の機能障害を伴うことも多いので、投与速度を緩徐にし、減量するなど注意する。

(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)

妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する。

(小児等への投与)

小児等に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。

(適用上の注意)

  1. 投与経路:末梢静脈内には投与しない。

  2. 調製方法:本剤には10~12%アミノ酸注射液を混注して使用する。

  3. 調製時

    1. 配合変化試験の結果から、次のような製剤を配合する場合は、沈殿等の外観変化を生じることがあるので注意する;(1)アルカリ性側で安定化されている製剤、(2)水に難溶性の製剤。
    2. リン酸イオン又は炭酸イオンにより沈殿を生じるので、リン酸塩を含む製剤又は炭酸塩を含む製剤と配合しない。
    3. 脂肪乳剤と配合しない。
    4. アミノ酸注射液を混注したものは速やかに使用する。
  4. 投与前

    1. 尿量は1日500mL又は1時間あたり20mL以上あることが望ましい。
    2. 投与に際しては、感染に対する配慮をする(患者の皮膚や器具消毒)。
    3. 寒冷期には体温程度に温めて使用する。
    4. 開封後直ちに使用し、残液は決して使用しない。

(取扱い上の注意)

  1. 注射針はゴム栓の○印にまっすぐ刺す(斜めに刺すと注射針が容器頚部を貫通し、液漏れの原因となることがある)。

  2. ソフトバッグ製品は、原則として連結管を用いたタンデム方式による投与はできない。

  3. 包装内に水滴が認められるものや内容液が着色又は混濁しているものは使用しない。

  4. 容器の液目盛りはおよその目安として使用する。