処方薬
ギャバロン錠10mg

ギャバロン錠10mgの添付文書

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効果・効能

次記疾患による痙性麻痺:脳血管障害、脳性(小児)麻痺、痙性脊髄麻痺、脊髄血管障害、頸部脊椎症、後縦靱帯骨化症、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、外傷後遺症(脊髄損傷後遺症、頭部外傷後遺症)、術後後遺症(脳腫瘍術後後遺症・脊髄腫瘍術後後遺症を含む)、その他の脳性疾患、その他のミエロパチー。

用法・用量

〈成人〉

通常、成人には初回量として1日バクロフェン5~15mgを1~3回に分け食後経口投与し、以後患者の症状を観察しながら標準用量に達するまで2~3日毎に1日5~10mgずつ増量する。

標準用量は1日30mgであるが患者の本剤に対する反応には個人差があるため、年齢、症状に応じて適宜増減する。

〈小児〉

小児には、初回量として1日バクロフェン5mgを1~2回に分け食後に経口投与し、以後患者の症状を観察しながら、標準用量に達するまで2~3日毎に1日5mgずつ増量する。なお、症状、体重に応じて適宜増減する。

(標準用量)

4~6歳:1日5~15mgを2~3回に分けて食後に経口投与する。

7~11歳:1日5~20mgを2~3回に分けて食後に経口投与する。

12~15歳:1日5~25mgを2~3回に分けて食後に経口投与する。

(用法及び用量に関連する注意)

    1. 腎機能低下している患者では、低用量から投与を開始すること。特に透析を必要とするような重篤な腎機能障害を有する患者においては、1日5mgから投与を開始するなど慎重に投与すること〔9.2.1、9.2.2、11.1.1、16.5参照〕。
    1. 本剤投与中の患者において、バクロフェン髄注による治療を行う場合には、患者の状態を慎重に観察しながら、髄注による治療開始前又は治療開始後の適切な時期に本剤の減量又は漸次中止を試みること(ただし、急激な減量又は中止を避けること)。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    1. 重大な副作用
  1. 1.1. 意識障害、呼吸抑制(いずれも頻度不明):意識障害、呼吸抑制等の中枢神経抑制症状があらわれることがある(特に腎機能障害を有する患者においてあらわれやすいので注意すること)〔7.1、9.2.1、9.2.2、16.5参照〕。

  2. 1.2. 依存性(頻度不明):本剤により幻覚・錯乱等が発現したという報告があり、精神依存形成につながるおそれがある。

    1. その他の副作用
    1. 精神神経系:(5%以上)眠気(9.8%)、(1~5%未満)頭痛・頭重、知覚異常(しびれ等)、鎮静、抑うつ、(1%未満)不眠、痙攣発作、情緒不安定、筋肉痛、意識障害、不随意運動、嚥下力低下、構音障害、舌の運動障害、顔面チック、幻覚、せん妄、酩酊感、耳鳴、視神経調節障害、(頻度不明)歩行障害、痙縮増悪、眼振。
    2. 循環器:(1%未満)血圧低下、下肢うっ血、頻脈、(頻度不明)徐脈。
    3. 肝臓:(頻度不明)肝障害、AST上昇、ALT上昇。
    4. 消化器:(5%以上)悪心、(1~5%未満)食欲不振、嘔吐、胃部不快感、下痢、口渇、(1%未満)便秘、腹痛、腹部膨満感、流涎、空腹感、(頻度不明)胸やけ。
    5. 泌尿器・生殖器:(1~5%未満)尿失禁、(1%未満)排尿困難、頻尿、勃起消失。
    6. 過敏症:(1%未満)発疹、(頻度不明)蕁麻疹。
    7. 全身症状:(5%以上)脱力感、(1~5%未満)ふらつき、めまい、筋力低下、(1%未満)全身倦怠感、(頻度不明)低体温、薬剤離脱症候群。
    8. その他:(1%未満)胸部圧迫感、浮腫、発汗、(頻度不明)味覚異常、呼吸困難、血糖値上昇。

使用上の注意

(禁忌)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

(重要な基本的注意)

    1. 本剤の長期連用中に投与を急に中止すると幻覚、せん妄、錯乱、興奮状態、痙攣発作等が発現したとの報告があるので、投与を中止する場合は、用量を徐々に減量するなど慎重に行うこと。
    1. 眠気等を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう注意すること。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

  1. 1.1. てんかん患者及びその既往歴のある患者:症状を誘発するおそれがある〔9.7.1参照〕。

  2. 1.2. 精神障害のある患者:精神症状が悪化するおそれがある。

  3. 1.3. 消化性潰瘍のある患者:腹痛等の消化器系の副作用が報告されており、症状が悪化するおそれがある。

  4. 1.4. 呼吸不全のある患者:本剤の筋弛緩作用により呼吸抑制があらわれるおそれがある。

(腎機能障害患者)

  1. 2.1. 透析を必要とするような重篤な腎機能障害を有する患者:過量投与の症状(意識障害、呼吸抑制等)に注意すること〔7.1、11.1.1、13.1、13.2、16.5参照〕。

  2. 2.2. 腎機能低下のある患者:血中濃度が上昇することがある〔7.1、11.1.1、16.5参照〕。

(肝機能障害患者)

肝機能障害患者:症状が悪化するおそれがある。

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(動物実験(ラット)で胎盤を通過することが報告されており、また、妊娠中に本剤を投与した患者で、新生児に離脱症状が疑われる全身痙攣があらわれたとの報告がある)。

(授乳婦)

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒト母乳中に移行することがある)。

(小児等)

  1. 7.1. 慎重に投与すること。特にてんかんの小児及びてんかんの既往歴のある小児患者ではてんかん発作を誘発するおそれがある〔9.1.1参照〕。

  2. 7.2. 低出生体重児、新生児、乳児では臨床試験を実施していない。

(高齢者)

低用量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(生理機能が低下していることが多く、比較的低用量で筋力低下、倦怠感等があらわれることがある)。

(相互作用)

  1. 2. 併用注意
    1. 降圧薬[降圧作用を増強するおそれがある(相互に作用を増強すると考えられている)]。
    2. 中枢神経抑制薬(催眠鎮静薬、抗不安薬、麻酔薬等)、アルコール[中枢神経抑制作用を増強するおそれがある(相互に作用を増強すると考えられている)]。
    3. オピオイド系鎮痛剤(モルヒネ等)[低血圧あるいは呼吸困難等の副作用を増強するおそれがある(相互に作用を増強すると考えられている)]。

(過量投与)

    1. 症状

    過量投与時、特徴的な症状は傾眠、意識障害、呼吸抑制、昏睡等の中枢神経抑制症状である(また、痙攣、錯乱、幻覚、全身筋緊張低下、反射低下・反射消失、瞳孔反射障害、ミオクロヌス、脳波変化、低血圧、高血圧、徐脈、頻脈、不整脈、低体温等があらわれることがある)〔9.2.1参照〕。

    1. 処置

    過量投与時、特定の解毒薬は知られていないので、低血圧、高血圧、痙攣、呼吸抑制又は循環抑制等の症状に対しては対症療法(過量投与による痙攣に対するジアゼパム静脈内注射等)を行う。

    特に生命に危険が及ぶような高用量を服用した場合に早期(60分以内)に胃洗浄を実施する等、患者の状態に応じて適応を考慮すること。なお、過量投与による昏睡状態や痙攣のある患者の場合は、挿管してから洗浄を行うこと。中毒量を服用したと思われる場合は、服用後早期であれば、活性炭投与を考慮すること(また、必要な場合は緩下剤(塩類又は糖類下剤)の投与を行うこと)。本剤は主として腎から排泄されるため、過量投与時には水分の供給を十分に行い、可能ならば利尿薬を併用すること。過量投与時、腎機能低下している場合には血液透析等を考慮すること〔9.2.1、16.5参照〕。

(適用上の注意)

    1. 薬剤交付時の注意

    PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。

(その他の注意)

    1. 臨床使用に基づく情報

    本剤は錐体外路系疾患(パーキンソン症候群、アテトーシス等)の治療には適当でない。

(保管上の注意)

室温保存。