処方薬
ワゴスチグミン散(0.5%)

ワゴスチグミン散(0.5%)の添付文書

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効果・効能

1.  重症筋無力症。
1.  **消化管機能低下のみられる次記疾患**:慢性胃炎、手術後の腸管麻痺及び分娩後の腸管麻痺、弛緩性便秘症。
1.  手術後及び分娩後における排尿困難。

用法・用量

〈重症筋無力症〉

通常、成人にはネオスチグミン臭化物として1回15~30mgを1日1~3回経口投与する。

なお、症状により適宜増減する。

〈消化管機能低下のみられる3疾患並びに手術後及び分娩後における排尿困難〉

通常、成人にはネオスチグミン臭化物として1回5~15mgを1日1~3回経口投与する。

なお、年齢、症状により適宜増減する。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    1. 重大な副作用
  1. 1.1. コリン作動性クリーゼ(頻度不明)〔8.1.1、13.1参照〕。

    1. その他の副作用
    1. 過敏症:(頻度不明)過敏症状。
    2. 循環器:(0.1~5%未満)血圧降下、徐脈、頻脈。
    3. 呼吸器:(0.1~5%未満)気管支痙攣、気道分泌亢進。
    4. 消化器:(0.1~5%未満)唾液分泌過多、悪心・嘔吐、下痢、(頻度不明)腹痛。
    5. 精神神経系:(0.1~5%未満)発汗、めまい、大量投与による不安・興奮・虚脱・脱力・筋攣縮・骨格筋の線維束攣縮等。
    6. その他:(0.1~5%未満)縮瞳。

使用上の注意

(禁忌)

    1. 消化管器質的閉塞又は尿路器質的閉塞のある患者[蠕動運動を亢進させ、また排尿筋を収縮させる作用を有する]。
    1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
    1. 迷走神経緊張症の患者[迷走神経興奮作用を有する]。
    1. 脱分極性筋弛緩剤投与中(スキサメトニウム)の患者〔10.1参照〕。

(重要な基本的注意)

    1. ときに筋無力症状の重篤な悪化、呼吸困難、嚥下障害(クリーゼ)をみることがあるので、このような場合には、臨床症状でクリーゼを鑑別し、困難な場合には、エドロホニウム塩化物2mgを静脈内注射し、クリーゼを鑑別し、次の処置を行うこと。
  1. 1.1. コリン作動性クリーゼ:腹痛、下痢、発汗、唾液分泌過多、縮瞳、線維束攣縮等の症状が認められた場合又はエドロホニウム塩化物を投与したとき症状が増悪ないし不変の場合は、直ちに投与を中止し、アトロピン硫酸塩水和物0.5~1mgを静脈内注射し、更に、必要に応じて人工呼吸又は気管切開等を行い気道を確保する〔11.1.1、13.1参照〕。

  2. 1.2. 筋無力性クリーゼ:呼吸困難、唾液排出困難、チアノーゼ、全身脱力等の症状が認められた場合又はエドロホニウム塩化物を投与したとき症状の改善が認められた場合は、本剤の投与量を増加する。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

  1. 1.1. 気管支喘息の患者:気管支平滑筋を収縮させることがある。

  2. 1.2. 甲状腺機能亢進症の患者:甲状腺機能亢進症を悪化させるおそれがある。

  3. 1.3. 冠動脈閉塞のある患者:冠動脈を収縮させることがある。

  4. 1.4. 徐脈のある患者:徐脈を更に増強させるおそれがある。

  5. 1.5. 消化性潰瘍の患者:胃酸分泌を促進させることがある。

  6. 1.6. てんかんの患者:骨格筋の緊張が高まり、痙攣症状を増強させるおそれがある。

  7. 1.7. パーキンソン症候群の患者:不随意運動を増強させるおそれがある。

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。

(小児等)

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

(高齢者)

減量するなど注意すること(一般に高齢者では、生理機能が低下している)。

(相互作用)

    1. 併用禁忌

    脱分極性筋弛緩剤(スキサメトニウム塩化物水和物(スキサメトニウム、レラキシン))〔2.4参照〕[脱分極性筋弛緩剤の作用を増強する(本剤はコリンエステラーゼを阻害し、脱分極性筋弛緩剤の分解を抑制する)]。

    1. 併用注意
    1. コリン作動薬(アセチルコリン、アクラトニウムナパジシル酸塩等)[相互に作用が増強される(本剤はコリンエステラーゼを阻害し、アセチルコリン、アクラトニウムナパジシル酸塩の分解を抑制する)]。
    2. 副交感神経抑制剤(アトロピン硫酸塩水和物、スコポラミン臭化水素酸塩水和物、ブトロピウム臭化物等)[副交感神経抑制剤はコリン作動性クリーゼの初期症状を不顕性化し、本剤の過剰投与を招くおそれがあるので、副交感神経抑制剤の常用は避けること(副交感神経抑制剤は本剤の作用に拮抗する)]。

(過量投与)

    1. 症状

    過量投与時、コリン作動性クリーゼ(腹痛、下痢、発汗、唾液分泌過多、縮瞳、線維束攣縮等)があらわれることがある〔8.1.1、11.1.1参照〕。

(保管上の注意)

室温保存。