肩こりに使用される漢方薬の例と副作用などの注意点
肩こりは、長時間同じ姿勢でいたり、無理な姿勢をとったりすることで現れ、現代では長時間のデスクワークやパソコン作業によって肩こりを感じる人もいます。その他にも運動不足、冷え性、更年期障害など様々な状況で肩こりが現れます。
肩から首にかけての筋肉が緊張・硬直し、血行が悪くなるなどの身体の変化によって肩こりが引き起こされると考えられます。そこで肩周辺を運動などでほぐす対策がありますが、漢方薬の中にも肩こりなどがある状態に対して使われるものがあります。いくつかの薬の例を紹介します。
東洋医学での肩こりの考え方
漢方では体内の基本要素を、「気・血・水」として表現します。
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気:目に見えず、身体の血や水を循環させる「気」そのもの。気力・精神状態などと考えることもできます
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血:一般的に言う血液、身体に栄養などを巡らせるもの
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水:血液以外の体液(リンパ液など)。
ホルモン や免疫 物質もこちらに入ります
肩こりはその中でも、肩の気や血が滞ることで引き起こされるものとして考えることができます。これらは気滞(きたい)・瘀血(おけつ)などと呼ばれます。
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気滞:気の流れが滞ること
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瘀血:血液の循環が滞ること
肩こりに効果が期待できる漢方薬
気滞・瘀血を改善することで肩こりを和らげる漢方薬には以下のようなものがあります。
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葛根湯(かっこんとう):自然発汗がなく頭痛、発熱、悪寒、肩こり等を伴う比較的体力のある症状に使われます
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桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう):関節痛・神経痛に使われます
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桂枝加苓朮附湯(けいしかりょうじゅつぶとう):関節痛・神経痛に使われます
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桂枝茯苓丸(けいしぶくりょう
がん ):体格はしっかりしていて赤ら顔が多く、腹部が浮腫 んでおり(大体充実)、下腹部に張りがある症状に使われます。主に更年期障害などの婦人病などの症状に付随する肩こりに効果があります -
四逆散(しぎゃくさん):胸腹部に重くるしさがあるような場合の症状に使われます
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芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう):急激におこる筋肉のけいれんを伴う
疼痛 、筋肉・関節痛、胃痛、腹痛に使われます。-
※使用にあたっては、治療上必要な最小限の期間の投与にとどめることとされています
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大柴胡湯(だいさいことう):比較的体力のある人で、便秘がちで、上腹部が張って苦しく、耳鳴り、肩こりなどを伴う症状に使われます
最も即効性のある処方は芍薬甘草湯になりますが、注意書きのように、飲んでも改善を感じられない場合に長期間にわたって飲み続けるようなことは避けるべきと考えられます。また服用が適していないと考えられる場合(添付文書上の禁忌)もあり、詳しくは後述します。
桂枝加朮附湯・桂枝加苓朮附湯のように痛みをやわらげる目的で処方される漢方薬もありますが、根本的な肩こりの解消法ではなく、生活環境などの改善も含めた対応の助けとして漢方薬を服用することが考えられます。
併用などに関する注意事項
漢方薬も「薬」ですので、副作用やほかの薬との「飲み合わせ」などに関する注意点があります。
特にこのページで紹介した漢方薬の中には、カンゾウ(甘草)が構成生薬として配合されている処方が多いので、併用する薬の中に甘草が含有されているかに関して気をつける必要があります。以前より漢方薬や生薬製剤を服用されている方は、カンゾウなどが両処方に入っていないかなどを確認して下さい。
以下で個別の処方についての主な注意点を挙げます。あくまで一部の例ですので、ここに挙げた以外の注意に当てはまるかどうかは医師や薬剤師に相談してください。
葛根湯
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【慎重投与】
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著しく体力が衰えている・胃腸が虚弱である人
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食欲不振、悪心、嘔吐のある人
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発汗傾向が著しい人
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【併用注意】
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マオウ含有製剤
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エフェドリン類含有製剤
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モノアミン酸化
酵素 阻害剤 -
甲状腺 製剤 -
カテコールアミン製剤
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キサンチン系製剤
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カンゾウ含有・グリチルリチン酸およびその塩類を含む製剤
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併用注意とされている1~6の薬は、併用することで交換神経の刺激が増強されることが考えられます。7は偽
桂枝加朮附湯・桂枝加苓朮附湯
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【慎重投与】
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体力の充実している人
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暑がりで、のぼせが強く、赤ら顔の人
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【併用注意】
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カンゾウ含有・グリチルリチン酸およびその塩類を含む製剤
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併用注意とされている薬は、併用することで偽アルドステロン症などが現れやすくなる懸念があります。
桂枝茯苓丸
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【慎重投与】
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著しく体力が衰えている人
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四逆散
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【慎重投与】
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著しく体力が衰えている人
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【併用注意】
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カンゾウ含有・グリチルリチン酸およびその塩類を含む製剤
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併用注意とされている薬は、併用することで偽アルドステロン症などが現れやすくなる懸念があります。
芍薬甘草湯
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【慎重投与】
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高齢者
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【併用注意】
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カンゾウ含有・グリチルリチン酸およびその塩類を含む製剤
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ループ系利尿剤
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チアジド系利尿剤
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併用注意とされている1~3の薬は、いずれも併用することによって偽アルドステロン症などが現れやすくなる懸念があります。
大柴胡湯
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【慎重投与】
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下痢・軟便のある人
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著しく体力が衰えている・胃腸が虚弱である人
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二朮湯
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【併用注意】
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カンゾウ含有・グリチルリチン酸およびその塩類を含む製剤
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併用注意とされている薬は、併用することで偽アルドステロン症などが現れやすくなる懸念があります。