◆検査を追加すると結果は変わるのか?
マンモグラフィーの信頼性は、「乳腺密度が高い」と呼ばれるタイプの人ではいくらか下がると考えられています。そのような人に対しては特に、マンモグラフィーの結果が陰性(がんと疑われるものが見つからないこと)の場合でも、がんが隠れていないか確かめる狙いで、超音波検査やMRI、乳腺トモシンセシスといった画像検査が追加されることがあります。
この研究では、過去に報告された研究データをまとめ、マンモグラフィーが陰性だった人で、ほかの画像検査を加えることによって、乳腺密度の判定やがんの診断が変わるかどうかを検討しました。
◆発見されるがんは増えるが、偽陽性も増える
見つかったデータから、乳腺密度の判定は、画像検査を追加すると13%から19%の人で変更されると見られました。
診断について次の検査が得られました。
良い質の研究2件が、マンモグラフィーの結果が陰性だった女性に行われた超音波検査の感度は80%から83%、特異度は86%から94%、陽性的中率は3%から8%と報告した。MRIの感度は75%から100%、特異度は78%から94%、陽性的中率は3%から33%だった(3件の研究)。
乳腺トモシンセシスによるがん検出の率は、マンモグラフィーのみと比較して、1,000件の検査あたり1.4件増から2.5増の範囲だった(3件の研究)。
マンモグラフィーで陰性だった人について、実際に乳がんがある場合とない場合で、検査結果は次のようになっていました。
- 乳がんがあるとき:超音波検査は80%-83%陽性(正しく発見)、MRIは75%-100%陽性
- 乳がんがないとき:超音波検査は86%-94%陰性(正しく判断)、MRIは78%-94%陰性
ただし、マンモグラフィーで陰性だった対象者の中で乳がんがある人は少ないため、その中では超音波検査が陽性だったとしても、乳がんがあった人の割合は3%から8%であり、マンモグラフィーが陰性でMRIが陽性だった人では3%から33%でした。
乳腺トモシンセシスは、マンモグラフィーで陰性だった人延べ1,000人に検査を行うごとに、1.4件から2.5件のがんを多く見つけることができると見られました。
検査を多く受ければ、隠れた病気を見つけられる場合もあるかもしれませんが、どんなに精密な検査をしても、間違いはゼロにはなりません。どの程度の効果があるかを予想して検査を選ぶときに、こうした数字が参考になるかもしれません。
執筆者
Supplemental Screening for Breast Cancer in Women With Dense Breasts: A Systematic Review for the U.S. Preventive Services Task Force.
Ann Intern Med. 2016 Jan 12.[Epub ahead of print]
[PMID: 26757021]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。