2015.09.05 | ニュース

変形性膝関節症の軟骨を再生、幹細胞の効果は2年後にも続いていた

治療後2年間の追跡調査により分析

from Osteoarthritis and cartilage / OARS, Osteoarthritis Research Society

変形性膝関節症の軟骨を再生、幹細胞の効果は2年後にも続いていた の写真

変形性膝関節症では、軟骨破壊により膝の変形や痛みにつながることがあります。今回の研究では、間葉幹細胞という幹細胞を膝に移植して軟骨の再生を試みたところ、日常生活機能が改善したという結果を報告しました。

◆膝に幹細胞を移植し、その後の膝の機能を追跡調査

変形性膝関節症で膝の軟骨に異常が認められ、幹細胞移植を行った24名を、手術後2年間の時点で評価しました。

膝の機能や動作能力、画像状態を評価し、移植前からの変化を検証しました。

 

◆移植手術により軟骨は修復し、膝の機能や動作能力が改善

以下の結果が得られました。

臨床指標は有意に改善した(どちらもp<0.001)。

最終追跡時の臨床指標と、追跡時のMRIによるMOAKS、MOCARTスコアは有意に関連していた(すべてp<0.05)。

膝に幹細胞を移植すると、2年後の膝の機能や動作能力は改善し、その改善と軟骨の修復程度は関連しているという結果でした。

筆者らは、「[...]間葉幹細胞移植は、変形性膝関節症における軟骨障害の修復に有用であると思われる。」と結論付けています。

 

変形性膝関節症により、膝の軟骨が壊れてしまうと自然に治ることは困難です。衝撃を吸収する働きをもつ軟骨の破壊により、骨に負担がかかり、変形や痛みの発生につながります。そのような状況に明るい情報かもしれません。今後のさらなる検証に期待します。

執筆者

Shuhei Fujimoto

参考文献

Assessment of clinical and MRI outcomes after mesenchymal stem cell implantation in patients with knee osteoarthritis: a prospective study.

Osteoarthritis Cartilage. 2015 Aug 26

[PMID: 26318655]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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