◆痛みの強さと痛みの破局化、運動への恐怖感、うつ症状との関連を検証
痛みの破局化とは、痛みに対する無力感や悲観的な感情といった思考のことです。この思考があると、痛みをより強く感じることがあると言われています。
今回の研究では、134名の外傷患者を対象に、痛みを感じる強さと痛みの破局化、うつ症状などといった精神社会的要因の関連を検証しました。
◆痛みの強さには、痛みの破局化とうつ症状が関連
以下の結果が得られました。
4週間時点での痛みの破局化は、1年時点での痛みの強さ(β=0.67、p<0.001)と痛みの干渉(β=0.38、p=0.03)に関連していた。
4週間時点でのうつ症状は、1年時点での痛みの強さ(β=0.49、p<0.001)、痛みの干渉(β=0.51、p<0.001)、身体の健康(β=-0.32、p=0.01)と関連していた。
1年後の痛みの強さには、入院後4週間時点での痛みの破局化やうつ症状が関連していました。
筆者らは、「破局化の行動パターンやうつ症状は、下肢の外傷後に、痛みをより重症化し、機能をより悪化することと関連している。」と結論付けています。
痛みの原因は、傷や骨折といった機械的な原因によるものが多いと一見思いがちですが、実はケガに対する認識や精神状況にも関連するという論文でした。このような関連性が、今後治療方法が発展するためのヒントになるかもしれません。
執筆者
Psychosocial Factors Predict Pain and Physical Health After Lower Extremity Trauma.
Clin Orthop Relat Res. 2015 Aug 18
[PMID: 26282387]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。