◆12週間の禁煙補助薬を飲んだ前後で禁煙の効果を比較
今回の研究は、70名の禁煙治療を受けた人のうち、禁煙に成功した人と失敗した人の間で、血圧や動脈硬化の指標を比較し検証しました。
◆上腕血圧に変化見られず、その他は禁煙で改善
調査の結果、以下のことを報告しました。
どちらのグループも、上腕血圧は変化がなかった。
禁煙グループの中心血圧、上腕―足首脈波伝播速度、標準化橈骨動脈増大係数は、喫煙グループよりも大きく減少した(中心血圧-7.1 ± 1.4 mmHg vs 1.2 ± 2.7 mmHg、p<0.01、上腕―足首脈波伝播速度-204 ± 64 cm/s vs -43 ± 72 cm/s、p<0.01、標準化橈骨動脈増大係数-6.4 ± 2.8% vs -1.0 ± 3.9%、p<0.01)。
禁煙に成功した人は、失敗した人よりも動脈硬化を示す指標が改善したことを報告しました。腕で測った血圧は変化がありませんでした。
筆者らは、「これらの結果は、禁煙が動脈硬化と中心血圧を改善しうることを示す」と述べています。
高血圧治療ガイドラインには、「喫煙の高血圧発症への影響も指摘されているものの、喫煙の血圧への慢性的な影響は確立されていない」と記載されています。しかしながら、血圧を低くコントロールすることの主要な目標のひとつが動脈硬化予防であることを考慮すると、ここで示された結果は、高血圧の人にも禁煙を勧める材料のひとつになるかもしれません。
執筆者
Effects of smoking cessation on central blood pressure and arterial stiffness.
Vasc Health Risk Manag. 2011 Oct 20
[PMID: 22102787]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。