◆2週間の断酒前後の脳画像を比較
研究班は、アルコール依存症の患者42人と、32人の健康な人を対象としました。研究開始時に全員の脳の画像を撮影し、アルコール依存症の患者に対しては2週間断酒してもらったうえ、再び全員の脳画像を撮影して、断酒期間前後での変化を比較しました。
◆海馬の体積が回復
断酒前のアルコール依存症患者の脳では、記憶に関わると考えられている海馬の「CA2」と「CA3」という部分を合わせた体積が、飲酒習慣が長い年数にわたって続いているほど小さくなっていました。アルコール依存症患者のCA2とCA3の灰白質(神経細胞の核が多く含まれている部分)の体積は、断酒後には増加していました。
研究班は、「両側の海馬CA2、CA3領域の体積減少が正常に向って変化することが観察されたこの結果は、動物実験でのデータと一致し、断酒後の海馬の神経細胞新生の強い増加を示すとともに、断酒後数か月以内に患者の認知機能が改善するという報告と整合する」と結論しています。
病気にともなって脳に起こる変化は徐々に解明されつつありますが、まだまだわからないことが山積みです。アルコール依存症による変化の全貌とそのしくみが明らかになれば、断酒に加えてより効果的な治療を研究するための足がかりになるかもしれません。
執筆者
Plasticity of hippocampal subfield volume cornu ammonis 2+3 over the course of withdrawal in patients with alcohol dependence.
JAMA Psychiatry. 2014 Jul 1
[PMID: 24850422]
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