◆64人をランダム化して呼吸機能を比較
この研究では、10歳から18歳のDMD患者を対象とし、対象者をランダムに、イデベノンで治療されるグループの31人と偽薬を与えられるグループ33人に分けました。治療効果を比較するため、治療開始前から治療開始後52週までのあいだ、呼吸機能の検査値であるピークフロー (PEF) を記録し続けました。評価には、PEFを年齢・性別などから予測される標準的な値との比に換算したPEF%pを使いました。
◆呼吸機能の悪化を抑える効果あり
イデベノンのグループと偽薬のグループで、治療開始から52週までのPEF%pの変化に6.27%pの差があり、イデベノンのグループのほうが呼吸機能の悪化が軽くなっていました。イデベノンは呼吸機能のほかの検査値も改善しました。呼吸機能に対するイデベノンの効果は、ステロイド薬を使ったことのある人とない人で同様でした。どちらのグループでも副作用の発生率はおおむね同様で、ともに副作用として鼻咽頭炎、頭痛が最も多く現れ、イデベノンのグループでは下痢が増えていました。
この結果を受けて、製薬会社はイデベノンをDMDの治療薬としてアメリカとヨーロッパで承認申請する準備中です(2015年4月時点)。
DMDの治療には、ステロイド薬以外に確立されたものが少なく、新しい治療薬の登場は朗報になるかもしれません。1年間で6.27%pの改善という効果をふまえて、イデベノンはDMDの治療にどう影響するでしょうか?
執筆者
Efficacy of idebenone on respiratory function in patients with Duchenne muscular dystrophy not usingglucocorticoids (DELOS): a double-blind randomised placebo-controlled phase 3 trial.
Lancet. 2015 Apr 20
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。