すいとうしょう
水頭症
脳室(脳の内部にある空間)に過剰な脳脊髄液が溜まって、脳室が拡がった状態
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最終更新: 2022.02.28
水頭症の基礎知識
POINT 水頭症とは
脳室(脳の内部にある空間)に過剰な脳脊髄液が溜まって、脳室が拡がる病気です。先天性水頭症と後天性水頭症の2種類に分けられます。先天性水頭症の主な原因には先天奇形・遺伝性疾患など、後天性水頭症は脳腫瘍・脳出血・髄膜炎などがあります。検査として、触診・頭部CT検査・頭部MRI検査などを行います。症状を引き起こしている部位によって治療は様々ですが、手術をすることが多いです。
水頭症について
- 脳の内部の空間である
脳室 に過剰な脳脊髄液 が溜まって、脳室が拡がった状態- 脳脊髄液が過剰に作られる
- 脳脊髄液の吸収が追いつかない
- 何らかの原因で脳脊髄液の循環が悪くなることで渋滞が起こっている
- 主な原因
- 60歳以上の成人に最も多くみられる
- 大きく2つに区分される
- 非交通性(閉塞性)水頭症
- 脳室系内で脳脊髄液の流れが閉鎖されて起こる
- 出生直後の新生児や乳児によく見られる
- 生まれつき
髄液 の通り道が狭かったりする先天性異常によって生じることが多い
- 交通性(非閉塞性)水頭症
- 脳脊髄液の吸収が不十分な場合に起こる
- 脳内の病気によって脳脊髄液の流れが妨げられることで起こる
- くも膜下出血後に起こることもある
- 非交通性(閉塞性)水頭症
- その他の分類
- 先天性水頭症:出生前または出生時にすでに水頭症が存在している
- 後天性水頭症:出生後に外傷や疾患によって水頭症になる
- 正常圧水頭症(NPH):脳室内の脳脊髄液の量が増えて水頭症が起こるが、脳圧はほぼ上昇しない
水頭症の症状
- 新生児・乳児期(0〜2歳頃)
- 嘔吐
- 食欲不振
- 気力低下
- 過敏性
- 不定期に起こるけいれん
発作 - 足の痙直(突っ張るような硬さ)
- 幼児・学童期・成人期(2歳頃〜)
- 頭痛
- 吐き気
- 嘔吐
- 視覚障害
- 性格の変化
- 集中力の低下
- 常に眠い状態が続く
- 水頭症の中でも、正常圧水頭症に特徴的な症状
- 歩行障害
- 尿失禁
- 精神活動の低下
- 認知機能低下
- 意欲の低下 など
水頭症の検査・診断
- 触診
- 頭の周径が大きくなったり、破壺音(頭を軽く打診すると壺にヒビが入ったような音)がする
- 画像検査
頭部CT検査 脳室 の大きさを確認し、診断に役立てる- 水頭症に対する最も基本的な検査である
頭部MRI 検査- 脳室の確認ができると同時に、
腫瘍 などその他の脳の疾患についても詳しく調べることができる
- 脳室の確認ができると同時に、
髄液 排除試験(髄液タップテスト)- 正常圧水頭症が疑われた場合に行われる
- 少量の髄液を排除して症状の改善の有無を確認する
水頭症の治療法
シャント 手術- シャント手術:
髄液 が溜まったことで膨らんだ脳室 にカテーテルを挿入し、髄液を他の体腔(腹腔など)に流して脳圧を適切な状態に調整する手術 - 3つの方法がある
- 脳室腹腔シャント:V-Pシャント
- 脳室心房シャント
- 腰椎腹腔シャント:L-Pシャント
- シャント手術: